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やらかしていた男子ぼちぼち頑張る。  作者: ぐっちょん


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155/176

第155話

ブックマーク、評価ありがとうございます。

「朱音さん久しぶり」


「……ん」


 ゲームアバターなので朱音さんが今どんな表情をしているのかは分からない。

 でも、いつもの朱音さんなら、俺が行き詰まっているクエストがないかすぐに尋ねてきて、そのクエストを進めながら雑談というのがいつもの流れだが……


 今日に限ってはフリーズしたかのように一歩も動かない。

 これはブレスレットのことを気にしているから、だよね……


「えっと……実は朱音さんが送ってくれたブレスレットなんだけど、朱音さんに確認する前に嵌めちゃったけど大丈夫だったかな……?」


 朱音さんから贈られたからといって、これが正式なものだと思えなかったのは、朱音さんはまだ学生で1つ年下だったというのもあるけど、1番は朱音さんの家柄を気にしてだ。


 普通の家庭ならば親の同意はいらないらしいが、朱音さんは西条家財閥のご令嬢、朱音さんの意思とは関係なく親の意向によっては反故になる可能性だってある、かもしれない。知らないけど。


 ちなみに男性(俺)は誰と結婚しても女性側(今回の場合は西条家)の家庭の事や事業の事について口出す権利はないし相続権も発生しない。

 相続権が発生するのは2人の間に出来た子ども(女性のみ)だけだ。


 同居も強制ではないので、ほとんどの男性は結婚したからといって生活環境に変化はない。


 ただ男性の意思とは別に貢ぎ(尽くし)すぎて身を滅ぼす女性もいないこともないで、それなりの家柄になると親の介入もあったりする。


 俺の場合は、妻となってくれた女性とはなるべく同居したいと思っているから、多少の変化はしょうがないけど、それでも妻たちの家柄を傘に着て何かできるかと言えば何もできない。理由はもちろん男性だから。


 でも、今のところ香織さんやネネさんの親戚一同(ミルさんには居ない)、ウチの事をかなり気にかけてくれるので、例えば美味しいそうな食材があれば送ってくれたり、旅行に行った時には必ずお土産をくれたりとね。

 だから香織さんとネネさんにかかってくるビデオ通話には顔を出して都度お礼を伝えている。


「大丈夫……でも……いいの?」


 アバターの表情に変化はないが、どこか不安そうな返事をする(ボイスチャット)朱音さん。

 大丈夫だと言う割には珍しく自信なさげなのが気になるが。


「もちろんだよ朱音さん……そ」


「アカネ」


「ん?」


「アカネと呼ぶ。結婚はまだできないけどタケトくんがいいと言ってくれたから、もう婚約者。だからアカネ」


 先ほどの不安そうな声がウソだったのかと思うほど、いつもの朱音さんの声だ。

 ちょっとホッとした。せっかく婚約者になったのに仲良くするどころか、逆に関係がギクシャクしてしまったら嫌だもんな。


「分かった。朱音さ、じゃなくてアカネが良いというならそう呼ぶよ」


「ん。じゃあ続き。さっき何か言いかけてた」


 アバターが頷き続きを話せと促してくる。マイペースというかなんというか。

 まあ、それがアカネらしいといえばアカネらしいけど……


「あ〜……改まって話すとなると、ちょっと照れくさいようは気がしてきたからもういいかな……」


 アカネとの関係も元に戻ったし。


「ダメ。尚さら聞きたい。話して」


 アカネのアバターが何度も首を振る。時折みせる子どもっぽい言動もアカネが1つ下だと知った今となってはかわいい……でも、それはそれとして、やっぱり恥ずかしい。正直このまま話さずに終わりたい(ログアウト)。


 しかし、アカネは椅子に腰掛けるエモートをしていて聞く気満々の様子。


「はあ、分かったよ。えっと、その……アカネとは妖怪ハンター(オンラインゲーム)の時からの付き合いだから、家族以外の異性では付き合いが1番長いんだよね」


「……」


「嘆願書もそう。あれもアカネだったんだよな? ……あの時は自分の事で結構いっぱいいっぱいだったから視野が狭くなっていたというか、発起人(差出人)が西条朱音さんなのにアカネだと結びつかなくてちゃんとお礼も言えてなかった」


