精神-14
「どうも私、警視庁の一川と申します」
野神を訪ねてきた一川警部と絢巡査長の二人。
「警察がなんですか! 僕は疑われる理由は何もないはずだ!!」
早々に激昂する野神に「いや、疑っているわけではないとですよ」と困った顔で宥める一川警部。
「じゃあ、何なんですか!」
「あのですね。殺されたのが、熱海長四郎という探偵でして。ご存知ですよね?」
絢巡査長が本題を切り出すと、野神はまたかと言わんばかりの顔をした。
「確かに知り合いですけど、それが何か? 知り合いというだけで疑うんですか!?」
「いや、疑ってはいないですけど・・・・・・・」
「何を怒ることがあるとですか?」
当然の質問をする一川警部に「怒らせてるのはあんた達だ! 仕事中に押しかけて!! 警察ってのは暇なのか!!!」と恫喝する。
ああ、例のアレだと思う刑事二人。
「暇を持て余した刑事の遊びですから」
一川警部がニコッと笑うと野神は般若のような顔をする。
「それでですね。昨日、どこに居ましたか?」
「何ぃ〜」
「いや、何ぃ〜 じゃなくて・・・・・・・ お答えください」と絢巡査長は冷静に物を言う。
絢巡査長のマジトーンを聞いた野神は反論せず「家に居た」とポツリ答えた。
「証明できる人は?」
「いない・・・・・・・・」
「分かりました。またお話を聞くことがあるかもしれませんので、その際はよろしくお願いします」
絢巡査長は野神に一瞥し、一川警部を連れてその場を後にした。
捜査車両に乗り込む刑事二人。
「長さんの言うとおりの人やったね」
「そうですね・・・・・・・」
絢巡査長は何か思うところがあるようだった。
「絢ちゃん。なんか気になることでも?」
「いや、あの人が犯人というのは分かるですけど・・・・・・・」と前置き「犯人の癖って言うんでしょうか。そう言うのが無いというか」とモヤモヤするといった顔をする。
「分かるぅ〜 動揺ってのが無いよね。あれは、おかしいばい」
「ですよね」
「刑事が何回か行っているわけじゃない。しかも、殺人事件の聞き込みで。うんざりするのも分かるけど、あれは・・・・・ねぇ」
「認めますかね?」
「どうやろ? そこが腕の見せ所やね」
一川警部は光り輝く頭をペチペチ叩いて思案する。
車内に着信音が流れる。
絢巡査長はハンドルに付いている通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「もしもし、絢さん!! 目撃証言取れました!!!」
「ありがとう!!」
「あ、ラモちゃん。一川ですぅ〜」
「どうも」
「ラモちゃん。もしかしたら、野神に狙われるかもしれんけ気をつけてね」
「はぁ〜い」と気のない返事をする。
「一川さんの言うとおりだから、本当に気をつけるんだよ!!」
絢巡査長も長四郎の件があるので、語気を強めて言う。
「はぁ〜い」
燐は自覚がなく気のない返事をする。
「じゃ、失礼しまぁ〜す」
通話を切った燐はふぅ〜っと息を吐く。
聞き込み先から、長四郎の事務所に向かう。
40分後、最寄駅の五反田駅に到着して燐は長四郎の事務所へ行く。
そして、事務所の前に到着すると同時に燐は口を抑えられ羽交締めされる。
何かを嗅がされガックリと身体から力が抜け、そのまま連れ去られた。




