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勇者X  作者: 厚揚げどーふ
一章 旅立ち編
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6話 勇者の行方

アレフ「よーし! 着いたぞ、アリベル!」


「ここが……ギルド?」


目の前には、大きな看板を掲げた建物があった。

扉の向こうからは、賑やかな話し声が聞こえてくる。


アレフ「そう! 冒険者が集まる場所だ!」


「冒険者……?」


アレフ「おう! まあ、とりあえず入ろうぜ!」


アレフに促され、アリベルは建物の中へ足を踏み入れた。そこには、様々な格好をした人々が集まっていた。大きな剣を背負った者。杖を持った者。受付で何かを相談している者。


そのギルドの中の一角には、さまざまな依頼が貼り出された掲示板があった。魔獣の討伐、薬草の採取、商人の護衛。中には、見慣れない文字で書かれた依頼もある。


「うわぁ、すごいな! こんなに依頼があるんだ!」


アリベルは目を輝かせながら掲示板を指さした。


アレフ「魔獣討伐って書いてあるだろ? 魔獣を倒して、その証拠を持って帰れば報酬がもらえるんだ!」


「倒すだけでお金がもらえるの?」


アレフ「そういうこと! もちろん、依頼によって難しさも報酬も違うけどな!お金がないアリベルはここをたくさん利用した方がいいと思うぞ」


…ぐっ…お金がない、という現実を突きつけられたアリベルは心に少しダメージを受けながら掲示板をじっと見つめた。森の中で暮らしていたアリベルにとって、何もかもが初めて聞く話だった。食べ物を手に入れることも、寝る場所を確保することも、これからは自分で考えなければならない。


「……僕も、冒険者になれるのかな?」


アレフ「なれるんじゃないか? まあ、登録とか必要だろうけど!」


「登録……?」


アレフ「細かいことは受付で聞けばいいって!」


アレフはあっけらかんと笑った。


アリベルも、つられて少し笑った。


森の中で暮らしていた頃、食べ物や住む場所に困ったことはなかった。だから、お金を稼ぐということ自体が新鮮だった。


「じゃあ、僕も何か受けてみようかな……」


アレフ「おっ、いいじゃん! でも、最初から難しい依頼を受けるのは危ないからな。まずは手頃なやつにしようぜ!」


アレフは掲示板を見回し、ひとつの依頼書を取り外した。それは、村の近くに出没する魔獣の討伐依頼だった。危険度は比較的低く、初心者でも挑戦しやすいものらしい。


アレフ「これならどうだ? 遠くまで行かなくていいし、初めての依頼にはちょうどいいと思うぜ!」


アリベルは依頼書に目を落とした。


「うん。これにする!」


こうして、アリベルは初めての魔獣討伐依頼を受けることになった。そして依頼の手続きを済ませようとした、そのときだった。


「……ん?」


掲示板の隅に、一枚の紙が貼られていることに気づいた。


そこには、大きな文字でこう書かれていた。


――――――『勇者ハル、行方不明』――――――



「勇者……?」


思わず、その紙へ近づく。


「ねえ、アレフ。勇者って……あの勇者?」


アレフ「ん? どの勇者だ?」


「絵本に出てくる、魔王を倒す勇者!」


アレフ「ああ、勇者ね!」


「勇者がいるってことは……魔王もいるの?」


アレフ「いや、魔王なら千年前に討伐されてるぞ」


「えっ!? そうなの!?」


アレフ「そうそう。今の勇者っていうのは、ちょっと意味が違うんだよ」


「意味が違う……?」


アレフは壁の紙を見上げた。


アレフ「勇者ってのは、異世界から来た人間に与えられる称号なんだ」


「異世界……?」


アレフ「そう! この世界とは別の世界から来る人たちがいるんだってさ!」


「そんなことがあるんだ……!」


アレフ「しかも、そいつらはこの世界じゃ見たこともないような武器を使うらしいぜ!」


「見たこともない武器……」


アリベルは、もう一度『勇者、行方不明』と書かれた紙を見た。


勇者とは、絵本の中にだけ存在する伝説の人物だと思っていた。


けれど、どうやら違うらしい。


この世界には、異世界からやって来る勇者がいる。


そして、その勇者が今、行方不明になっている。


「……いったい、何があったんだろう?」




アリベルはしばらく考え込んだが、やがて掲示板から目を離した。


今の自分には、まだ知らないことが多すぎる。


まずは、目の前の依頼をこなすことから始めよう。


アレフ「よし!行くか!」


そうして、初めての依頼が始まった

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