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第3話:「集結、そして侵入」

「あいつ……何であんな速さで動けるんだよ!?」




アキは肺を焼くような熱い息を吐きながら叫んだ。




「わかりません……というか『再起動』って、この化物が目を覚まして襲ってくるって意味だったんじゃ……!」




締旗も顔を青くして走る。だが、その直後だった。




「きゃっ……!」




悲鳴が上がった。


瓦礫に足を獲られたクラが、無様に転倒する。




「クラさん!」




アキが振り返るが、その背後には既に、巨大な影が迫っていた。


足首に走る激痛に、クラは立ち上がることすらできない。




「あ……ああ……」




腰を抜かした彼女の視界を、パンダの巨大な『圧縮装置』が覆い尽くす。






(え? ……そっか……もう私……ここで……死 ぬ ん だ)






死を覚悟し、視界が絶望に暗転した、その時。





――ドオオオオオン!!





鼓膜を突き破るような重厚な銃声が、廃工場の静寂を切り裂いた。




「…!?」




パンダの巨体が火花を散らして仰け反る。


煙の中に立っていたのは、見慣れない一人の男だった。




「危なかったな……だが、まだそいつは完全に停止していない。クールタイムは短いぞ。動け!!」




「え……? 私……生きてる……?」




呆然とするクラに、男が鋭く言い放つ。




「死にたいのか? 早く動け!!」




「は、はいっ!」




クラは必死に這い上がり、アキたちの方へ転がるように逃げた。


パンダのアニマトロニクスが、再び赤光を宿して男へ向き直る。




機械人形は周囲に落ちていた乾燥した枝をかき集めると、圧縮装置の熱で一気に発火させた。


立ち込める黒煙。視界が遮られる。


「煙で視覚を奪うつもりか……だが、お前の『位置』は音でわかる。……始めよう」




男は動じない。


突進してくるパンダの巨体を、紙一重、ミリ単位の動作でかわしていく。


衣服がわずかに焦げ、パンダがトドメの一撃を振り下ろした瞬間――男は最小限の動きでそれを回避し、銃口を固定した。





「……お前にはクールタイムがある。今度こそ終わりだ」





駆動音が止まった一瞬の隙を突き、銃弾がパンダの脳躯体を貫いた。


ガシャン、と重い音を立てて、怪物が沈黙する。




「ふぅ……大丈夫か? だがまだ油断はできない。次の敵が来る前にその部屋に避難するぞ」




男に促され、一行は奥の部屋へ逃げ込み、シャッターを閉めて一時的な安全を確保した。






静寂の中、クラがおそるおそる口を開く。




「あ、あの……さっきは……助けてくれてありがとうございます。これから一緒に行動して……くれますよね? お名前を教えてもらえますか?」




「俺はイワタ。……元軍人だ」




イワタは短く答え、鋭い視線を扉の向こうへ向けた。




「それより、早く進まないと……『うさぎ型』が襲ってくるかもしれない。まだ扉の電力はあるが、いずれなくなるだろう。先を急ごう」




「そ……そうですね。……あれ、カイトさんはどちらに?」




クラの言葉に、アキが周囲を見回す。……いない。




「おーい、カイト!」




アキが廊下の奥を覗き込むと、暗がりにぽつんと、カイトが突っ立っているのが見えた。




「お〜カイト〜! お前どこ行ってたんだよ、心配したぞ」




アキの呼びかけに、カイトはゆっくりと振り返る。その顔には、相変わらずの明るい笑みが張り付いていた。




「え? どこって……普通に先にいたんだよ」




「……お前、俺より先にいたっけ……?」




アキが首を傾げたその時。


後ろで銃を構えたままのイワタが、獲物を狙う獣のような鋭い目線で、カイトをじっと見据えていた。




(第3話 完)





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






クレジット:キャラ提供






締旗来雨 このキャラは@aisu1452さんに作ってもらいました!!




光暗クラ このキャラは@banirakokoaさんに作ってもらいました!!






お二人ともありがとうございました!!

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