第95話 疲れるだけの一日
ラッパリオで守護されている擬似宝具は『宝銀の腕輪』という名の銀色の腕輪らしい。その銀の腕輪は、無知を晒しまくる僕でも知っている超希少な鉱物——真なる宝銀とまで声高に謳われている『シィンライト』という鉱物の中でも更に希少で、完全な上位互換とまで言われている『オリオンシルバー』と呼ばれている超絶希少宝鉱物のみを使って作成されているらしい。
その銀の腕輪には、元になった宝具に装飾されていた『アイリの花』に準えて、固有種『ラディビアの花』という、清廉と純情の花言葉を冠した純白の花の装飾が施されているのだとか。
それは万人を魅了するほどの大層美しいらしく、その模造品が、ラッパリオの土産物店で普通に売られているそうだ。いやいや、国宝のレプリカを作っちゃってもいいのかい。と思った。
宝銀の腕輪は擬似宝具と呼ばれるだけあった特殊な力があるらしいが、元になった金の腕輪。 ラーラ曰く『聖歌の腕輪』が持っている害を退けるという力までは再現できていないそうで、宝銀の腕輪の力は魔除け——魔法の効果を『軽減』するという程度の力で止まっているらしい。
いくら模造品で、本物よりも劣っているとは言っても、トウキ君の『雷砲』や、カラスやアロンズが使っていた超殺傷効果の『飛剣』の威力を軽減させるというのは非常に強力だと思う。 が聞いた話的に、聖歌の腕輪は魔法効果の軽減はしないものの。疫病や呪い、いわゆる害というものを『完全に無効化』してしまうそうなので、まあ、聖歌の腕輪が凄すぎるというか。それを知ってしまうと、擬似宝具が『劣化コピー』と言われるのも無理もない気がしなくもない。
そんな感じのことをラッパリオの光景を馬車内で見ながら考えていた僕は——町の中に入り、拠点となる高級宿屋の前で開かれた馬車の扉から出て、ラッパリオの地を踏んだ。
「やあっと、着いたわねー!」
「だね」
降りるために開け放たれている、馬車の扉。そこの前で腕を広げ、胸を大きく吸う息で上下させていたラーラは、五日も掛かった長い移動の疲れを癒すように、太陽の光を前面に浴びる。
詰まった息が解消されたと言わんばかりの、弾んだ声音。それに微笑していた僕が、やっと着いたねに頷くと、ラーラは差し出されていた僕の手——馬車の降り口と地面までに高さがあるため——を、さも慣れましたという風を装いつつ、若干の照れ臭さが残っている顔で取った。
「よっ——と。ふふっ、ありがとね、ソラ」
「どういたしまして」
「よし! 宿に荷物を置いたら『パティ』のところに行きましょ!」
ラーラは下車して早々、荷物を置いたら即出発する旨を伝えてきた。
僕はそれに、ええ、という顔をする。
「荷物を置いてすぐ行くの? 休まないの」
「うん! 休まない! ほら、早く早く!」
「わ、分かったから引っ張らないでよ……」
僕は、久しぶりに友人に会うのが楽しみなのだろうラーラに、腕を掴み急かされた状態で宿屋の一室へと入る。一旦はルンルンな彼女と別れ、背負っていた荷物を下ろす。
そして何故か、僕はラーラのことを『お姫様抱っこ』することに担った。いや、なんで?
