↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能魔法士の復讐   作者: 宮田悠保
第二部
PR
66/93

第66話

 この場にいる大半の冒険者が冒険者レベル1の少年の放った威圧に怖気づいてしまった。

 心臓を握られる感覚で背筋が凍るようだった。だがそれも一瞬でその圧力から解放された。冒険者レベル1の少年は先ほどとは何ら変わった様子もなく困った顔をしている。

 周りの冒険者がどう思っているのかを気にすることはなくシバはこの現状をどう打開するのか考えあぐねていた。


 

 まず大前提として俺が負の魔法を使えることがばれるのは絶対に避けないといけない。そのことで人間として顔が広いマーニさんやベルカさんも疑われかねないからな。それと俺と一緒にいるってことでアイやエイミー、フォニア、アデルフィーが魔族ってことも知られてしまう可能性もある。ディエフとフォンは一回皆と顔合わせているからな真っ先に疑われるのは確実だろう。

 ならここはまぐれで魔物を倒せたってゴリ押ししてみるか。レスペシオさんも味方に付ければいけなくもないのか?俺の戦い見てたし。

 もし仮に逃げてきたってことにしたら最悪冒険者登録の抹消もあり得そうだな。そしたらベルカさんに絶対怒られる。それもどうしても避けたい。むしろベルカさんに怒られたくないってのが第一かもしれないんだが。だって怖いもん、あと怖い。

 うーん、とりあえず俺のとるべき行動は今のところ3つか。


選択肢➀

ギルド支部ごとここにいる奴ら全員魔族に襲われたことにして殺して俺だけ奇跡的に生き残ったことにする。

選択肢➁

冒険者を諦めてベルカさんに怒られる。宿屋の雑用係として働く。

選択肢➂

とにかく本当のことを言って信じてもらう。


 選択肢➀は最終手段だな。ベルカさんには怒られたくないからやっぱり選択肢➂か。選択肢➂がダメなら仕方ない選択肢➀だな。どのみち国は学院と戦う時に敵になるんだから早いか遅いかの違いだろ。まあ選択肢➀が通ることをまずは願うばかりだが。選択肢➁だけはどうしても避けたいんだよな、マジで。



「あのな、信じてもらえないかもしれないが下水道内にいた魔物は俺が倒した。泣きながら帰ってきたのはその魔物がトラウマになったからだ。」

 とりあえずシバは選択肢➂を選び様子を伺った。

 シバの発言に訝しげに耳を傾ける冒険者たちだったがそれでも中には信じれれないといった様子の者たちもいた。


「そんなのだれも信用できないだろ!証拠もないんだから、」


 その中の一人の冒険者はそう言った。それが正論ゆえにシバも言い返すことができない。彼の言葉に相槌を打つ冒険者も多い。

 だがシバの一応食い下がる。

「確かに証拠はない、けど証人になれそうな人はいる。俺の受付嬢レスペシオさんだ。」

 シバがそう言うと冒険者たちの視線が一気に受付の方に向いた。

「えっ?私?」

 急に自分の名前が出され困惑した様子のレスペシオにディエフが尋ねた。

「冒険者レベル1の彼があの炎の柱ほどの攻撃ができる魔物を倒せる実力者なのか?」

 レスペシオはディエフとその場の冒険者たちの懐疑的な視線から避けるようにシバに目を向けた。

(ここはひとつお願いします、受付嬢は冒険者に干渉しないみたいですが口裏合わせてください、)

 助けを求めるようなレスペシオの視線を受けシバは彼女に向けて念話を送った。

(、、分かりました。ですが高く着きますからね、)

 レスペシオは観念したように念話でシバに返答すると受付の奥にある棚へ向かい書類を取り出した。その書類を手に凛とした態度で冒険者たちに向かい合った。

「私は彼の初回のクエストに同行しました。その際運悪く魔物の群れ10体と遭遇してしまいました。けれど彼はものの数分で一網打尽にしてしまいました。その証拠として魔物の角10本が素材として換金記録に記録してあります。」

 レスペシオは奥から持ってきたシバの換金記録が書かれた書類を差し出しそう言った。

「確かに、素材屋の印もきちんとある、」

 その書類を受け取ったディエフが素材を交換する素材屋の印があるのを確認した。

「彼は確かについ先日冒険者登録をしましたし魔力量からも冒険者レベル1ではありますが実力はそれ以上です。この私受付嬢、レスペシオが保証します。」

 冒険者レベルはクエストをこなすことで上がっていく仕組みだが各レベルに設けられた基準の保有魔力量よりも高い魔力量の場合や推薦、別の地域での功績なども考慮され必ずしも冒険者レベルが1から始まるというわけではない。

 そのうえでシバは冒険者レベル1であるので周りの冒険者たちが疑い深くなるのも無理はなかったのだ。

 しかしレスペシオの堂々とした言葉にシバを信じると言う者も現れただろう。


「受付嬢の言葉なら信用に値するかもしれない。だがその雑魚の魔物をいくら倒せても下水道の魔物も倒せるかどうかは別の話だ、」


 誰かがそう言った。その言葉でさらに疑惑の色が濃くなった。レスペシオの言葉でシバを信じるという者も再びシバのことを疑う目になった。


「このままではどうにもならない。」

 

 唐突にディエフが言った。皆ディエフの言葉に注目した。

「私も彼の話は信じがたいが受付嬢たちのことは日頃から信用している。それに幸いにも住民に被害者は出ていない。だからユウ君を一週間の謹慎処分にするので手を打とう。ユウ君もこれでいいかね?」

 ディエフはレスペシオの肩に手を置いて言った後シバに視線を送った。

「それでいいのなら俺は構わない、」

「ではこの話は終いにしよう、ほら皆クエストに戻って、」

 ディエフの一言で皆戸惑いつつも掲示板に向かう。

(ふぅー、なんとか剥奪は免れたな、)

 安堵するシバのもとにレスペシオがやって来た。

「なんとかなりましたね。急に私に振られたので冷や冷やしましたよ。」

「すみません。でもありがとうございました。」

「あ、でも高くつきますって言いましたよね?今晩業務が終わったら夕食をご一緒しませんか?」

 レスペシオは笑みを浮かべて言った。

「僕でよければ。じゃあ僕の泊まっている宿屋でいいですか?」

「はい。ではまた後程伺います。」

 そう言うとレスペシオは受付に戻った行った。


(お客さんを連れてくれば大丈夫だろ。それにしても剥奪にならなくてよかった。ん?待てよ、謹慎ってことはその期間は稼げないってことだよな。)


「結局ベルカさんには怒られるのね、、」


 結局ベルカの笑顔の圧力を受けることに肩を落としシバだった。


 

 

 だが他の冒険者とは違い未だに物凄い形相でシバを睨みつける者がいた。その男の名はイケメン冒険者ブースである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。