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蒼ノ旅人 ー蒼風のヘルモーズー  作者:
『オルカストラ』編〈2〉
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第89話 歌姫が欲しいもの

 アエルさんの屋敷と同程度の規模をしている豪邸にて。

 僕がすることなのか!? 

 と素直に思う、言うなれば正月前の大掃除みたいな過酷な家事をやらされて、くたくたになりながらやや埃っぽいベッドで目を瞑り、長い一夜を明かした、翌日。

 パチっと日の出とともに目を開いた僕は、綺麗さっぱりに疲れが取れている身体を起こして、早々に着替えを済ませて、部屋を出た。

 肩を回しながら廊下を歩く。

 昨日の夜にボイラさんとラーラ、そして僕の三人で食事を摂った、三人分の椅子、そして三人分の料理を並べるとぎゅうぎゅうだった小さな円形の食卓がある『リビング』へと向かう。

 今の時間は大体『午前の六時半』くらいだろう。

 朝の早い時間だけど、大抵の人が起きる時間帯だとは思う。のだが、屋敷から全くと言っていいほどに『音』が聞こえてこないんだよな。もしかしてだけど、まだ二人とも寝てるのか? 

「おはようござ——って誰もいない。やっぱり、まだ二人とも寝てるのか」


 廊下を歩き、階段を降りた先の一階。そこにある扉を開けてリビングの中に入った僕は、がらんどう、カーテンが閉め切られているせいで朝日が入り込んでいない、閑散と暗い室内を見て、言いかけていた挨拶を途中で切る。

 そして、昨日の今日だし。どうせ『僕が朝食を作らされるんだろう』なと思い、リビングから厨房へと移動。

 あまり貯蔵されていない食糧庫の中に入り、朝食に使うものを探した。そんなこんなで朝食——昨晩に用意しておいたパンと、甘いカボチャのスープを誰もいない食卓に三人分を並べた。


「おはようさん」


「あ、おはようございます」


 七時半。朝食の用意が済んだちょうどなタイミングで起床してきたのは、インパクトのある黒革のズボンと、僕が着ているワイシャツと少しだけ違う、前面の布に波打ったようなアクセントが付いているベージュ色のシャツを着た、この豪邸の主人であり、オルカストラで知らぬ者は居ないとラーラが自信満々に言っていた、漂う朝食の香りに鼻を鳴らすボイラさんだった。


「お〜美味そうなスープだ。はっ、何も言わなくても食事を用意してるたぁ、ヒュウルは『物分かり』がいいんだね。しばらくの間は『宿泊代』として、よろしく頼むよ」


「は、はい…………」


 やっぱり、客人のはずの僕が家事をさせられるのかぁ、と。ニイッと笑うボイラさんに、ハッキリと明言されてしまった僕はガクリと首を折る。

 そしてラーラが起きてくるのを待った。

 しかし、早々に食卓についたボイラさんは、自分だけ先に食事を始めてしまっていた。

 それを『マジか』と見ていた僕が、この家庭ではまだ居ない家族を待ったりせずに、食卓に出てきた食事は各々で食べていくスタイルなのか? と思っていると。

 ボイラさんが『ふんっ』と鼻を鳴らしながら、まだ手を付けていない食事の催促をしてきた。


「え、あの、ラーラを待ったり——しないんですかね?」


「ああ? あのバカちんが起きてくるのは昼前だよ! だからさっさと飯を食っちまいな! 冷えちまうよ!」


「あ、ああ、はいっ」


 確かに、昨日は夜遅くまで家事を手伝ってくれていたし、朝起きるのが遅くなるのは仕方ないよな。まあ、ボイラさんの反応的に、いつも『昼前起床』だという様子なのだが。

 僕は温くなってしまっている、マキネさんの真似をして作った『カボチャスープ』にスプーンをつけて、口に運んだ。


「うん——美味しい」


 僕は空いた胃の中に、アイリ村を思い出す味がする料理たちを流し込んでいき、迎えたばかりの短い朝方を終えた。


 * * *


「さ、行きましょ」


「えっと、何の買い物に行くの?」 


 現在時刻は午後の一時過ぎだ。

 ラーラが起きてきたのは十一時ごろで、彼女は朝食兼昼食を摂ってすぐ、魔王から護るという依頼はどうなったんだと思いながら、オムライスを装っていた食器を片付けていた僕へと、