「……」


「アカネ。今さらだけどちゃんとお礼がいいたくて、あの時はありがとう。

 あれがあったから、みんなの声を届けてくれたから、頑張ってみようと思えたんだ。でなければ俺は今でも1人で引きこもっていたと思う。だから、今は俺があるのはアカネのおかげだ」


「……大袈裟」


「そんなことないよ。アカネのおかげ。それで、そんなアカネの事を考えていたらさ、なんだかうれしくなって、気づいたらブレスレットを嵌めてたんだよね。あはは」


 俺はゲームアバターに左手を突き出すエモートさせる。


「アカネ、ありがとう」


「……逢いたい」


「ん?」


「タケトくんに逢いたい。逢いに来て」


 アカネはテレポートを使ってすぐにでも来てほしいという。なぜ知っているのかといえばミルさんが報告していたから、ではなく、俺が前にあかね色々チャンネルにお邪魔した後、その帰りに使ったテレポートを見られていたからだ。


「いや、さすがにそれは。もうすぐ21時だよ」


 婚約者になったとはいえ時間的にさすがにまずいだろう。

 それに、あと1時間もすれば香織さんに充電だと言われて抱きつかれ、その後は、ネネさんとミルさんとの時間になる。


「飛んでくれば問題ない。来て」


『タケト様』


 俺の隣で首を振るミルさん。こうなるとアカネは一歩も引かないらしい。

 すでに俺の腕に自分の腕を絡めているミルさんが、いつでもオッケーだと言わんばかりの顔で頷く。


「分かったよ。でもすぐに帰るよ」


 携帯ゲーム機は放置しておけば勝手にログアウトしてスリープ状態になるからヨシとして……


「ん」


 場所は一度お邪魔したことがあるアカネさんの部屋だというので、さっそくテレポートを使って移動しようとしたその時だ……


「タケトくん! やっぱり今日はダメ……だぁ……あ、あ、姉さん、早い、何で……ふぎゃ」


 そんな声を残した後アカネのアバターがスッと消え、アカネがログアウトしたとのログが流れる。


「アカネ?」


 ログアウトしているから聞こえるわけないんだけど、ついアカネの名を呼んでしまったよ。

 これからどうしよう。これから狩りをする気分でもなくなったし、俺たちもログアウトする? そんなことをミルさんも話していた時だった。


「タケトくん。久しぶりだね」


 アカネと入れ替わるようにログインしてきたのは……


「えっと、もしかして葵さん?」


 葵さんによく似たオリジナルアバターが俺たちのすぐ目の前にすっと現れた。


 何度か会ったことあるので葵さんで間違いないと思うが、その姿がちょっとおかしい。


 いつもの清楚系のワンピースではなくビキニアーマーを身につけているのだ。

 しかも、その手には葵さんのアバターの体型には不釣り合いな重剣(大剣を超える重量を持つ巨大な剣)。

 破壊力はあるが動きが遅くなり扱いづらいため、プレイヤースキルが求められる武器。扱いづらいので俺は使いたくない。


「はい。葵ですよ」


「知らなかったです。葵さんもゲームするんですね」


「しますよ〜。こう見えて、私は運営側の人間ですよ。テストプレイでもかなりやり込みました」


「なるほど。そっか、そうですよね」


「ふっふっふ。今日はアカネがタケトく……じゃなくて、アカネがゲームをしているのが見えたから、私も久しぶりにログインしたくなっただけなのよ」


 それからミルさんと葵さんと普通にクエストを一つ消化ししてログアウトしたけど、重剣とビキニアーマーの組み合わせは色々とよくないね。


 葵さんはオリジナルアバターで変にリアル感があるから、プレイヤースキルが高くてクエストはサクサク進むのに、お胸の揺れがすごくて目のやり場にとても困ったよ。


 あ、そうそう。クエストの途中、葵さんから、ドロップしたというアイテム(ウエストバングルという腕につけるアクセサリー)をもらった時に気づいたけど、俺のアクセサリー装備欄がなぜか増えていた。


 ……なんで? と思ったが、単に仕様が変わっただけで、装備したらブレスレットと重なっているのにどちらもアバターに反映されてて普通にすごかった。


 最後に楽しかったからまた一緒にやろうと言われたので快諾(ゲーム仲間が増えて嬉しかった)したけど、できればビキニアーマーはやめてほしいかな。

 でも能力が高く、気に入っていると言っていたから無理だろうな……

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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