65.スキル狩り
チェスたちが順調に進む中、別の班はバラバラに進んでいた。
自然と試験官もばらけていた。
パーティを組もうと呼びかける者もいたが、一人が一蹴した。
『おれは一人で十分だ。足を引っ張られたら敵わねぇしな』
『そ、そんな……ワシは戦うのが苦手なんじゃ……それに、何か体調も悪いし。頼む、同行させておくれ!』
『寄生野郎が……てめぇのことなんざ知るかよ!!』
『なら私も』
『ぼくも元々ソロなので』
『ま、待ってくれ!! 見捨てないでくれよぉ!!』
一番ランクの低いこの男の下にはA級が付いた。
(こいつはダメだな。典型的な他人任せの寄生しかできない無能……)
がくりとうなだれる男はしばらくその場から動かなかった。だが、周囲に他の冒険者たちの気配が無くなると試験官に近づいてきた。
「どうした? ギブアップか?」
「A級の『鬼殺し』ルテオンだな。貴様の天授技能をいただくぞ」
男は『鬼殺し』の首を天授技能で飛ばした。
「ワシが格下と思い、油断したか? クハハ!! 愚かなり」
男の天授技能が発動する。
『技能喰』
殺した相手の天授技能を得る、覚醒天授技能。
「さあて、成果を確認。『解析鑑定』」
ラベル(180)
種族 ヒューマン
職業 冒険者
レベル 62/25
天授技能 『技能喰』『不老』『限界突破』『魔力増強』『解析鑑定』『認識阻害』『回復』『烈風』『魔装』『空歩』『威圧』『暗視』『鉄壁』『発火』『炎舞』『加重』『吸水』『耐久』『落石』『聴覚強化』『剛腕』『身体強化』『疾風』『解毒』『魔力盾』『操虫』『超視力』『振動感知』『魔力障壁』『振動刃』『視覚共有』『魔力感知』
男の名はラベル。
E級冒険者で、幾度も任務を失敗して何度も降格になっている。
「『魔力感知』か……外れだな。まぁいい。獲物はまだ居る」
ラベルは迷宮の暗闇に潜み、次々と試験官を襲う。
◇
試験官のミランダは異変に気が付いた。天授技能『直感』が危険を報せる。
(2階層で私の『直感』が発動するなんて……)
再試験対象者は先ほどから道に迷って同じところをぐるぐる回っているだけだ。
周囲を警戒する。
魔獣ではない。迷宮の罠も異変は無い。
彼女の『直感』は頭上から危険が迫っていることを報せた。
「ぐっ!」
間一髪回避する。
元居たところは風の刃で抉れていた。
「な、なんだ!? うわっ」
驚いて振り向いた試験参加者の首が落ちた。
「おのれ!」
彼女は剣を抜く。
剣に魔力を込め、『直感』に従い反撃する。
相手は空中で足場を作り、回避した。
「お前は!?」
「B級『斬撃』のミランダ。貴様の力、ワシがもらいうける」
「はっ、やれるものならやってみろ!!」
獲得術式『魔剣術』で魔力を斬撃に変え、剣から放つミランダ。
ラベルはそれらを『魔力盾』で受けた。しかし、斬撃は盾を切り裂いた。吹き飛ぶラベル。
「はぁ、はぁ……」
彼女は致命傷を受けたラベルを確認後、首の落ちた自分の担当冒険者に視線を向けた。
「やるではないか」
「何! どうし――」
ミランダの首が落ちた。
「だが、敵を前に油断するとは、愚かなり」
『回復』から『烈風』
ラベルは新たに『直感』を手に入れた。
「さて、次は……」
『聴覚強化』、『魔力感知』、『暗視』で迷宮内を危なげなく進む。
「『転移』を持っとるあいつから仕留めるかのう」
ラベルはチェスたちに同行しているポーターの試験官を狙った。