 

「買い物したいから、ソラも一緒に来てくれない? ふふ。買ったときの荷物、お願いね?」


 という、ボイラさんの『見張っとけ』という視線と、彼女のことを『護る』という依頼から、普通に拒否権がない僕は、強制的に買い物に付き合わされてしまった。ラーラの小悪魔的な意地の悪い笑みと言い方的に、僕はボディーガード兼、体のいい荷物持ちということなのだろう。

 僕は「はあ」と溜め息を吐きつつ。

 これも依頼のようなものだし仕方ないか——

 と無理やり納得して、買い物の内容を「秘密!」と言って教えてくれないラーラと、やや不満気な僕は、留守番をするボイラさんに「買ってきな!」と言われた、喉を焼くほどに辛いという『千年・喉沸き』という、やたらと仰々しい名前が付いている焼酎を買いに豪邸から出た。

 

「ん〜〜〜! いい天気。晴れ晴れとしてて気持ちがいいわ。ソラもそう思うでしょ?」


 僕が丹精込めて用意した朝食を食べずに、作りたての僕の昼食を食べてしまったラーラは、冷えた彼女の朝食を代わりに食べることになった僕に悪びれもせずに、そう言う。


「僕は、ラーラは起きるのが遅すぎるなって思ったかな」


 僕の苦言を聞いた彼女は、やや恨みあり気に痛いところを突いた僕に対し『意地悪ね』という感じで『スン』した表情を浮かべた。そして苦しい言い訳をツラツラと話し出す。


「仕方ないじゃないの。昨日は急に始まった大掃除で寝るのが遅くなっちゃったんだからさ」


「いや、ボイラさんは「あのバカちんが起きてくるのはいつも昼前だよ!」ってキレ気味に言ってたんだけど」


 いつも——なんて言ってなかって気がするのだが。

 まあ、反省を促すために話を『少しくらい盛る』のはいいだろう。


「げっ、お婆ちゃんにバラされてたか。まあ、まあ、まあ。起きる時間や眠る時間は人それぞれってことなのよ。また一つ知見が広がったんじゃない? よかったよかった」


 やっぱり昼前起床は常習的だったんだな。

 今朝のボイラさんの話し方的に、そんな感じはしてたんだけどさ。


「知見って——話逸らすのが露骨すぎない?」


「ふふ。私たち昨日会ったばかりなのに、結構話が合うわね。びっくらポンだわ」


「び、びっくらポン……?」


「え? びっくりした時とかに『びっくらポン』って言わない? お婆ちゃんはいつもこう言うんだけど……」


 そんな言い方する人、僕が住んでた村には一人も居なかったぞ。そういえば、爺ちゃんがびっくりした時に『驚き、桃の木、山椒の木!』って謎のネタを言ってたけど。

 それは言わなくていいか。これを言うと僕が恥をかきそうだ。


「…………あまり聞かないかなぁ。そういう言い方する人、今まで生きてきた十六年間の人生で『初めて』会ったよ」


「それってあまり聞かないどころじゃないじゃん!」


「まあ、まあ、まあ。色々な人がいるってことで、また一つ知見が広がったんじゃない?」


「うわ! 真似された……ふふ。本当に新鮮だわ。同年代の子とこんなに近くで、二人で話すことってなかったから、本当に、本当に新鮮な感じ。心から——楽しいって思う」


「そっか」


「ソラは新鮮じゃないの? 私みたいな美少女と一緒なんて緊張しない?」


 僕には無理だけど、ラーラは自画自賛とか平気なんだな。

 この点と起床時間で言えば、僕とラーラは対照的のようだ。


「自分で美少女って言うの? えっと、僕は別に緊張とかはしないかな」


「なんで?」


 グイグイくるな。これってそんなに気になることなの?


