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ガウル  作者: キヌミタロ
序章 光輝くその光
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第2話 飛び出して来たキツネ

 朝ごはんを食べたらお昼の調達をしないといけない。釣竿とミミズの入った木箱を持って川に向かう。杖を置いてくればいいのに、イヌの子供は両手で大事に持っている。とりあえず川へ向かう。村を出て、森の中に入って、ちょっと山を登ったところに、川がある。そんなに小さくもないし深くもない。とても静かに流れてる川。たまにゆっくり泳いでる魚が見えるけど今日はまだ見えない。地面に座って木箱を開ける。ミミズがいっぱい動いてる。そのミミズを釣り針に刺して川に向かって釣竿を振る。釣れるまで待つ。川の流れる音、鳥の鳴き声、葉っぱが擦れる音、たまに吹く風。あと隣でじっと座っているイヌの子供。釣れるまで待つ。

「ねえ、僕何かしたほうがいいのかな?」

 僕はゆっくりイヌの子供に顔を向ける。でも釣竿は一本しかない。

「釣る?」

「え? いいの?」

「はい」

 僕は釣竿をイヌの子供に渡す。イヌの子供は杖を地面に置いて釣竿を持つ。釣れるまで待つ。

「なんか引っ張られてる」

 どうやら釣れたらしい。

「引っ張って」

 イヌの子供は釣竿を上に上げる。

「違うこう」

 僕は釣竿を握って力強く引っ張る。

「うわあ!」

 イヌの子供が後ろに倒れ、釣り糸の先には魚がしっかり釣れている。転ばせちゃった。

「大丈夫?」

「うん、大丈夫。すごい力だね」

「母さんによく怒られる」

 僕はイヌの子供の手を握って立ち上がらせる。

「でもちゃんと魚は釣れたよ」

「一匹だけじゃ足りない」

「そうだね」

 なのでまた釣りをする。今度は僕が釣る。

「釣った魚どうしたらいいの?」

「頭を潰せば動かなくなるよ」

「頭」

「うん」

 僕は釣竿を置いて、川の中にある石をひとつ拾う。まだ動いている魚の頭に石を、僕の力だと軽く振るう。これで魚の頭は潰れて動かなくなった。そして近くに落ちているちょうどいい木の棒を口から一気に刺す。

「はい」

「あ、ありがとう」

 イヌの子供に魚を渡す。

「あ! 釣れてるよ!」

 釣竿を見ると川に引きずられようとしている。なので釣竿を手に取って一気に引く。また魚が釣れた。これで二匹。最初の魚と同じように頭を石で潰して木の枝を拾って口から一気に刺す。

「焼こう」

「え? 焼くの?」

「焼けないと食べない」

「でもこれお昼に食べる魚じゃ」

「焼こう」

「う、うん。焼こうか」

 石で輪っかを作って落ちてる枝を拾ってくる。ちょっと葉っぱを入れて鮎を突きさす。火がない。いつもは母さんが家で火を使っている。母さんはどうやって火を点けているんだ?

「火はどうやって点けるんだ?」

「僕知らないよ」

 誰かこっちに駆けてくる。草の音で分かる。いきなり知らない子供が飛び出して来る。

「うわあ! びっくりした!」

 イヌの子供が僕の後ろに隠れる。

 頭に三角形の耳をして、尻尾がふっくらしている。

「火を点けるから私にお魚食べさせて!」

 知らない子供のお腹が鳴った音がここまで聞こえる。

「嫌だ」

「でも彼女困ってるよ」

「嫌だ!」

 僕のご飯は絶対に渡さない!

「あ、そうか。じゃあ僕の魚あげるから点けてよ」

 知らない子供は何かを取り出すと魚に近づいてカチカチする。すると火花が光って煙が出てくる。知らない子供が息を吹きかけると火がついた。

「わあすごい! ついたよ!」

 イヌの子供が喜ぶ。どうやって火をつけたのだろう?

「どうやって火をつけたの?」

「これ」

 知らない子供は石と木の板を持っている。木の板から何か出ている。

「火打ち石で、こう。石と鉄」

 知らない子供が火花を宙で見せる。

「へえすごいね!」

 火も点いたことだし、焼けるまで待つ。

「私ダンネ。キツネだよ」

 きつね。聞いたことない。尻尾がふっくらしている。

「それであなたたちは誰?」

「ガウル」

「僕はえっと」

「流れ星が当たって何も覚えていないんだ」

「……は?」

 ダンネは僕の顔をずっと見ている。

「流れ星?」

「うん。こう空に流れ星がいっぱいで流星群がばあって」

「私ちょっと遭難してたけど、そんなもの見てない」

「でも流れ星が落ちてたところにいた」

 僕はイヌの子供を指さす。

「そうなの?」

「僕はその……何も覚えていなくて」

「ふーん。でもその恰好」

 いきなり立てていた魚が両方倒れる。

「あー魚が」

 ダンネが僕の魚に手を伸ばす。それは僕のご飯だ! 急いで僕の魚を手にする。食べられる前に食べちゃおう。生臭い魚を咥える。

「ちょっと! まだ焼けてないわよそれ!」

 ダンネが僕の魚を取ろうとするので唸り声を上げる。

「何その唸り声!」

「あ。えっとその……ガウルは特殊なんだって」

「は?」

「ガウルのお母さんが言ってたんだ。確か、食事中は話を聞いていなくて、本能で食べているから? それと説明を理解できないからしてもしょうがないとか。あと、食べ物を取ろうとすると噛まれるから気をつけてって」

「さっきから何言ってるのか分からない」

「僕もガウルのお母さんから聞いただけで」

「でもガウルが食べてる魚生よ!」

「あと大きな音は駄目なんだって」

「噛んでくるの?」

「し、知らないよ僕」

「でもあれ生」

 僕は魚を飲み込む。美味しかった。

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