変わらぬ人と変わる機械。そして新しい家族は妹
今回は短いです。
また、最近バタバタしはじめてしまったので遅れるかもしれません。
隆様と黙示様より預かった少女の治療を終えた私が部屋を出ようとすると、見ていたかの様なタイミングで二人が入ってきました。
「終わったようですね」
「様子はどうだ?」
「深い切り傷が数か所、骨に異常はありませんでしたが強打した後もありました。
傷などからの感染症は見られませんが、栄養失調の為、体力が落ちていると思われます。
治療は終え、おそらく時間を掛ければ痕も完治するか目立たないぐらいにはなると思います。
ただ、食事を取れていなかったようで胃が弱っているので、私は何か流動食の様な物を作ってきます」
寝ている少女を囲みながら話していると、少女はうめき声を上げ目を開け
虚ろな目で周囲を確認すると、怯えた様子で私達を見てきました。
「大丈夫ですか?」
「ひっ…」
黙示様が話しかけましたが、少女は怯えた声しか漏らしません。
これには黙示様も困った顔のまま固まっています。
「貴女のお名前はなんですか?」
「ぁ…あ…」
「私は、茜といいます」
「…夜夢」
「そう。
では夜夢、お腹は空きませんか?」
少女は、少し緊張が解けた様子で私の言葉に頷きました。
そんな私と少女のやり取りに、黙示様と隆様は関心しているようです。
「やりますね茜さん」
「まぁ、俺の将来の嫁だからな。
子供の扱いもお手の物よ」
「その点、隆先輩は僕と同じ様に怯えられているようですが…」
「俺はほら…子供を拾ってくるのが仕事だから」
「その言葉だけ聞けば、犯罪もいいところですね」
お二人はいつも通りですね。
とりあえず、私は夜夢の御飯を作りにいくとしましょう。
「ぁ…」
「夜夢、貴女の御飯を作りに行きます。
一緒に行きますか?」
どうやら夜夢は一緒に行くようです。
こくりと頷くと、夜夢はフラフラした足取りで診察台から降りて近寄ってきました。
私は、ふと昔の記録を思い出し、なんとなくですが夜夢の頭を撫でました。
夜夢は気持ちよさそうに、私に撫でられています。
「では、行きましょう」
フラフラと着いてこようとする夜夢が危なっかしく、私は夜夢を持ち上げます。
先程も思いましたが、このぐらいの子の標準体重に比べ夜夢は軽すぎます。
「何があったかは聞きません。
話したくなった時に話せばいいです。
今日からは、夜夢は私の家族です。ここが貴女の家です。
出て行きたくなれば、その時は好きにしなさい。
そして、いつでも帰ってきなさい」
「お姉ちゃん?」
「…それが、夜夢の家族ならそれで構いません」
夜夢は、嬉しそうに笑みを浮かべ抱きついてきました。
沢山、子供の面倒を見てきましたが…お姉ちゃんは初めて呼ばれました。
悪くないです。
「では…隆様、黙示様、私は妹の夜夢と一緒に御飯を作ってきます」
「おうおう。俺は少し黙示と話してから行くわ」
「僕は、少ししたら改装に移りますので御飯はお断りさせてもらいます」
「わかりました」
私は、今度どこそ夜夢と一緒に部屋を出ていきます。
「しかし、本当に増えましたね子供達」
「家を出て、一人暮らしとかし始める子達もいるから人数的にはプラマイゼロって感じだけどな」
「なるほど、新顔が増えたからそう感じるんですね」
「それより、見たか?茜。
お姉ちゃんって呼ばれて嬉しそうだったな」
「姉妹も家族の在り方ですからね」
何やら中では隆様が嬉しそうに話しています。
最近、不思議なエラーがでます。隆様が楽しそうに、嬉しそうにしていると…私も嬉しいと。
昔は出なかったエラーです。
…昔と言えば、先程感じた黙示様への違和感は分かりました。
黙示様は、昔とまったく変わっていませんでした。言動や性格的問題ではなく、外見が。
昔の記録と照合しても、老いがありません。
まるで、私と同じ機械ではないのか?と疑う程に…。
「お姉ちゃん?」
「どうしましたか?」
「何、作るの?」
「今回は、おかゆにしましょう。
夜夢が元気になったら、夜夢の好きな物を探しながら色々食べましょうね」
「ん」
まぁ、黙示様の事はその内分かるでしょう。
私も成長はしているんです。答えを待つ事も覚えたんです。