「なんでって。僕は同年代の人と一緒に歩くのはこれが最初じゃないし。その相手が異性だからって、特別に態度を変える気にもならないし……だから緊張しないのかな?」


「……ふふっ。なんで疑問形なのさ」 


「僕にも分かんないからかな?」


「へ〜〜〜。また一つ知見が広がったわね? ふふっ。さっきのお返し。さっ、あそこに停まってる馬車に乗りましょ」


「うん」


 特に何も言うことのない。特別なことなど何もない、談笑。

 まだお互いのことを何も知らない二人は、相手のことを探り合うように話しを続ける。それは『平和』そのもので、不安など何一つない、普遍とも思える、緩やかな時の流れであった。


 * * *


「せっかくの遠出だし、カビ臭い馬車は嫌よね。ソラもそう思うでしょ?」


「僕は別になんでもいいんだけど……」


 ということで他の馬車と比べて比較的『小綺麗』な馬車を選ぶべく、客待ちで道端に停まっている馬車の中から、お目当ての馬車を選り好みしていくラーラの審美眼に『なんでもよくないか』と溜め息を吐きながら任せること、十数分。

 ようやく「これにしましょ」と決まった、少々埃っぽいが、彼女が嫌がっていたカビ臭さは、僕が乗った馬車と比較して薄く感じられる——それでも臭う——馬車に乗り込んだ僕達は、軽い雑談を交わしながら街中を移動していき、午後三時半。

 約二時間の移動を終え、僕達は歩みを止めた。


「まさかだけど、買い物って……こ、ここで?」


「そ。こういうのが『隠れ家的』ってやつなんでしょ?」


「か、隠れ家っぽいけど……一体、誰が隠れてるのさ」


「中に入れば分かるわよ。さ、行きましょ」


「え、ええ…………」


 買い物をするために向かっていた目的地に到着した僕は、目の前に建っているそれを見て、疑り探るように目を擦る。

 迷路のように複雑に入り組んでいるミファーナの路地を迷いなく進んでいくラーラについて行った先に広がったのは、ややどころではない、かなり怪しい雰囲気が漂っているボロボロの。

 全体を黒く塗装している木造の一軒家だった。

 世界的にも有名な『歌姫』が行く『店』って、華やかなところなんだろうなぁ——

 と思っていた僕の純情は、この時、裏切られた気がした。

 まさかまさか。目の前にある建築物からは、誰がどう見ても『怪しい』と感じられる雰囲気が漂ってきているではないか。

 まるでこの建物を他の建物が避けているみたいに、不自然なまでに土地が開けているし、建物の煙突からは普通ではない『緑色』の煙が立っている。まさかとは思うが、


『国際法で禁止されている薬物が売っている店は大抵が見た目が超怪しいから、そういうところには絶対に近づいたらダメ!』


 ってカカさんが言っていた通り、ここは違法薬物を売買している違法店とかじゃないよな?

