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続・ビバ!政略結婚  作者: よだ ちかこ
最終章 にぎやかなお屋敷
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最終話 ビバ、結婚生活!

 平日、一臣さんが仕事でいない間、首もすわってきた臣ニを連れて壱弥とプレイルームに遊びに行く日も多くなった。潤君は、シフトが休みのママだったりパパだったりが一緒に遊びに来ていたが、斗來君はほぼ毎日ママが来ていた。


 すっかり私は斗來君ママと仲良くなった。天気が良ければ、芝生の広場で遊ぶことも増え、芝生の広場から子どもたちの笑う声が響き、お屋敷はいつもにぎやかになった。


 お正月休みは、コックさんやメイドさんも里帰りをする。斗來君も潤君も里帰り。お義母様はヨーロッパに旅行に行き、お義父様は国内のどこか温泉に行くのだと、わくわくしていた。いまだにこの夫婦は別々に楽しんでいる。


 私たち4人家族は、上条家にお邪魔していた。如月お兄様の家族も泊まりに来たので、上条家がにぎやかになった。祖父も祖母も父も、大喜びで孫やひ孫の相手をしてくれた。


 一臣さんも兄とお酒を呑みかわし、いつものごとく仕事の話に花を咲かせた。そして、お正月休みはあっという間に過ぎた。


 正月明け、私は仕事に復帰した。臣ニも託児所に預け、フルで仕事を再開。一臣さんのサポートが主な仕事だが、他にもプロジェクトに参加することになった。


 若いお母さんからの提案で、子どもも安心して食べられる体に優しい食品。環境に優しい洗剤などを提供する。ブランド名はカランをそのまま採用。衣服も体に優しい素材を使用していて、ベビー服や、子ども服なども提供していたので、食や生活必需品も、優しいものをカランで提供しようという試みだ。


 一臣さんは新しい事業への挑戦を、どんどんしていこうと決めたらしく、社員からのいろんな意見を募っていた。そして、そのうちの一つが私が携わることになったこのプロジェクト。

 他にも採用されたものがあるらしく、一臣さんもそのプロジェクトをすでに立ち上げて進めている。


 ということで、一臣さんは常に忙しい。だけど、とっても充実をしているのか常に元気で行動的。前みたいなプレッシャーを感じている一臣さんとは違っていた。


「弥生も会社に来るようになったし、そりゃ俺も元気になる」

「そうなんですか?」

「俺の原動力は弥生だぞ?お前もだろ?」

「はい!一臣さんが原動力です!」

「だろ?」


 そう言って一臣さんは嬉しそうに笑う。ああ、そんなふうに笑ってくれて、私も最高にうれしい。

 子どもたちとの楽しい時間も幸せだったけれど、一臣さんと一緒に仕事をするのも最高なんだよね!



 平日の昼間、私が仕事を復帰をすることを斗來君ママは残念がっていた。せっかく毎日ママ友と楽しい時間を過ごせていたのにと。だが、1月末に2人目を出産し、斗來君を引きつれ1か月実家に帰ることとなった。そして、二人目が保育園に入れるようになったら、斗來君ママも仕事を復帰するらしい。寂しがっていられないくらい、多分慌ただしくなるだろう。


 3月になり、嬉しい報告を受けた。なんと亜美ちゃんが妊娠したのだ!年内には出産をする。また新たなベビー誕生だ。ますますにぎやかになるだろう。


 子どもたちがみんな大きくなってきたら、森で肝試しやキャンプをしても楽しそうだ。

 一臣さんが子どもの頃できなかったことを、一つずつ大勢で楽しく叶えていきたい。


 静まりかえっていたお屋敷を、どんどんにぎやかにしたい。


 なんだったら、私も3人目、4人目を作ってもいいかなあ。なにしろ、いまだに一臣さんは子どもたちが早くに寝ると、私に襲いかかってくるし…。

「一臣さん、もし3人目とかできたらどうしますか?」

 ある日、そんなことを聞いてみた。


「出来たのか?!」

「いいえ。まだですけど」

「いいぞ。3人でも4人でもぽこぽこ産んでくれてかまわない」

 ああ、弥生はぽこぽこ子どもを産みそうだって、そんなこと言われたっけね。


「だけど、もう少し間を開けよう。エッチを楽しむ時期が欲しいからな」

 またもエロ親父発言。

「しん君が2歳くらいになったら、3人目を考えてもいいですよね?」

「そうだな。今度は女の子でもいいぞ。名前は…」


「名前?いっつも一臣さん、気が早いです!」

「そうか?男だったら、三をつけないとならないか?女の子だったら、そうだな~~~」

 ああ、本気で考えだした。でもそのうち、ま、いっかって言うんだろうなあ。

「う~~~~~ん。弥生に似るかな。可愛いだろうな」

 あれ?名前考えていたんじゃなかったの?なんだかにやけているけど。


「まだ時間がある。もう1回できるな」

「は?」

 うわ~~~。思いきり熱いキスしてきた。名前はどこにいったの?


