よーじょ。
ごめんなさい。
やはり遅れました。
話が進まない。
次は、少し進めるつもりです!
厨房に入ると、成長した千秋とマーリンが食材を切っていました。
「食事の準備はですか?」
「あ、おはようお母さん。
朝食ついでに、昼の分の仕込みもしちゃおうと思ってねぇ」
「私は手伝いだ。
それより、母さん…その子は新しい家族か?」
厨房に入ってきた私に答えたのは千秋。その隣ではマーリンが私に抱かれる夜夢に目を向ける。
夜夢は、そんな二人に怯えた様子で抱きついてきます。
…ひしっ と効果音が聞こえたような気分になるぐらいに可愛いですね。
「そうです。私の妹になる夜夢です」
「え、い、妹?」
「はい」
「そうなると…私の叔母さんになるのか」
「そうです」
抱きついてきた夜夢を撫でながら紹介すると、千秋は驚き気味ですが、マーリンは何やらウズウズしています。
「可愛らしい叔母だ…
母さん、少し私にも抱かせてはもらえないだろうか…」
「夜夢」
「や…」
我慢の限界をばかりに腕を伸ばしながら許可を求めてくるマーリンでしたが、夜夢の一言に固まってしまいました。
男よりな言葉遣いと、高身長に鋭い目付きのせいで最初は子供に好かれないマーリン。
でも、マーリンは子供が好きな事を私は知っています。
「今から夜夢の御飯を作ろうと思います。
少し弱っているのでお粥を作ろうと思っています。よかったら手伝って下さい」
「任せろ!私が全てやろう。
母さんは、そこで夜夢ちゃんとゆっくりしていてくれ」
マーリンは夜夢から目を離さずに、私の椅子を持ってきて座らされてしまいました…。
あんなに生き生きと料理をするマーリンが珍しいのか、千秋は苦笑いをしています。
「あ、そういえば黙示様が来ていますよ」
その言葉で二人の動きはピタリと止まります。
千秋とマーリンは黙示様の事を気に入っているようで、黙示様が来る度に何か教えてもらっているようでした。
ここ最近は、黙示様が来ることがなく寂しそうでしたが今日来ていると知った二人はソワソワとしています。
千秋は今にも飛び出しそうに、マーリンは夜夢と作り始めた料理をチラチラと交互に見ながら…。
「元々、夜夢の御飯は私が作る予定でしたからマーリンと千秋は行ってもいいですよ。
朝食の用意は終わっていますし、昼の分は後ででも大丈夫でしょう」
「本当!なら、私行ってくる!」
「う”…わ、私は夜夢ちゃんの御飯を作ってから行く!
千秋、黙示さんに後で行くと伝えててくれ…」
うぐぐ…と唸りながら敬礼を決める千秋を見送るマーリン。夜夢も可愛いですが、葛藤するマーリンも珍しくて可愛いです。
「夜夢ちゃん…どんなお粥が食べたい」
「……からくないの」
「よし!私に任せとけ!
おかわりしたくなるぐらいの作ってやるからな!」
夜夢から返事が来たことでヤル気を取り戻したマーリンは、腕まくりをして夜夢の頭を少し撫でると、お粥を作り始めた。
夜夢に抵抗されなかった事が嬉しかったのか…マーリンはスキップしだしそうなテンションです。
数十分するとマーリンは作り終えたのか、一口味見をすると満足そうに頷きました。
「できましたか?」
「あぁ、我ながら素晴らしい一品だ」
「お粥ですけどね」
「愛情の量の違いだ母さん」
何やら勝ち誇った顔をするマーリンの横を抜け、私も一口味見をします。
柔らかさ的には三分粥ですね。
夜夢の意見も取り入れたのか、サッパリとした甘さもあります。煮小豆を擦って入れたみたいですね。
待ち時間で寝てしまった夜夢を揺すると、寝ぼけ眼で私を見てきました。
「…ん」
「御飯です。
少し食べてから寝ましょうか」
「ん」
人は待たせても粥は待たすな。といいます。
寝ている夜夢を起こすのに、止めた方がいいと警告もでましたが期待の眼差しを向けてくるマーリンを見て起こす事に決めました。
数年前に覚えた罪悪感の数値が上がりましたが、それよりも寝ぼけ眼の夜夢は私の何かを刺激しました。
「さぁ、マーリンが作ったお粥です」
小さい子等も多い為、その子達用の椅子に座らせお粥を用意すると、夜夢はジーっと観察した後に小さいスプーンでお粥を口に運びます。
それを私とマーリンは癒やされながら見ています。
「ど、どうか?」
「おいしい」
まだ眠いのか、それとも表情を出すのが苦手なのか…夜夢は、表情を変えずにこちらを見て言います。
その言葉でマーリンは感銘を受けたのか、目を閉じ夜夢の言葉を噛み締めているようです。
マーリン…残念でしたね。目を開けていれば、夜夢の頬が少し上がったのがみれたのですよ。
えぇ、私はもちろん見逃したりはしませんでした。
それから、おかわりをする夜夢をウキウキで対応するマーリンは、黙示様の事を思い出したのか慌てて部屋を出ていきました。
「うっ…ぷ…」
「夜夢、食べ終わったら'ごちそうさま'と言うんですよ」
食べすぎたでしょう。少し苦しそうにしながらも椅子から降りようとする夜夢に私は教えます。
すると、夜夢は私の真似をして手を合わせて言いました。
「ごちそうさま」
「次は、マーリンにも言ってあげましょうね」
「ん」