 目の前の怪しい建物に釘付けになっている僕は、


「行きましょ」


 と言っているラーラを心底疑うような視線を向ける。その視線に対し、キョトンとした表情を浮かべるラーラは、僕の心情を察したのか、面白おかしそうに笑い噴き出した。


「ふふっ——あはは! あのね、ソラ。ここはお婆ちゃんの友達がやってる魔法店兼住宅なの。変な店ではあるけど危ないところじゃない。だから安心してちょうだい」


「ま、魔法店……? な、なにそれ……」


「私もあんまり詳しくはないけど魔法店って、魔道具とか、魔法使いが使う杖とか、呪術? 的なお守りとか。いろいろな『変な物』が売ってる、変なところなのよ」


「そ、そうなんだ…………」


「だから安心して! ほら、一緒に行きましょうよ!」


「う、うん」


 僕は笑みを浮かべているラーラの後を、沸々と感じる不安を隠しきれていない、曇り空のような表情でついて行く。

 そうして、僕がドンドンと叩いたら壊れそうだなと思える、所々から室内の光が漏れてきている隙間だらけな扉に手を掛けたラーラの後ろで息を呑んだ僕は、ただその時を待つ。

 長年の知人に会えるからか、分かりやすいくらい『ウキウキ』しているラーラが扉を開けた、その瞬間。

 ブワッと焦げた臭いを感じさせる謎の緑煙が充満していた店内から、ここが逃げ道だあ! と言わんばかりに外へと続く、開け放たれた扉から満ち満ちていた緑煙が勢いよく放出された。


「うわっ、く、臭っ! な、なんじゃこりゃあ……!」


「ケホッ、ケホッ。ぷはっ、ドディ婆ちゃーん! ラーラが『お守り』を買いに来たわよー! 返事してー!!」




 こんな『火事』が起きているみたいな、室内を埋め尽くすほどの煙の中に住人が居るなんてとても思えないのだが。

 ここに客や住人が居たとしても、その人達は果たして無事なのだろうか? 

 木とかゴミを燃やした時に出る煙は身体に有害で、吸いすぎると死ぬって聞いたことあるんだけど、こ、この量の煙は普通に致死量を超えていると思うんだが。

 煙が謎に緑色のせいで、まったく前が見えないし、ラーラの反応的にこれは『常習的』っぽいけど、これはヤバいな。この『臭い』は近所迷惑どころの話じゃない。臭すぎるぞ。


「ラ、ラーラ。こんな状態の所に人が居るわけ——」


「はいはい。ん? おや、ラーラじゃないか——ヒヒヒ」


 い、居たぁ……! 


 黒一色に見えて、所々が継ぎ接ぎされている暗色のワンピースに見えなくもない、近寄り難く感じる怪しい雰囲気を醸し出している、襤褸のような衣服に身を包む老婆は、カツカツと謎の小動物の骸骨が上部に取り付けられている杖を鳴らしながら、こんな前も見えない激臭の中を平然と迷いなく歩いてきた。

 常習的なだけあってメチャクチャ慣れてるっぽいなと思ってしまった僕は、腰が曲がりすぎて身長が百センチくらいになってしまっている老婆の姿を見て圧倒されてしまい、失礼だと思いつつも『怖っ』と後退りした。

 そんな僕など関係なしに、ラーラは嬉々とした表情で家? の中にズカズカと入っていく。


「んん? ヒハハ! ボイラから離れなかった小娘が男連れたぁ、ワシも歳を取った。こんな臭えとこに『でーと』たぁ、ラーラは何も分かってないバカちんじゃ」


「この男の子は恋人じゃなくて『ボディーガード』よ。だから今のこれはデートじゃないの。ほら、いつもの出して!」


「いつもの荒草茶だね。さ、家の中にお入り——ヒヒヒ」


「うん! ほら、ソラも早く行きましょ。家の中だけど逸れるといけないから、ほら手——繋いであげる」


「う、うん……」


 扉を解放して、形だけの換気をしているのにも関わらず、視界を完全に遮ってしまうほどの煙が滞留している室内をカツカツという乾いた音を響かせながら移動していく老婆に対し、大丈夫なのか? 

 と隠しきれない漠然とした不安を持ちつつも、ラーラを守るという重大な使命がある僕が、彼女から離れるわけにはいかないよな——

 と思い、差し出されていたラーラの手を取って横に立ち、暗すぎるし正直に言って臭すぎる室内へと、この家のことを熟知していそうなラーラに引き連れられながら、進んでいった……。


 * * *


「ギャハハハ! やっぱり臭くなってんな、ヒュウル!」


「や、やっぱり臭いますかね……?」


 酒で喉を鳴らしていたボイラさんの歯に衣着せぬ物言いに対し、僕は自分が着ているシャツの匂いを嗅いでしまう。そしてやはりと言うべきか、うわ! と仰け反りそうになるほどの焼け焦げた臭いが衣服に染みついてしまっていた。