 そんなこんなで、私と一臣さんはずっとラブラブだ。



 数年後にはさらに子どもが増え、プールやテニスコートもいつもにぎやかになるだろう。そのうち、一臣さんは壱弥とテニスで試合をして、もしかすると負かされる日が来るかもしれない。


 壱弥は次期緒方財閥総帥という使命を負わされているけれど、たくさん遊んでたくさん学んで、たくさんの信頼できる人たちと関わりあって、そして、今の一臣さんみたいに、緒方財閥を支える人たちを、しっかりと守っていってほしい。


 

 

 10年後。


 一気に10年の歳月が過ぎました…。それはそれは、にぎやかで慌ただしい毎日でした。

 壱弥は12歳。臣ニは10歳。いまだに寮には斗來君とその弟の拓瑠君もいますが、ママは美容院を経営していて、パパのほうも、自分のレストランを開く準備にかかっているところです。


 潤君もいます。潤君には4歳下の妹がいて、その子が私たちの3番目と仲良しです。


 我が家には今、4人子どもがいます。臣ニの2歳下に女の子、さらに2歳下に女の子。3人目は5月生まれなので「早月」、4人目は1月生まれなので「睦月」。名前を必死に考えていた割には、最後には一臣さんが、「もう、5月生まれだから早月でいいんじゃないか?」と、決めてしまいました。


 もしかして面倒だったのかなあ。4人目なんて、睦月って名前にするから1月に生まれるように仕込むぞ...って、名前に合わせて子どもを作っていたからなあ。それもうまく妊娠しちゃって、ドヤ顔していたし…。


 ということで、私も4人兄弟だけど、うちの子たちも4人兄弟になりまして、メイドさんたちの力も思いきり借りて、無事元気に育ちました。


 4人とも私に似たのか一臣さんに似たのか、とってもやんちゃぞろい。屋敷内の芝生の広場だけでなく、森の中にも探検に行ってしまうので、そのたび忍者部隊にお世話になったりしました。


 4人とも武術好きな子になり、カンフーは樋口さん、合気道は私、他にも柔道やら空手は、辰巳さんに教わりました。時々私の実家にも行って、おじい様やお父様に剣道も教わりました。


 そうそう。今は一臣さんの隣の部屋は、女の子二人の部屋になり、男二人は、一人ずつの部屋を与えられています。8歳と6歳の女の子たちはとても仲は良くて、とってもおしゃまさんでもあり、二人して時々お姫様ごっこをして遊んでいます。


 男二人のほうがまだまだ子ども。壱弥はもう中学生になったというのに、いまだに臣ニと木登りなどをして遊んでいます。


 週末は家族6人でテニスをすることもあれば、プールでのんびりすることもある。連休や夏休みなど長い休みの日は、軽井沢の別荘に行ったり、ハワイに行ったりしている。もう一臣さんのおじい様はお亡くなりになったのだけれど、おばあ様が健在で、私たちが遊びに行くと、時々コテージに顔を出しに来る。


 今年の夏休みもハワイに家族で遊びに行った。

「屋敷のほうに泊ってもいいのよ、一臣」

とおばあ様が言って下さるけれど、一臣さんは断った。

「ハワイに来たら、海が真ん前にあるコテージがいいんだよ。それに屋敷のメイドたち、じじいのメイドだったんだろ?どうも弥生に対して態度が悪いから、あんまり関わりたくない」

「そんなこと、私が言ってきかせますよ」


「いいんだって。このコテージは部屋数も3つもあって、家族水入らずで誰にも邪魔されずのんびりできて、誰にも気を使わないですむし楽なんだ。それより、ハワイにばあちゃん一人になって、寂しくないのか?」

「別にあの人がいてもいなくても、大差ないから。私は今まで通りの生活をしています」

 おばあ様はそう言って、お屋敷に戻っていった。


 おじい様は、結局壱弥とも誰とも会わずに亡くなってしまった。家族を大事に思うことも一度もない寂しい人生を送ったんだな...と一臣さんはそんなことをつぶやいたっけなあ。


「それに引き換え、親父とおふくろは、孫に甘いのなんのって。今回もハワイについていくと親父が言い張って、まじうざいよなあ」

「一緒に来たらよかったのに」

「去年一緒に来てどうなったか忘れたのか」


 そうだった。去年は張り切って一緒に来て、子どもたちと泳いだり、おおはしゃぎをしたお義父様は、ぎっくり腰になり、私たちもそのお世話をして、のんびりできなくなってしまったんだ。