「ふふふ」
「…………なんで?」
荷物を下ろし、部屋から出てきたラーラが突拍子もなく僕に頼んだ——というか、ほぼ命令だったよなぁ——お姫様抱っこという行為。
腕に横たわった人を、抱えたまま持ち上げる。それを訳も分からないまま、半ば強制的にやらされてしまった僕は、両腕の上に四〇数キロの身体を心地よく横たわらせて、転げ落ちてしまわないように僕の首に手を回している、完全な密着状態になっているラーラに疑問を呈した。
「別にいいでしょ。ソラが私を抱えてくれた方が早く着くんだからさ」
「それはそうだけど……そんなに急ぐ必要もなくない? このままだと僕はラーラを抱えたまま目的地まで走らされることになるじゃん。この状態を町の人にも見られるし」
「私だって恥ずかしいんだからお互い様じゃないの! ほら、早く早く! 出発して!!」
「ぇえ…………はあ、分かったよ…………」
「ヒューヒュー! 行ってらっしゃいですよ『熱々』のお二人さん! ヒューヒュー!」
謎の持て囃しをしてくる、ラーラがボイラさんのお土産にと買っていたはずの地酒の瓶を脇に抱え、顔を酔った風に赤らめているパリオットさん——仕事中だろ——に顔を引き攣らせている僕は言葉を詰まらせながら、今も『不本意』に僕の腕の中にいるラーラに視線を向けた。
しかし、僕の視線を機敏に感じ取ったラーラはプイッと顔を逸らし、態とらしく僕に顔を隠した。
一瞬だけ見えたラーラの顔が赤くなってい』ことを見逃さなかった僕が、何で恥ずかしいのにこんなことをさせたんだよと首を傾げつつ、僕の言うことなんて聞かないだろうし仕方ないなと宿屋の扉を開けて、目的地の『ラッパリオ家』があると言っていた方角へと足先を向けた。
「それじゃ、行ってきます」
「……よし! ソラ号——出っぱーつ!」
「行ってらっしゃいです、お二人さーん! ——ヒック」
ヒック——って、やっぱり飲んでるじゃんか、この人は。
職務中に酒を飲むという、完全『職務放棄を白昼堂々と晒しながら、僕達へ手を振りながら見送っているパリオットさんの背後で、目を怒りでギラつかせている『上司たちの眼光』を見た僕は、操縦兵の彼女が迎えるだろう行く末を察し、そっと目を閉じてから走り出すのだった。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
僕がラーラを抱え、ラッパリオ家の方へと走り出してから約数十秒後。背を向けた宿屋がある場所から『阿鼻叫喚の悲鳴』が聞こえてきたのは言うまでもないことである。
* * *
「あ、あれあれ! あそこがパリィの家よ!」
ラーラをお姫様抱っこした状態で、馬並みの速度で走っていた僕の視界の先には、もうここ最近のあれこれで見慣れてしまった、オルカストラの守護貴族の豪邸が見えていた。
ラッパリオの広さは、今まで立ち寄ってきたオカリナ守護村や、チェロム守護町よりは広いものの、姉妹都市だという『ラッパナ』よりは狭い規模をしている印象だった。
町の中央付近にある高級宿屋から、この屋敷までに掛かった時間は、一時間程度。
僕の足が早すぎただけで早いが、馬歩な馬車なら『数時間コース』だったなと思った。
そんなこんなで僕とラーラは、彼女の『友人』がいるという『ラッパリオ家』に到着した。
「よっと——お疲れ様、ソラ。楽しかったわよ」
「ああ、そうですかい」
ふぃー。別に足腰に負担はなかったけど、おじいさんっぽいそんな仕草をしてみる。
次は遠慮してほしい。暗に僕はそう言っていた。まあ、絶対無視してくるだろうが。
「ふふ。重くなかった……?」
「? 全然。軽かったよ」
「ふふふっ! それはよかった。さ、行きましょ!」
「うん」
上機嫌なラーラが先に進み、その後を苦笑する僕が追う。
ラッパリオ家の美しい庭園を目前にした、閉じ切られている外門の前で立ち止まった僕達は、門ぼ横に吊るされている呼び鈴——というより、呼び鐘だなこりゃを、久しぶりに友達に会えるため、隠しきれていない高揚を顔に出しているラーラが、ガランガランと勢いよく鳴らした。
