精神-13
「今度はなんですか?」
仕事を終えた野神のもとに、長四郎と燐が待っていた。
「いや、その後どうかなと思いまして」
「どうもありませんよ」
「ねぇ、どうして刑事に追われていたのか、気になりません? というか、報告書読んで頂けましたか?」
燐が野神に優しく質問した。
「・・・・・・・」無言の返事をする野神。
そんな野神を見て、長四郎と燐は互いの顔を見合わせああ、これは読んでいないなと踏む。
「一応、確認なんですがここ最近、世間を賑わしている殺人事件はご存知ですか?」
長四郎はいきなり本題を切り出す。その瞬間、野神の眉が歪む。
「な、なんなんだ!! いきなり!!!」
「いや、単なる世間話をしただけじゃないですか」
「何ぃ〜」
「怒ることかね?」燐が長四郎に尋ねると「ねぇ」と長四郎は燐に賛同する。
ふひっ、ふひっ 鼻を鳴らす野神は「あんたら、何なんだ!!」と激昂する。
当然ではある。いきなり来て、訳のわからない世間話をするのだから。それでも、長四郎と燐はめげずに話を続ける。
「実は面白い話を聞きましたので、野神さんにもお教えしようかなと」
「どんなことだ?」少し興味を持つ野神に「実は電動キックボードから犯人を追えそうなんですって」と長四郎は嬉しそうに言う。
「それが、面白い話ですか?」
「ええ。これで野神さんの無実は証明されるんですけどねぇ〜」
「そんなことを言うために、わざわざ来たのか!!!」
「はいっ」燐は元気よく返事をして、「ちょっと、面白そうなので」と付け加える。
「あんた達、暇なのか!!!!!」
「暇を持て余した神々の遊びなので」燐は笑顔で答える。
「何っ!?」
今にも掴みかかってきそうだったので、「じゃあ、失礼しました!!」長四郎はブヒブヒ話を続ける野神の元から去っていた。
それから数時間後、野神はフードパーカーのついた服を着てアパートを出た。
「ふふ〜ん」
何か鼻歌を歌いながら、フープの乗り場に向かう。
スマホで料金を支払うと、フープに乗り走り出す。
ヴィ〜ンと電子モーターに負荷がかかる音を立てながら、走り続ける。
“目的地に到着しました”
スマホからアナウンスが流れる。
「よしっ!!」
野神の乗る電動キックボードはある場所で停車した。
「ふふふ〜ん」
上機嫌な感じで階段を昇り、階段を行き着いた先にあるドアのノブを回す。
だが、ドアノブは回らず、カチャカチャと音を立てる。
「チッ」舌打ちと共にその巨体を活かしドアを蹴破る。
部屋を入ってすぐにあるソファーに寝転がる人物を見て勝ち誇った顔をするのだった。




