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混世界  作者: 慧瑠
彼女が見た夢
103/140

楽しみは後ほど

今回、少し短いです。


そろそろ過去が入る予定なんですが…長引くとぐだりそう。

でも、既にそんな感じがある。


いつもどおりで行こうと決めました。

男は上着のポケットを漁ると、二枚の写真を取り出した。


「実は、捜し物をしていましてね。

この写真の者達なんですけど、知りませんかねぇ?」


テーブルの上に置かれた写真には、買い物中の茜と傘付きの椅子に座り何かと食べているリュコスが写っている。

買い物中の茜は不思議とカメラ目線で写っており、リュコスの写真は本来のリュコスを撮るつもりでは無かったのか、少しピントがズレていた。


「見辛いですね…」


「あぁ、急遽用意したものでボヤケててすいません。

この付近で目撃情報があったものでお伺いしたのですが、ご存知ないですか?

例えば…この店に来て今居たりとか…?」


男は、情報収集の為に聞いてくると言うよりは確信めいた様な言い方でニヤついた顔で黙示に言う。

そんな勝ち誇った様な雰囲気の男を一瞥した黙示は、自分用の新しいコーヒーを淹れ一息つくと、もう一度写真を見ながら男の言葉に答える。


「残念ながら二人とも知りませんね。

お客様として来てくれていたかもしれませんが、全員の顔を覚えていられるほど記憶力が良くないんです。

なんでしたら、お昼頃にもう一度来ますか?もしかしたらお昼を食べに来てくれるかもしれませんよ?」


余裕を持った笑みの黙示と勝ち誇った笑みの男。

二人は言葉を発すること無く視線だけを交わすと、男はポリポリと頭を掻き、残っていたコーヒーを一気に飲み干すと席を立ち写真を回収する。


「昼時と言うのなら、そうしましょうかね。

人が多い方が、情報も集まりそうですし」


そう言う男は、服を正すと黙示に一礼して出ていこうとする。そんな男に黙示はカウンターから男を見送りる為に出ると、そういえば。とわざとらしく思い出した様に先行く男に近付き呼び止める。


男は黙示に呼び止められ振り返ると、思っていたよりも近くにいた事に少し驚き一歩引こうとするが、それよりも早く黙示が男と一層距離を詰め小さな声で呟いた。


「急いでいたのか、それとも慢心していたのかは知りませんが、もう少し情報収集はしておいた方が身のためだと思いますよ」


それだけ言うと黙示は男から少し距離を取り、ポケットから先程リュコスに付いていたゴミを取り出し男へと差し出す。


「これも返しておきます。

次に合う時は、きっと僕がお伺いすると思うので親方さんにもお伝え下さい。

明示 黙示が伺います。と…


よろしくお願いしますね。夢部むべ君」


「…こいつはなんちも……」


「お昼頃、来てくれても構いませんよ」


「親方に伝えておくよ」


黙示の言葉に、先程の様な笑みではなく顔を引き攣らせたまま頭をもう一度下げて夢部は店を出ていった。


―――


「あれが初代から話しだけは伝わってる明示(みょうし) 黙示(もくし)か。

先代も会った事はあるらしいが…噂に違わぬ実力だな。

あれだけ接近されて俺が気付かないとか」


店を出た夢部は、来る途中にすれ違った男の姿を解きガスマスクを着けるながら裏路地に入り込み、人通りが少ない道を使って常夜之夢へと戻っていく。


道中、頭をよぎるのはリュコスに付けた発振器が反応していた店の店主であるあの男。


今思えば、初めからあれが発振器である事も来る事も分かっていたような対応に夢部は少し腹が立ってきた。


「初代から伝わっている言葉では、あれと戦おうとするな。だったな…もう数百経ってんだ、衰えもするだろう。


一戦交えてみるか。あの男の強さ、どの程度なのか知りてぇな」


夢部は楽しそうに一人呟きながら裏路地を進んでいく。


途中で、すれ違った男に変装し表通りを歩くと、常夜之夢を出た朝方より既に人通りは多くなり騒がしさを増している。

その人々の間をフラフラと縫うようにゆっくり歩く夢部は来た時よりも上機嫌で帰っていった。

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