表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やらかしていた男子ぼちぼち頑張る。  作者: ぐっちょん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

188/192

第188話

ブックマーク、評価ありがとうございます。

 ——おお〜いい部屋、なんか安らぐ〜。


 予約していた温泉旅館の部屋へと案内された俺たち。


 今回はホテルではなく温泉旅館に泊まる事にした。

 温泉旅館に泊まるのは初めてだけど、雰囲気があって、なかなか良さそう。


 予約を入れるのが少し遅くて、空いている旅館がここしかなかったんだけど、接客は丁寧で値段は手頃。何より家族風呂(家族温泉)もある。

 料理はまだだけど期待できそうだし、ぜんぜん悪くないよ。


 というのも、ここの温泉旅館は口コミサイトでの評判はとても悪く、評価は一番最低だったんだ。

 

 女性と男性の感覚の違いなのかな? 俺的にぜんぜんいいと思うんだけど。


 ちなみに各部屋にシャワーの付いているホテルと違って、このような旅館は、家族風呂付でないと男性は泊らない。


 まあ、実際のところは、旅館に限らずホテルだって男性が利用する事はほんどいないらしいよ。


 だから俺(男)がこの温泉旅館に入った時には、ここのスタッフさんにとても驚かれたよ。


 案内を買って出てくれた若女将さんも、言葉遣いは丁寧で流石だと思ったけど、よほど緊張していたのか動きがきがちなく、ちょっとロボットっぽい動きになっていて申し訳なかったよ。すみません若女将さん。


 ここでは3部屋借りていて、俺と香織さんとミルさんで1部屋、ミカ先生とアヤさんで1部屋、サキたち4人で1部屋を使う。


 俺の案内された部屋の両隣が先生やサキたちの部屋なので、会おうと思えばすぐに会えるし、何かあってもすぐに集まれる。

 

 とりあえず各自温泉に入り一息ついてから夕食にしようとなった。

 夕食は部屋出しが一般的らしいけど、今回はみんなと食べたいので宴会場を借りることにした。


「ふふ、楽しみだわ」

「タケト様、お背中流します」


 そんなことを考えていたら、俺は香織さんとミルさんから背中を押される形でお風呂場に。


「あ、うん。ありがとう……」


 お風呂ではいつもこんな感じ。ネネさんと花音ちゃんがいないから、4人が2人になっているだけで……やっぱり自分で洗うのもダメなのね。


 色々と割愛、スッキリしてから3人で温泉に漬かる。


「ふう……」

「いい湯だわ」

「はい。落ち着きます」


 満足そうな香織さんとミルさんが手足を伸ばして寛いでいる。

 心配していた香織さんの体調も大丈夫そう。でも一応、ヒーリングはしておこうかな。よし、これで安心。


 のぼせるので長くは入れないけど、ゆったり温泉に漬かっていると、南条さんの言葉を思い出してしまう。


——『そうだな。特別に今放送中のドラマ『ドクターコトリ』と『桐の花学園II』に特別ゲストとして出演させてやろう……』


——『……特別ゲストとして出演させてやろう……』


 特別ゲストね……


 あの時は、南条さんたちと別れた後は、観覧者だった人たちから囲まれそうになり、ゆっくり考える暇がなかったからな。

 

 突然、ミルさんに抱き抱えられて、何事? と思ったけど、すぐに察するよね。こんな事一度や二度とじゃないから。


 みなさんの目の色が違うんだ。「握手してください」「サインください」「ファンになりました」なんて声が聞こえたけど、あの様子では、握手やサインをするだけではすまなかったと思う。


 あの場でミルさんの選んだルートは遠回りだったけど、おかげで誰とも会わずに車まで戻れた。


 ゲストの紫さんや崎宮さん、番組のディレクターさんたちに挨拶ができなくて申し訳なかったけど、そこはアヤさんとサキたち武装女子のメンバーがうまく説明してくれて、残念そうにしていたけど、納得してくれたそうだ。