すれば、ガチャリと。遠くに見えていた玄関の方から、白を基調にしたメイド服を着ている一四〇センチくらい身長をした少女、おそらくラッパリオ家に雇われているメイドが出てきた。
彼女は、外門前で立って待っている僕達の元へ、全力で苦しそうな顔をしながら走ってきた。
「はあ、はあ、はあっ……よ、ようこしょっ——ぷぷぷっ、違うっ! よ、ようこそっ、お越しくださいました歌姫様と——……? 知らない男の人! わたくしはっ、りゃっ、ラッパリオ家で雇われたメイドのっ『コッペパム』と申しましゅっ! 以後お見知り置き——じゃなかった、どうぞ、ラッパリオ一族・一同がお待ちです! こちらへ!!」
噛みっ噛みで、信じられないくらい声が裏返ってる。それに苦笑している僕達のもとへ現れたコッペパムちゃんは、純情可憐という言葉がピッタリな、清流に映る太陽の光のようにキラキラした眼差しを僕達に向けながら、重たい外門を僕が手伝いながら開け、ラッパリオ家の人達が待っているという屋敷の方へ、歌姫であるラーラと、知らない男の人である僕を案内した。
非常に几帳面な手入れがなされている、色取り取りの花々が咲き誇る、一言に美しいと思える庭園を両脇にしながら、一直線に煉瓦の道を歩いて行き、屋敷の方へ向かっていく。
すると、僕の前を歩いていたラーラが花壇に植えられている花——
植物図鑑で見たことがある『エルミリア』という。
アミュアちゃんの故郷『エルムフット』の固有植物の前で屈み、その花の匂いを嗅いだ。
そういえば、エルミリアの花の香りには『抗うつ作用』や『安眠効果』
それに『自律神経?』って言うのを整える効果があると世界植物図鑑には書いてあった。
たしか、精神的な病状を回復させる薬の原料になると、カカさんが言っていたはず。
割と希少で結構な高価だから手に入りづらいとも言っていたっけ……。
そんな貴重な花を自宅の花壇で栽培しているとは——さすが『貴族』という感じだな。
「ソラは知ってる? この花——エ、エルミ……ラ?」
「エルミリア、ね」
「そう、それ! この花で美味しいお茶が作れるのよ。すごく美味しいから、いつか飲ませてあげようか?」
「いや、別にいいかな」
「ムッ! ソラは苦党だものね! そうだものね!!」
「えぇ……なんで怒るのさ…………」
こんな感じの謎の怒られた一悶着はあったものの、僕とラーラは雇われメイドのコッペパムちゃんに先導してもらいながら屋敷の中、やたらと『スピリチュアル』な物が溢れかえっている、僕からしてみたらゴミ屋敷……ゲフゲフのような状態になっている廊下を歩かされていき。
して、謎の彫刻、腹が出張った角のある——なんだろう? 鬼人族のおじさん? 二人の迫力のある模様が施された重厚な扉の前で「ここです!」と、コッペパムちゃんが立ち止まった。
「クラチュ様! 歌姫様が来られました!!」
「……お通しなさい」
「はい! 御二方どうぞ、居間の中へ!!」
返事が来て、ゆっくりと開けられる扉の隙間から、謎の白煙が溢れ出していることに対して、若干身構えていた僕は、こんなのはいつものこと、という感じでドッシリ腕を組んでいるラーラを見て、警戒はしつつも、心身の緊張を解いた。そして——
ズクズクズク——ドゥクドゥクドゥクドクドクドク!!
という、耳を塞ぎたくなるほどのメチャクチャうるさい重低音が、コッペパムちゃんが開けた扉の先、ラッパリオ一族の当主が居るだろう居間の中から轟響いてきた。その鳴り響く重低音に戸惑いを隠せない僕が「なんの音ぉ!?」と堪らず声を上げたのと同時に、その声は届く。
「「「ウェーーーイ!! 歌姫様、いらっしゃーい!!」」」
その『はっちゃけまくった』声を発したのは三人の女性。
一人はボイラさんと同年代っぽいお婆さん。
もう一人は金色の髪をした三十代半ばっぽい見た目の奥方。
そして最後の三人目は『ラーラや僕と同年代』に見える、染めていると思しき金髪に、痛そうな顔ピアスを鼻や唇に付けている女の子で……。
まさかこの人が『ラーラの友人』なのか?
