第63話
「いらっしゃいませー!、、あ、、」
「お?」
「へえ~」
シバとマーニがベルカの宿屋に到着し入り口のドアを開けるとメイド姿のエイミーが元気よく出迎えた。
ドアを開けた瞬間胸が強調されるように谷間がやや見えるメイド姿のエイミーが登場したのでシバは訝しげに見つめた。マーニはというと面白いおもちゃを見つけた子供のようにニヤッと笑みをこぼした。
対してエイミーはシバとマーニにメイド姿の自分を見られ恥ずかしそうに赤面した。
「お前、そんな格好で何してんだ?」
恥ずかしがり持っていた食事を運ぶトレーで胸元を隠すエイミーにシバは尋ねた。
「こ、これはベルカさんが、、」
エイミーが他のテーブルの客の対応をしているベルカの方に視線を向け答えた。
「、、、お帰り。」
横からアイがやって来た。アイもメイド服を着ているがエイミーとは異なり胸は強調されておらずベルカが普段着ている様なものだ。
「アイもその格好なのか?」
「、、、ベルカがこれを着て働きなさいって。」
どうやらベルカがシバとマーニがギルド支部に行っている際にアイとエイミーには宿屋の手伝いをさせていたようだ。
「おかえりなさい。初のクエストお疲れ様です。」
そこへベルカがやって来た。
「アイさんとエイミーさんはこれまでで大丈夫ですよ。お疲れさまでした。」
ベルカがそう言うとアイとエイミーは二階へと向かった。
ベルカにテーブルへ促され飲み物をもらったシバはベルカに尋ねた。
「ベルカさんさっきのあいつらの服って?」
「はい、今日から日中はお食事屋さんをすることになったんです。そのお手伝いを彼女たちにはしてもらいました。それ以外の朝晩は今まで通り宿屋として営業します。」
そう言うとベルカは笑顔で掌を上にして両手を差し出した。
「なんですか、その手?」
「今日は日中何をしていたんですか?」
ベルカは笑顔で手をそのままにしてシバに尋ねる。心なしかとてつもない圧力を感じるシバはようやく何のことか理解した。
「あー、報酬ですね、えっと、中銀貨2枚に銀貨6枚です。」
シバはベルカの両手に今日のクエスト報酬の硬貨を置いた。
「うーん、どうやら先日貸した分にはあと中銀貨2枚と銀貨3枚と銅貨2枚足りないみたいですね。」
一つ一つ硬貨を確かめるように数え笑顔でシバに言った。
「と、言うことはまさか、、」
「はい。今晩と翌朝の片付けお願いしますね。」
引きつった笑顔で言うシバに満面の笑みでベルカは言った。
一方その頃、アイとエイミーは二階の部屋でメイド服を脱ぎ着替えていた。
「きっと今頃シバは私のメイド姿を見て赤面しているに違いないわ!」
自分の服を着ながらエイミーは自信たっぷりに言った。
「、、、あなたのことなんて微塵も思っていなかったわ。どちらかと言うとあなたの方が赤面していた。」
アイが得意げに話すエイミーに呆れるように言った。
「何よ!あんたの方が相手にされてなかったわよ、まあその胸じゃいつまでたっても無理ね、」
「お二人さーん、邪魔するよー」
そこへマーニが部屋にやって来た。
「何話してたのー?」
「、、、マーニがこのメイド服でシバを悩殺できなかったと嘆いていたわ。」
「ちょっと!嘆いてなんかいないわよ!」
二人のやり取りを見てニヤニヤしながらマーニは言った。
「えー、じゃあエイミーちゃんはむしろ今頃少年が顔赤くしていると思ってたの?」
「まあ、そんなところですね!」
自信満々にエイミーは誇らしげに言った。
「でもさー、なんでエイミーちゃんはベルカやアイちゃんとは少し違ったものを着てたの?」
「、、、あれを選んだのはエイミー自身。私たちと同じタイプのもあった。」
マーニの質問にアイが答えた。
「そんなこと言って、アイはその胸じゃ着ても惨めなだけだったものね、」
エイミーはアイをおちょくるように言った。
「、、、うるさい、赤髪デカ乳。」
「なんとでも言いなさい、私の魅力の一つよ。」
憐れむように言われ拗ねた様子のアイにむしろ開き直るようにエイミーは言った。
「じゃあこれシバに見せてくるね。」
そんな二人にマーニが一枚の写真を取り出して二人に見せた。
その写真には少し谷間が見えたメイド服を着て赤面しているエイミーが写っていた。
シバとマーニが宿屋に帰ってきたときにマーニが撮ったものだろう。それをニヤニヤしながらひらひらと揺らして見せている。
「、、、そうねきっと悩殺できると思うわよ。よかったわね。」
少し口角を上げてマーニに乗っかるアイ。そしてその写真と同じように赤面するエイミー。
そんなエイミーを置いて二人は一階のシバのもとへ行った。エイミーも慌てて追いかける。
「ねー、少年このエイミーちゃんどう思う?」
一階で休んでいるシバにマーニはエイミーのメイド姿の写真を見せた。エイミーも遅れてやって来たが時すでに遅くマーニから渡された写真をシバが手に取った。
「これさっきのエイミーじゃないですか、」
シバは特にこれといった反応を見せずに写真をマーニに返した。
「な、なんか言いなさいよ!」
何も反応しないエイミーがシバに赤面した様子ではあるがきつく言った。
「何か言えって言ってもな、まあよさげなメイド服だな、いいんじゃないか?」
シバはエイミーの着ているメイド服の方を褒めた。
「少年、そこはエイミー似合ってるぞ、って言わないと、」
「、、、そうよ。こういう時は女性を褒めないとだめ。」
マーニとアイが服の方を褒めたシバにダメ出しした。
「似合ってるもなにもいつものエイミーの服と露出度とかあんまり変わらないし、」
「えー、でも男の子としては悩殺されちゃうんじゃないのー?」
特に悪気もなく答えるシバにさらにマーニが質問した。
「悩殺?いやだっていつもこんな格好なんだからさすがに慣れますよ、」
何を分かりきった事を聞いているのかという面持ちでシバは単と答えた。
「だってよ、エイミーちゃん、、あれ?エイミーちゃん?」
笑顔でエイミーに話を振ったマーニだがエイミーの姿が見当たらない。
「エイミーさんならここにいますけど、、」
ベルカが困ったような笑みを浮かべながら足元を指差した。
そこには四つん這いになり絶望した表情で真っ白になっているエイミーがいた。
「あちゃー、これは相当、、」
「、、、これくらいが丁度いい。」
マーニは少しやりすぎたかなとやや心配した面持ちだがアイは何やら嬉々としている。
「おい、エイミー大丈夫か?」
白くなっているエイミーの肩をポンと叩くシバだったがエイミーに反応はない。
「そんなに気にすることないだろ?いつも通りのエイミーじゃないか、元気だせって、」
励ますように言うシバの言葉にピクリと反応するエイミー。
「、、、元気出せ、、?」
「ん?」
「元はといえばあんたのせいよーー!!」
エイミーは思いっきり飛び上がり彼女の渾身の拳がシバの顔面に炸裂した。
「なんで俺ぇーーー!!」
天井近くまで吹き飛ばされたシバはこう思った。
(女心は分からん、、てか元凶ってマーニさんじゃん、、)




