第4話:「60秒の空白」
「イワタさん……さっき言ってた『うさぎ型』って……他にも、いるんですか?」
締旗が周囲の深い闇に目を向けながら、震える声で問いかけた。
イワタは銃を構えたまま、低く、重い声で答える。
「ああ……うさぎ型はいる。この目で見た……」
「イワタさんは……どこから来たんですか?」
アキの問いに、イワタは一瞬だけ視線を落とした。
「俺はB班の入口から来た。B班のやつらは全員、俺の戦友だった……。そいつらは全員……あの『うさぎ型』に殺された」
「……っ、そんな……。突然のことで、言葉も……」
締旗が絶句する。イワタは自嘲気味に鼻を鳴らした。
「俺は逃げたんだ。あいつには銃も効かない。……だから途中でシャッターを閉めて、仲間を見捨てて逃げた。……ここから脱出する方法は二つしかない。一つ目は……『死』。二つ目は……」
「……出口を見つけて、生きて脱出すること」
アキが言葉を継ぐと、締旗が必死に頷いた。
「それじゃあ、早く行きましょう! ここにいたら、またあいつが……!」
一行はイワタを先頭に、迷路のような通路を突き進む。だがその時、彼らはまだ気づいていなかった。
メンバーの一人――レナが、列から外れていることに。
「ちょっと……みんな、どこ行ったのよ……?」
レナは薄暗い廊下で立ち尽くしていた。
「寂しすぎでしょ、マジ無理……。っていうか、Wi-Fiも繋がんないし。こんな廃墟、あるわけないか……」
悪態をつきながら、レナは適当に近くの部屋のドアを蹴り開けた。
埃っぽい部屋の中、あたりを見回すと「Freee Wi-Fi」と書かれた紙を見つける。
「……? え、Wi-Fiあるじゃん。神すぎ。これで配信できんじゃん! 詰んだと思ってたわー!」
レナは狂喜し、慣れた手つきで番号を入力し始めた
一方、アキたちは通路の突き当たりに直面していた。
横にある「監視室」と書かれた部屋に逃げ込むと、そこには異様な光景が広がっていた。
壁一面に並んだモニター。そして、コンソールの上に置かれた、湯気が立っているコーヒー。
「な……なんですか、ここ……。……って、レナさんがいない!?」
クラの悲鳴に近い声に、アキが慌てて廊下へ顔を出す。
「おーーーーーい! レナさーーーん!!」
「待て、大声を出すな! アニマトロニクスに感付かれるぞ!」
イワタの制止に、締旗が狼狽する。
「じゃあ、どうやって探すんですか!?」
「見ろ、監視カメラだ。手分けして探すぞ」
イワタの指示でモニターを凝視する。
数秒後、アキが「ROOM 237」と書かれた画面を指差した。
「いた……! レナさんだ!」
画面の中には、確かにレナが立っていた。
だが、その映像は奇妙だった。背景のノイズは一切なく、ただ「人間がそこにいる」という事実だけを証明するように、彼女の姿だけが不自然に浮き彫りになって表示されている。
それは防犯カメラというより、工場の管理システムが「パーツ」の現在地を確認しているだけの、冷徹なインジケーターのようだった。
そして、その画面の下部には、不吉な文字列が点滅していた。
【 Lapis confirmation 】
「ラピス……確認……? 何だ、これ……」
「わからん。だが、急ぐぞ。そこに『何か』が向かっている」
イワタの言葉を合図に、一行は再び闇の中へと駆け出した。
監視カメラにはこのような張り紙が貼ってあった。
【警告】 このカメラは60秒遅延しています。
(第4話 完)
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クレジット:キャラ提供
締旗来雨 このキャラは@aisu1452さんに作ってもらいました!!
光暗クラ このキャラは@banirakokoaさんに作ってもらいました!!
お二人ともありがとうございました!!