 何はともあれ、収録は無事に終わってホッとした。


 そしてようやく南条さんとの話ができたのは旅館までの移動中だったんだよね。


 俺は正直やりたくないけど、みんなはドラマに出演した俺も見てみたいと言う。


 自分なりにかなり悩んでいたけど、みんなからそう言われると、ちょっとならやってみてもいいのかなぁ、なんて思ったりしたんだよ、俺って単純だよな。

 その後はずっとネッチューブで演技する上で参考になりそうな動画を見ていたんだ。


 でも、この話は、オファーがくるかもってだけだから、ここだけの話にしてもらった。オファーが来なかったら恥ずかしいし。


「ふぅ」


 しかし、いい湯だったな。浴衣に着替えてゆっくり寛いでいると、みんなが浴衣姿でやってきた。


 みんな集まった事だし早速宴会場に、と思ったけど……不覚にもドキッとしてしまったよ。


 なんでだろうね、浴衣姿だと妙に色っぽくみえるんだけど……

 なんてことを考えていたら、香織さんの言葉を思い出した。


 浴衣の下は何も着なくてもいいと。だから俺はパンツを履かせてもらえなかった。


 開放感があるし涼しくていいんだけど、香織さんはお腹を冷やすからもちろんダメだけど、ミルさんは俺と同じく何も……


 ——もしかしてみんなも……


 なんてことを考えていたら、ナナコが親指を立てている。


 ——なるほど……


 これは色々と意識しないよう、なるべくみんなの顔あたりを見るようにしないとな。


 向かった宴会場は貸し切りにしてくれるという話だったので、俺たち以外のお客さんがいないのは当然なんだけど、なぜか、この旅館に来てから、他のお客さんを見ていないんだよね……


 ——たまたまかな?


 まあ、考えても仕方ないけど。


「わぁ広い!」

「料理も豪勢ですごいよ」

「ホントだ、美味しそう!」

「うん」


 仕事(収録)が終わった後で、心配事のなくなったみんな(サキたち)のテンションは高い。


「みてみてカラオケもあるよ」


「タケトくん後で歌ってよ」


 いつもそうだけど、今日は特にテンションが高い気がするな。温泉に入った後だからかな? 


「いいけどみんなも歌いなよ」


 気を利かせてくれた仲居さんが早速カラオケを付けてくれたけど、待って、まだ食べてないから……


 ——え?


 仲居さんを止めようとしたら、いつからいたのだろう。

 仲居さんは1人だけじゃなく後方に5人もいた。いや、1人は若女将さんだわ。

 そんな若女将さんと仲居さんは、横一列に綺麗に並んで正座している。


 ご丁寧に食事の前に挨拶をしたかったらしいけど、なんてことだ。カラオケが始まり曲が流れる。


♪〜


!? 武装女子の歌『君の側で』だ。


 ここの旅館の方たちが、俺たち(武装女子)のことを知っていた事にも驚いたが、それ以上に自分たちの曲が流れているのに驚く。


 そうだった。カラオケ配信メーカーから話が来て、オッケーはしたけど、色々と忙しくて忘れていた。


 そっか俺たちの歌がカラオケに……やばい、忘れていたくせに、今はかなり嬉しくなってる。


 思わずメンバーのみんなに顔を向ければ、メンバーのみんなも嬉しそう。

 ツクシなんて、自分が作曲した曲だから涙ぐんでいる。


パチパチ。

パチパチ。


 あーあ。香織さんやミルさん、ミカ先生にアヤさんが拍手し始めたから、気を利かせた若女将さんと仲居さんまで拍手してくれている。


 ——ん?


 あの仲居さん、顔色が悪くなっているから、準備していたら誤ってカラオケを流してしまった感じだったのかも。


 それに、みんなから拍手なんてされたら、もう歌うしかないよね。


「じゃあ……」


 メンバーのみんなに「俺たちの歌、歌ってくるよ」と言い残してから前に出ると、仲居さんからマイクを受け取った。


♪〜


 俺が歌っている間、モニターでは俺たちのミュージックビデオが流れていた。


 すごくよく出来ている。感動してまた涙が出そうになるが我慢しつつ心を込めて歌った。


 自分たちの歌だけど、歌っていると、あっという間だね。


 あれ? メンバーのみんなは俺と同じように感動しているのか、目元を擦っていたけど、他のみんなからの反応がない。


 カラオケなのに、これは……盛り下げてしまった?


 ただでさえ、ライブでもないのに真剣に歌ってしまった感があってちょっと恥ずかしく思っていたのに。


 もういいや、早く席に戻って食事に集中しよう。そう思い、俺がマイクを仲居さんに戻そうとしていたところに、


パチパチ!

パチパチ!


 若女将さんと仲居さんたちが勢いよく立ち上がったかと思えば大きな拍手を一生懸命してくれる。中には涙を流している仲居さんもいたよ。


 それから仲居さんたちは忙しそうに動き回っていたので、カラオケの感想はきけなかったけど、いただいた料理は、とても美味しく、口コミサイトの評価なんて当てにならないと思ってしまった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