と、この重低音を作り出している謎の楽器を引く男たちと、意味不明な七色の光を発している、天井に吊るされた謎の鉄球——
それらに圧倒された僕は大きく顔を引き攣らせてしまうものの、ラーラは『慣れてるわ』という感じで、危なげに踊り狂う彼等彼女等に負けない声量で返事を行った。
「ヤッホーみんな、久しぶりね!!」
「「「「「おっひさーーーー!! 歌姫・ラーラ!!」」」」」
な、なんじゃこりゃアァ…………。
* * *
「へいへい、ソラボーイ」
「な、なんでしょう……?」
「へへへへ」
怖っ。何なんだよ、もう……。
椅子に腰掛ける僕の肩を抱き寄せ、僕の頬に紅が塗られた唇が当たりそうな距離まで顔を近づけてくるのは、やはりラーラの友人その人であり、現在、十五歳のラーラの一個上で、十六歳の僕と同い年に当たる、染められた金髪に、顔中に黒のピアスを嵌めている『パリィ・クラッチス・ラッパリオ』という名の、僕やラーラとは正反対。それこそ、ボイラさんと波長が合いそうな『ギラつく格好』を着こなしている、距離感が近すぎるという印象を与える女の子だ。
彼女は目の前のテーブルに並ぶ、濃厚そうな紫芋のモンブランや、モコモコな生クリームのケーキ。それに、サチおばさんを思い出させる、フルーツやチョコレートのクッキー……過剰じゃないか? と思えるほどに用意されている、それら大量の菓子を前にしてなお、僕というラーラの『ボーイフレンド?』に興味津々らしい。
僕のことを『ラーラのボーイフレンド』と言ったのは僕。ではなく、僕とラーラの関係を執拗に聞いてきた大人たちに痺れを切らしたラーラが「ソラは私の男トモダチよ」と言ってしまったため「ってことは、ボーイフレンドっ—コトォ!? ウ、ウキャアアアア!?」とかなんとか……声にならない声を叫ばれて、何故かそういうことになってしまったのである。そこは、
「コイツは『歌姫を守る』任務を負った、雇われ騎士です」
とか、実際そうだろうということを言って欲しかったのだが……。
ラーラの爆弾発言? に黄色大声を打ち上げた女性陣——特にパリィ(呼び捨てしてちょい。と言われたため呼び捨て)と、その母親である『パクチーさん』が、体力自慢の僕が小説以外の話で疲労困憊を晒してしまうほど執拗に、正直に言ってくだらない質問攻めをしてくるのだ。 そんな感じで、僕は用意されているスイーツ——まあ、食べないけど——に、全く手を付けれていないのである……。
「ふーん……おっ! ヒョロそうな見た目してんのに結構筋肉アンジャーン! 着痩せするタイプなーん?」
「こらっ! ソラに触りすぎよ! 離れなさい!」
「うげげ! 正妻が怒ったーー!! プププププ!」
「もう、パリィちゃん! 正妻は〝まだ〟よぉ〜。式を上げててないじゃなぁ〜い。まさかぁ……おませねぇ!」
マジで何なんだよこの人達は。ノリがキツすぎるんだが。
「ほら、見て見てソラっち——いぃぃー」
「え? ……うわっ、歯に何か付いてる…………」
「これはぁ、歯のアクセサリーやつなんよ。ソラっちも付けてみる? ワタシが今付けてるやつ外して貸そか?」
尋常じゃないくらい『キツいノリ』を前にして、今までにないくらい盛大に顔を引き攣らせていた僕が、唐突に開かれたパリィの口から見える金色のアクセサリー。歯全体に枠を被せているような、歯を無くした人がつける『入れ歯』のように見えなくもないそれを、恥ずかしげもなく堂々と見せつけられて「これ付けてみる?」などと、本気かどうか分からない表情で聞かれてしまった僕は、パリィが指差す彼女の口腔、唾液が糸を引き、それが付着している金のアクセサリーを見て、物理的にも、精神的にも距離を取り、真っ向から装着するのを拒否した。
