第70話
「ちょ、ちょっと待って、フォニアちゃんそれホントなの?」
エイミーはフォニアの言っていることが信じられないという面持ちでフォニアに聞き返した。エイミーだけではない、他の皆もフォニアの言葉が信じられないと言った様子だ。
「ホントなの、、お兄ちゃんと一緒にアデちゃんから聞いたの、、」
エイミーの懐疑的な視線を受けフォニアはシバに助けを求めるように視線を送りながら自信なさげに答えた。
フォニアの言葉で今度はシバに皆の視線が集まった。
「、、、そうなの?シバ、」
アイがシバに問いただした。
「そういえばそんなことを言ってた気もしなくはない、、」
「はっきりしないわね!」
頬をかきながら歯切れ悪く曖昧に返答するシバにエイミーが一喝した。
「でも、もし本当にそうならアデルフィーちゃんは、、私のせいです、、」
ベルカは口元を手でおさえ力が抜けたように座り込んでしまった。
「ベルカがそんなに気負うことないよ、悪いのはアデルフィーちゃんを誘拐した奴らなんだから、」
へたり込むベルカの背中に手を置きながらマーニは言った。
「そうですよ、この場合もっと俺がしっかりしていれば防げたことです、」
シバはかがんでベルカと視線を合わせ申し訳なさそうに言った。
「でも、結果的にアデルフィーちゃんを渡してしまったのは私です、、」
しかしベルカは自分の失態だと自分を責めた。
「ならまた助けに行けばいいんです!」
シバは自分を責め負い目を感じるベルカに笑みを浮かべて言った。
「そうだね、」
「、、、シバの言う通り。ベルカが気負う必要はない。」
「私たちがアデルフィーちゃんを連れ戻してきます。」
他の三人もシバの言葉に同調するように、ベルカの気を少しでも和らげるように言った。
「ですが、、」
それでも尚ベルカは自分の行いに引け目を感じていた。
「悔やむ気持ちも分かるよ、でも今悔やんでも起きてしまったことは戻せない。だから次何をするのか考えないと。アデルフィーちゃんが帰ってきたら今の気持ちを伝えてあげなよ、」
マーニは厳しくも優しくベルカに言った。
「じゃあそういうことなんで行ってきます、」
シバはそう言うと足早に宿屋の入り口へと向かった。シバも自分に責任があると思っているようだ。
「私も行きます!」
ベルカが立ち上がりシバを呼び止めた。
「いや、ベルカはここでフォニアちゃんと待ってて、」
マーニがベルカの肩をおさえフォニアを見ながら言った。
「私たちに任せてください!」
「、、、ベルカ、任せて。」
彼女たちはそう言うとシバのもとへと向かった。そしてシバ、マーニ、アイ、エイミーの四人はアデルフィーの救出を試みるのであった。
「ベルカお姉ちゃん、アデちゃん大丈夫かな、、」
心配そうにシバたちが出て行ったドアを見つめるベルカにフォニアが尋ねた。
不安そうな顔をしたフォニアを見てベルカは膝をつきフォニアを抱きしめた。
「私も心配です、でも彼らならきっとアデルフィーちゃんを連れ戻してくれます、だからアデルフィーちゃんが帰ってきたら笑顔で迎えてあげましょう、」
フォニアを抱きしめながらそう言うベルカの表情はシバたちに期待するもやはりどこか暗かった。
「で、勢いよく飛び出してきたけどどこを探すのよ、」
ベルカ達のもとを離れてから四人は飛行魔法で都市の上空にいた。
だがなかなか移動せず難しい顔をしているシバにエイミーが言った。
「、、、少しは自分で考えたらどうかしら。シバはああやってアデルフィーの魔力を探しているはず。」
アイは腕を組みエイミーをなだめた。
アイに言われエイミーもシバの魔力探知が終わるまで待つことにしたがシバは依然として難しい顔をしたままだった。
「、、、」
「少年?」
マーニがシバの顔を覗き込んだ。シバの顔は魔力探知をしている様には見えず焦燥感に駆られたような表情だった。
「、、もしかして、分からない、の?」
そんなシバの様子からマーニが察したように尋ねた。
「、、はい、」
シバは恥ずかしさや申し訳なさから力なくうなだれるようにこくりとうなずいた。
「はあ!なんなのよ!」
シバに対してエイミーは声を荒げた。
「いや、前にも言ったけどアデルフィーの魔力探知できないんだよ、外部から力が加わってるみたいでさ、」
以前アデルフィーを魔眼で見た際に鍵魔法がかけられていたり、ベルカの催眠魔法も効かなかったりとアデルフィーは何者かによってあらゆる魔法を受け付けないようだった。
「、、、じゃあさっきまで何をしていたの?」
魔力探知をしているため難しい顔をしていると思ったアイはその間シバが何をしていたのか尋ねた。
「、、ベルカさんの気を少しでも軽くしようと勢いよく飛び出してきたけどこれからどうすればいいかなって、、」
アイに問い詰められ白状するようにシバは答えた。
「何よ!事は一刻を争うのよ!」
エイミーはシバに対して再び声を荒げた。
「まあ、アデルフィーちゃんが競売にかけられるなら不当な扱いはされないと思うよ、むしろ扱いとしてはこれ以上ないくらいだと思う。だから焦って下手に動くよりは慎重に行った方がいいと思うよ。」
「、、、マーニ詳しいのね。」
冷静にエイミーに指摘したマーニにアイが言った。
「まあね、」
マーニも意味ありげに答えた。
「でも、当てがなければ結局意味ないですよ、」
口をとがらせ拗ねたようにエイミーが言った。
「いや、当てならあるよ、」
アデルフィーの魔力を探知できず嘆くエイミーにマーニが言った。シバもマーニを頼るように彼女に目を向けた。
「少年は知ってると思うけど、この都市の地下だと思うよ、」
マーニははっきりとそう言った。
「地下ってあの広場のところの?」
マーニの推測にシバが反応した。だがアイやエイミーはまだピンと来ていないようだ。
「そう、多分あそこの地下の施設でオークションに出品される物や奴隷が待機させられている部屋があると思う、」
さらにマーニが推測しシバはうなずいた。
「待ってください、何ですかさっきから二人して、地下って?」
二人だけで理解を進めるシバとマーニにエイミーが口を挟んだ。
「二人にはまだ言ってなかったけどこの都市の地下には奴隷を働かせる場所があるの、、」
それから四人は都市のはずれにある広場まで移動した。
その際にマーニの口からシバに見せた地下の奴隷のことについて説明した。魔力が搾取されたり、違法薬物を作らされたり、劣悪な環境で生活させられたりと。
アイはすんなりと受け入れたがエイミーはどうしても信じがたいと言った様子だった。
二人の反応はどうであれ四人はステージの併設された広場の上空に到着した。




