↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能魔法士の復讐   作者: 宮田悠保
第二部
PR
90/93

第90話

『あれは、滅んだはずの“吸血族”です』



~~~~~~~~~

 

 吸血族、その名の通り血を喰らい己の糧とする魔族の中の特異種である。はるか昔、魔族がまだ統治されず一族間での勢力争いが繰り広げられていた戦乱の時代、幾多の戦場で名を連ね次々と他の一族を打ち破った一族がいた。その一族は次々とその勢力を拡大していきやがて全魔族の頂点まで上り詰め魔族統一を果たした。その一族の長はやがて王として君臨しこれが初代の魔王と言われるようになった。初代魔王の手腕は目を見張るものばかりで一代で数多くの一族をまとめ上げ魔族として人間の強大な脅威となった。

 

 だが最後の最後まで抵抗をつづけた一族がいた。どれだけ力の差が大きかろうとも、どれだけの犠牲が出ようとも決して屈服することはなかった。しかし巨大な戦団となった魔王軍に勝てるはずもなく一族全員は捕らえられ幽閉された。初代魔王の唯一の汚点とするのであればこの最後まで抵抗をつづけた一族の処遇だろう。捕虜として劣悪な環境で労働を強いる奴隷としての扱いだ。


 魔王の一族の者と他の一族の者で婚姻を結び魔王の一族の血を反映させた。今の魔族もそうやって長い月日の中で継承された初代魔王の血が分家として受け継がれてきた。そしてアイのように初代魔王の血を色濃く残した初代魔王一族の中から代々魔王が誕生してきたのだ。


 次々と初代魔王一族の血が継承される中で奴隷であった最後まで抵抗した一族は決して交わることなく孤立していった。やがて血縁もなくはぐれ一族として端へ端へと追い出され奴隷であること自体が、その汚らわしい血縁が、疎まれ幸か不幸か解放された。


 だが奴隷の身分から解放されたところで満足な生活ができるはずもなく住むところもなければ食料も親王族に独占されあまり手に入らなかった。日に日に同胞が飢え死にして行く現状ではぐれ一族は親王族を襲うようになった。親王族の貨物を襲い食料を食い漁る賊としての生活だったがそれだけでは一族全体を賄うには到底足りなかった。


 だがはぐれ一族の一人が日に日に増す飢餓感と親王族への憎悪から貨物を運ぶ親王族を襲いその血肉を喰らった。そのはぐれ一族の者の特異体質なのか、極限状態の飢餓感からなのか、親王族の者の血肉は飢餓感を満たすだけでなく魔力自体を一時的ではあったが増幅させるという効果があった。これを後に始祖と呼ばれるようになる。


 やがて始祖は子供を残しその子供にも親王族の血肉で魔力を増幅させる体質は継承された。それから月日が流れるごとに始祖の血縁は広まり全く異質の一族へと自然選択が働き適応進化したはぐれ一族はやがて親王族の間でこう呼ばれるようになったという。“吸血族”と。


~~~~~~~~~



「けれどその伝承にはまだ続きがあったんです。」


「続き?」


「”吸血族狩り”です」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。