「魚を焦がしたみたいな臭いがしてるぞ『二人』ともな」


「臭いくらい、お風呂に入って洗濯しちゃえば取れるわよ。ってことで、私は今からお風呂入ってくるわ」


「じゃあ、次は僕が入るよ……」


「ええ、そうして。……スンスン——ぷぷっ。ソラってば、本当に炭の上で焼かれたみたいな臭いがするわね」


「それはラーラも同じでしょ」


「ふふっ、それもそうね。それじゃあ行ってきまーす」


 時刻は二十時。

 あの魔法店兼魔女のドディさん宅にお邪魔した時、謎の緑の液体を煮込んだ壺から発せられていた煙のせいで、全くと言っていいほど室内は見渡せなかったのだが、なんだかんだで茶を飲み、菓子を食べ、談笑を終えて、無事に帰宅でき、今に至る。

 ドディさんは不気味で怪しい雰囲気を常に漂わせていたが、それは結局、家を出て帰るまでそのままだった。

 しかし『根が良い人』なのは確かで、僕に「若い男を見るのは目の保養だよ」という冗談を言って、大量の煎餅を押し付けてくれた。それを帰りの馬車で食べていたのだが、ほとんどをラーラに食べられていた気がしなくもない。


「で、ドディのとこに面白いものはあったのかい?」


「んんー……煙ってて、何にも見えなかったですね……」


「ギャハハ! あのババアは相変わらずだねぇ」


 もう既に酒で出来上がっているボイラさんは、赤色のソファに大胆に身体を預けたまま、魔法店の帰りに寄った酒店で購入した『千年・喉沸き』を白湯で割って飲んでいた。

 時折「カアアアアア、超美味えな」

 と口いっぱいに含んだ焼酎の旨さを口から溢し、僕に遥か彼方の故郷にいる爺ちゃんのことを思い出させた。

 そうして、彼女は足を置いていた机に並べられていた、ラーラが買いたかったもの——ドディさん謹製の『お守り』を摘み上げ、マジマジと見る。


「運命だのなんだのを信じないとか言ってたくせに、こんなのは欲しがるんだよなぁ、あのバカちんわよ」


 ラーラが遠出してまで欲しがっていたお守りは、幾重にも編み込まれた糸が木の枠を使って星形に為されただけの、なんの変哲もない『アクセサリー』に見える代物だった。

 それからは魔力とか変な力は一切感じられず、何かしらの呪いがあるようには思えない。

 しかし、このお守りにはドディさんの祈りが込められているのは確かで、僕にはそれが特別な力を発揮するのではと、そう思えてしまっていた。


「ヒュウル——ラーラは頼んだからね」

 

 酔っているのか、急に真面目な声音を発したボイラさんに、僕は迷いなく答えた。


「もちろんです。命を懸けて——ラーラを守ります」


「…………アタイはもう寝るよ。ラーラが風呂から出てきたら「アンタが風呂掃除しな」って言っときな」


「ははっ、分かりました。おやすみなさい」


 僕はガッチリと引き締められている自分の『心』を再認識した。その時が来たら、僕は魔族への殺意を、魔族への恨みを、魔族への復讐を押し殺して——ラーラを護る。


「上がったわよ。ソラも入っちゃて——って、お婆ちゃんは?」


「ボイラさんは先に寝るってさ。それと「アンタが風呂掃除しな!」だってさ」


「げえ……」


 そうして身体を洗って臭いを取った僕が休息を取ろうと部屋に行こうとした時、まだ髪が濡れたままのラーラが僕の元へ来て『ソラも手伝って?』と小悪魔的な上目遣いで掃除の手伝いを懇願してきた。

 僕は「はあ」と溜め息を吐きつつ、仕方ないなぁ——と風呂掃除を手伝うのだった。





 魔王復活の日まで、残り『四九日』

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