レインの夢と現実
秋の夜、レインは珍しい夢を見た。
夢の中に、親がいた。
顔は覚えていない。でも確かに、自分の親だとわかる温かさがあった。何かを言っていたが、起きたとき言葉は消えていた。
朝、レインは布団の中でしばらく天井を見ていた。
「親の夢なんて、初めて見た」
独り言を言って、起き上がった。
コルたちが朝食を用意していた。リナが「レイン、顔色が変」と言った。
「夢を見た」
「どんな夢?」
「覚えてない」
「怖い夢?」
「……違う。なんか、あったかい夢だった」
コルが「それはいい夢だよ」と言った。
「そうか」
朝食を食べながら、レインはコルたちの顔を見た。
コルが成長している。リナが笑っている。他の子供たちが朝から騒いでいる。
これが、今の自分の家族だ、とレインは思った。
血は繋がっていない。でも確かに、家族だ。
夢の中の親と、今ここにいる家族。どちらも本物だ。
秀はその朝食の光景を見ていた。
レインがここまで来た。孤児院から逃げ出した十四歳の少年が、今は仲間を守り、後輩に剣を教え、衛兵として町に立っている。
一人の人間の成長を、最初から見ていた。
それが、どれほどの贅沢なことか。
ナレーターになって良かった、と思う理由の一つがここにある。