「あなたが今付けてるやつは普通に汚いでしょ……」
「ブッハァッ! おいおい聞いたぁ? 美少女の唾液ついてるやつが汚いってさぁ〜! あぁあ。傷つくわぁ〜!」
常人を超えた速さで距離を取った僕に『ヒラヒラ〜ユラユラ〜』としながら、密着してやるぜぇ! という意志と共にパリィが近づいてくる。
性的な邪心を見せない僕のことを『奥手』だと踏んだのか、挑発的に豊満な胸の谷間を、身体を前傾させて浮かんだ服の首元から覗かせてくる彼女に、僕が今までにないくらい恐怖していると——一心不乱にスイーツを食べまくっていたラーラがバッと止めに入った。
「もう! ソラにちょっかいかけったらダメよ!」
「……チェッ。はいは〜〜い」
「まったくもう……ほら、さっさと宝具を渡しなさい」
「へいっへーい。お婆ちゃん! ラーラに『腕輪』渡すから持ってきてちょ」
「へいよー! チョイチョイ待っとって」
お婆ちゃんまでノリが軽いんだから、これは血脈の影響なんだろうな——じゃあなんで男の人達まで同じノリ——と思いつつ、僕とラーラはコッペパムちゃんの手を借りて居間を後にするラッパリオ家当主の、パリィの祖母で、パクチーさんの母親に当たる老婆が戻るのを待った。
「はいは〜い。ババアが居間に戻ったっちょ。ラーラたん。はいこれーホイッ」
「おっとっと。ありがとね、お婆ちゃん」
「いやいや、これがワッチの仕事やしなあ」
軽いのは『ノリだけじゃない』のかよ。今まで立ち寄った宝具の守護者たちに至極丁重に扱われていた擬似宝具を、ポイッーと投げ渡した老婆に僕が愕然としていると、三つ目の疑似宝具『聖銀の腕輪』を受け取ったラーラは『畏まってなくて息苦しくないでしょ?』と言うようにウィンクし、ジリジリと距離を詰めていたパリィから僕を離すように僕の片腕を引っ張って、今もなお『パーティー状態』である居間から一歩——玄関の方へと続く廊下に足を踏み入れた。
「また明日『パリオット』っていう女友達を連れてくるから、その時はお酒とか用意してあげてね。それじゃ、バイバイ!」
「「「「「オッケー! バイバーイ!!」」」」」
明日はついて行かないでおこう……。
僕は内心そう思いながら、腕を引かれるがまま、ラッパリオの屋敷を後にしたのだった。
その後、宿屋に帰り着いた僕が、謎に僕の部屋の片隅で『ガクガク』と膝を抱えて震えていたパリオットさんに「うわあああああああ!?」と驚かされたのは、言うまでもないこと……。
「あの、そろそろ自分の部屋に帰ってくれません……?」
「女同士の相部屋ですよ? 全員上司だよ? 私に死ねって——コト!? ソラ様は私を見捨てる気なのですかっっっ!? 私のことを置いて行ったくせにぃィィ!!」
「……もう…………もう、いいから静かにして……疲れる…………」
結局『金の腕輪』のことを、パリオットさんのせいで言うことができないまま——僕は椅子の上でその日を無事に終え……たかったのだが。
「みんな厳しいよぉオオオオオオオ!! もっと私に優しくしてよおおおおっっ!」
パリオットさんの夜泣きが五月蝿すぎて、一睡もできなかったということも言うまでもない。
ことか……?




