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竜の愛し子と魔法使い  作者: 中村悠
第六章 友人Aの場合
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01.敬愛と友情

 精霊や魔法、古の力が多くを占める世界。それぞれの国で使う魔力も異なる者達が互いに惹かれ合うーーー。第六章は、ヘファイス国王太子の友人Aの恋の話。

(時期的には竜王と魔導師が結婚、オシアノスがミミルファに滞在する辺りでのヘファイス国が舞台です。第一話は毎度毎度の説明回です)




 魔法研究の国へファイス国、この国では十歳を迎えたカーリの季節に子ども達は学校に通い始める。貴族も平民も関係なく、その子の能力に見合った学校に通うことができるのだ。

 魔力の研究を行う予備機関としての学校や、製造部門生の予備工学系の学校、農業や商業などの学校、調理や、様々な種類の学校が存在するが、王族や貴族の子らはそれまでにある程度学んでいるため、高位貴族学校へと進むことになる。メイテウス殿下も例にもれずその学院に通うこととなっている。


 能力主義のこの国では無礼さえはたらかなければ、誰もが対等に話をすることができ学校では王族とですら交流を持つことができる。メイテウス殿下にも気のおけない友達ができ日々熱く議論を交わしている。友人達の名は、アクロレーン、ビットラジン、クマーリン、デュモールサン。通称「友人ABCD」だ。



 社交的でいつも話題豊富なアクロレーン、真面目で優しいビットラジン、見た目も中身もクールなクマーリン、お調子者のデュモールサン。

 友人BとD、ビットラジンとデュモールサンは貴族ではない。真面目なBは、その気質からいつも実直で真っ直ぐだ。Dは平民だからこそフランクに接することが出来るのか、はたまたデュモールサンの性格か、初めから敬語もあまり使うことなく殿下に接していた。いくら「対等に扱え」と殿下直々のお言葉だったとしても貴族として育ったアクローレンにはなかなかハードルが高かったが、ムードメーカーのDが気楽に殿下に声を掛けているうちにみんなが気さくに話しかけられるようになっていた。後でDに聞いたら「俺、敬語とかってうまく使えなかったんだよね」って笑って言っていたがその時のみんなの驚いた顔が忘れられない。確かにその後Dは学校生活で敬語がうまく扱えるようになって、殿下にきちんとした態度で接するようになった、表向きは。







 入学前に父からは、「お前が嫌でなければ殿下のお側に入るように」と言われた。ただしそれは義務ではなく自分の意思で選んでも良いと。


能力主義のこの国では長けたものはどんどん掬い上げ貴族の称号を与えることに躊躇わない。その代わり、怠惰を嫌った。そしてそれを体現するように、殿下は研鑽に励む素晴らしい方だった。

殿下は研究者としての質は類まれなるものだ。ただしそのかわりといってはなんだが、それ以外の面において、日常をこなすと言う能力は無いに等しいお方だった。

なので殿下のお人柄を嫌いでなければお側に居て欲しいと、できることならサポートしてほしいと父から言われた。私の父は魔法研究所の副所長だったので、殿下の幼少期より人となりをよく知る人物だった。が、実際には父親に頼まれなくてもメイテウス殿下はそばにいたいと思わせる人物だった、というかそばにいて支えてやらなければと思わせるようなそういったお人柄だった。


 研究においてはものすごい能力を発揮する、がそれ以外は何にもしない、何もできない、興味がない、人間関係に無関心な方だった。だけど友人ABCDはそんな殿下が大好きで、殿下と楽しい学園生活を送ることが楽しみだった。自分たちに興味を示していないことは明らかだったが、友人たちの能力には関心を寄せてくれているのがわかったし、評価もしてくださる。

真っ先に平民のデュモールサンを褒めたたえた時の殿下の輝いた瞳と、Dの感極まった様子を思い出すだけで温かい気持ちになる。


だからといってそれ以上に踏み込んでこない殿下に、さばさばした性格の友人四人は好感を抱いたのだ。そして貴賤を問わず能力を評価する殿下は、評価を下すことのできる優秀な方であることが論理的思考を好む四人に評価されたのだ。



「能力の無いものは、王族だって廃されるべきだ」



 陛下は常日頃そうおっしゃっていると父から聞かされていたが、それを目の当たりにした。がしかし、生活能力はまるでないメイテウス殿下。四人が支えて差し上げたいと思ったのも無理からぬことだったろう。


 その殿下であるが、唯一研究以外のことで興味のある対象がある。

婚約者のフェンネラ様だ。叡智冷徹の女神と名高いフェンネラ様。

殿下の唯一の関心事であり、殿下の心を揺さぶることが出来るお方。



「フェンネラは私の一番の研究対象だ」



 メイテウス殿下は笑ってそう話してくださった。






 そんな殿下は私の恋心になんてきっと気づくことはないだろう……。








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