表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼ノ旅人 ー蒼風のヘルモーズー  作者:
『ハザマの国』編〈2〉
63/138

幕間 男は闇に復讐を誓う

「コロスゥゥゥ……絶対にコロスゥゥゥッ…………!」


 男は敵が立ち去った静寂の森を、腹這いになりながら進む。


「ゥゥゥ……ひひぃっ……グゥゥゥ…………!」


 男の両手両足は、本来ならば向かない方向に捻れてしまっており、手を地面について身体を起こすことも、足を真っ直ぐにして立ち上がることもできないでいた。


「フゥ……フゥ……フゥゥ……」


 男の全身は真っ黒く焼け焦げてしまっており、生きているのが不思議なくらいの有り様を呈していた。真正面から超火力の『大雷』を受けたのだから、そうなることに違和感などないが。

 胸骨と肋骨は露出し、肌は皮膚の大部分を失っている。瞼を失い、鼻を失い、唇を失っている。顔と呼べるもののほとんどがダメージを受け、目も当てられるほど無惨な状態だった。

 まるで火葬中に逃げ出した死体、もしくは地獄の刑罰を受けた罪人のよう。

 全身の服は大雷に飲まれた影響で全て失っている。今は露出している血肉に落ち葉を纏っただけど、質素とすら言えない、見窄らしいを通り越した格好をしている。しぶとくも生き延びることに成功した男は、顔があった時よりも凄惨な笑みを浮かべ、蛇のように地を這い動く。


 何故に彼は真正面からトウキの最大火力を受け、まともに動けない状況下で、探索していた茶髪の男から逃げ延びることができたのか。その説明を、今はしようと思う。


 彼は異能を以て、こちらへ突き進んできた『雷』の威力を軽減することが可能だった。異質な力の結晶、透明な蛇に自身を丸呑みさせて、透明な『力』の鎧位を纏うことができたからだ。

 しかし、彼はその選択を取らなかった。何故なら、まともに大雷を浴びて仕舞えば、主たる男以下の耐久力である『蛇』は、あっという間に、何もできることなく消滅に喫していたから。

 だからこの男は、一時的な防御を捨てて、次手を取った。

 あの大雷を自身が『耐え切れる』と賭けて、蛇を逃げのためだけに使用したのである。

 雷に飲まれて吹き飛ばされた男は、蛇を使って自身のいる場所の真下に穴を掘らせた。

 その穴の中で十八番である気配隠しを使用。あくまでもソラを護りたい風は、隠れている圧倒的に格上な彼の位置を教えることなく——結果として、索敵から生き延びることに成功した。


「フゥ……ひひっ、ひひひ!」

 

 殺してやる。あの白髪角も、風の茶髪も……! 

 手足を切り落として、

 腹を引き裂いて。

 腑を引き摺り出して。

 出てきた糞でアイツらの顔面をグチャグチャにする。二度と俺に逆らえねえよぉ、魂の奥底まで俺という恐怖を刷り込んで、惨たらしくぶっ殺してやる。

 

「ひひっひひひひひひははははははははッッッ!」 


 待ってろ、クソ野郎ども。俺が、必ず殺してやるからなァ……!

 

 底なしの悪意と殺意。それを孤独に爆発させた男は、男の意志に笑んでいるような、冷たくとも抱擁してくれる闇の中を這い進んでいった。

 瞼を失い、閉じることができなくなった目から真っ赤な血の眼光を発して——

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