「もう老いぼれているんだから、日本で温泉でも入っていたらいいんだよ」

「夏にですか」

「いいんだよ。年寄なんだから」

 そんなに年でもないけどなあ。


「会社も世代交代して、じじいどもも引退したしな。エロ専務だけは残っているけどな」

 常務とか、専務とか、がらりと変わったもんなあ。


「父さん!泳いできてもいい?」

 水着になった壱弥が私たちの部屋に来て聞いてきた。

「いいぞ、俺も弥生もあとから行くから。あんまり沖には行くなよ」

「わかった!」


 臣ニと一緒に壱弥は海岸へと早速走っていき、女の子二人は部屋で、きゃっきゃと何やら楽しんでいる。

「早月、睦月、海に行かないの?」

 部屋をのぞくと、二人で水着に着替えてはいるが、ベッドカバーを頭にかぶったり、体に巻いて、どうやらまたお姫様ごっこをしていたらしい。


「はいはい、お姫様たち、そろそろ海に行きますよ」

 一臣さんが来てそう言うと、

「は~~~い」

と二人は手をつないで仲良く部屋を出て行った。


「あの二人はマジで仲いいよなあ」

「一臣さん、知ってます?」

 二人のあとを一臣さんと歩きながら、私は一臣さんに聞いた。

「二人とも、パパみたいな王子様に出会うことを夢見ているんですって」


「……ん?パパが王子様?」

「そう。王子様なんですって!」

「はははは。そうか。まあ、そうだな。こんなかっこよかったら王子に見えるよな。でも、俺が理想だったら、そうそういないぞ、そんなかっこいいやつ」


「……」

「弥生もそう思うだろ?」

 ドヤ顔で聞いてきた。

「はい。私にとっても、一臣さんは王子様だから。私はそんな王子様に出会ってラッキーでした」

「……弥生に王子様って言われると、ちょっと怖いんだよなあ。早月と睦月なら嬉しいのに」

「なぜですか!もう~~~」


「ははははは!」

 10年たっても二人のやり取りは変わらない。


 海岸には、長いすとテーブルも並んでいて、お屋敷のメイドさんがトロピカルなジュースを持ってきてくれた。以前はモアナさんが来てくれたっけ。モアナさんはいまだに日本のお屋敷にいて、侍部隊の人と結婚をした。どこでどう知り合ったのかはわからないけれど、お屋敷内で会ったんだろうなあ。


 トロピカルなジュースを運んでくれたのは、まだ20歳くらいの若い女の子。当時のモアナさんを思い出す。


「なんだか、新婚当時が懐かしいですね」

「ああ、あの時は俺と弥生の二人だったのになあ」

 長いすに座って二人でのんびりとしていた。子どもたちは海や浜辺でおおはしゃぎをしている。4人もいると、子どもたちだけで遊んでくれるから結構助かる。


「明日はテニスでもするか」

「はい」

「午後はイルカでも見に行くか」

「はい」


「その船で、サンセットクルージングもいいな」

「ふふ。でもきっと、にぎやかになっちゃいますよ」

「そうだな。二人でロマンチックっていうのは当分無理だな」

「でも、にぎやかなのも楽しいです」


「ああ。結婚する前に弥生が言っていたことが、次々と叶っているよな」

「はい。一臣さんが子どものころ出来なかったことですよね」

「そうだ。喜多見さんにハワイに来る前に言われたんだ」

「喜多見さんに?」


「ああ、弥生様と結婚して、色々と叶えられて良かったですね。あの時弥生様を手放さないで、本当に良かったですねって」

「あの時って、私が婚約破棄をすると言った時ですか?」

「ああ…」

 一臣さんは優しい目で私を見ると、

「弥生と結婚出来て、本当に良かったと思っているぞ」

とほほ笑んだ。


「父さん、母さんも一緒に泳がない?」

 壱弥が呼んだ。

「俺らはいい。こうやって二人でのんびりしたくてきたんだから」

 一臣さんが大声で答えると、

「ママもパパも、仲いいんだから~~!」

と早月が笑った。


「仲良し~~、ラブラブ~~~。王子様とお姫様みた~~い」

 そう言って喜んだのは睦月だ。

「弥生がお姫様らしいぞ」

 一臣さんは肩眉を上げてくすっと笑った。



 あ~~~、幸せだなあ。素敵な夫と、可愛らしい子どもたち。

「日本に帰ったら、5人目でも作るか」

「え?!い、いえいえ。4人で子どもは十分です」

「なんだよ、まだまだぽこぽこ産めそうなのにな」

 一臣さんは相変わらずだけど…。


 ビバ、私の結婚生活!!!!





長い間、ありがとうございました!!!


読んでくださった皆様、感謝です。


ビバ!政略結婚の続編も、ようやく終わりになりました。


お付き合いくださり、本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ずっと更新を楽しみに読んできました!終わってしまった…・°°・(>_<)・°°・。 2人が出会うところから今まで何度も読み返しては涙したり笑ったりしていたので、少し寂しいです。 いつか子供…
[一言] 楽しませてもらいました。 楽しい、前向きな雰囲気ありがとうございました
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