表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の居ない世界にて  作者: アウラ
2.Can he kill?
50/249

47.

「どう言う事だ、信次?」


 全く知らない爽司は頭にクエスチョンマークを浮かべながら信次に訊く。


「異動の話ですよ。偶々私と彼が異動の日が重なってその発表らしいです」


 陽里は色々と察しているため何も言わないでいた。


「そうなのか。そりゃ珍しい」


 その様子を見て陽里は爽司と信次の関係が見えた気がしたのだった。


「じゃあオレは1人寂しく飯でも食ってくよ」


 そう言って爽司は食堂に向かうのだった。


「さて、行こうか」


 陽里よりおよそ10cm程身長が高いため信次からすれば見下げる形になる。


「はい」


 その様子は若干威圧感のあるものだったが陽里は気にする素振りもなく答えた。






 第2会議室に集められた今日偶々異動が重なった稀有なメンバーは陽里を含めて5人だった。


 そしてもう1人。

 顎髭をなぞりながらただ1人座っている男――A師団師団長鹿島喜助がいた。


「座ってくれよ。1人だけ座っているのも心苦しいものがあるからねぇ」


 第2会議室は決して広くはなく喜助との対面に位置する下座からそれぞれ1席分空けて5人は座る。


 喜助から見て左から信次、陽里がいる。

 そしてその隣、陽里が左を見ると案の定今朝の茶髪のハーフアップの少女がいた。


 彼女もどうやら今朝の食堂に陽里がいた事を憶えていたようで声には出さないものの表情は驚いていた。


「さて、もう察していると思うが今日が偶々4人共異動なんて珍しい日ではない。ここにいる者達は全員同じ部隊の隊員だ」


 4人は互いの顔を見る。


 ある者は見定めるように、ある者は様子を窺うように、ある者は興味のなさそうに、ある者は顔を憶えるように、そしてある者は誰も見ずにいた。


「おやおや、1人忘れてるよ。ここにいる(・・・・・)者達だよ」


 喜助は自分を指さして言う。


「鹿島師団長もですか?」


 信次が驚いて訊く。


「いやまぁ責任者として……と言うか隊長なんだけどね」


「「……!」」


 一同は驚く。

 師団長が小隊レベルでの隊長を務めるのはおかしな話である。


「名前だけで副隊長が実質隊長かな」


「そう……でしたか」


 それでも十分にぶっ飛んだ話なのだ。


「それで副隊長だけど……おっとその前に名前を決めないとね。もう決めてるんだけど」


 そう言って喜助は立体プロジェクターを使って名前を出す。


「……ヘッジホッグ部隊」


 陽里の隣に座る少女が呟く。


「針鼠部隊とも言うかな。で、任務だけど以前気配を消す魔獣(ホレット)の騒ぎがあったのは覚えがあるだろう?」


 5人は共に頷く。

 陽里からすれば覚えも何も討滅した本人である。


「いやぁあれは酷く長く無駄な会議だったと思うよ」


 何を思い出したのか苦虫を噛み潰した顔になる喜助。


「結局その会議で出た結論は新規部隊を作って気配を消しては子分を作り出す魔獣の捜索とその討滅だよ。そんなもの1分もあれば考えつくのに2日も会議だよ!?」


 どうやら喜助は相当不満に思っていたようで長々と愚痴る。


「だからって――おっとすまない、話が脱線したね。そう言う訳で君達には特殊な魔獣の討滅が基本任務だ」


「と言う事は他の任務もあると言う事ですね?」


 すかさず尋ねるのは信次だ。


「そう言う事。隊長権限での命令だからすぐに伝わるし機動性も高い。それも兼ねてのヘッジホッグ部隊だ」


 ネズミの様に素早く、魔獣(獲物)を捉え、危険は跳ね返す。それはまさに針鼠だろう。


「そう言う訳で以上、解散。副隊長は赤嶋(あかしま)君に任せるから」


 喜助はそう言って鍵を赤嶋と呼ばれた男に渡す。


「よろしくね、隊長代理」


 彼の肩を叩いた喜助は颯爽と部屋を出た。


 扉が閉まり静けさが訪れる。


「じ、自己紹介しません?」


 破ったのは部隊で1人だけの女性隊員の少女だ。


「わたしは木下香織(きのした かおり)、木に下で香る織物……です。階級は一等陸士です」


 香織の自己紹介が終わって再び静寂が訪れる。


 香織はその気まずさに耐えかねるようで歳の近いだろう陽里にアイコンタクトしている。


 陽里はそれに気付いているがそれに答えようか考える。


(礼儀的にもボク、か)


 正当な理由を見つけた陽里が前に出る。


「結城陽里です。以前はエドベル・エリザベスの下で訓練していました。階級は彼女と同じ一等陸士です」


「ほぅ」


 副隊長の赤嶋が声を漏らす。


「佐畑信次だ。階級は一等陸曹。よろしく」


 陽里に倣ったのか信次も自己紹介する。


丸腹満太(まるはら まんた)と言いますです。階級は一等陸曹です。よろしくお願いしますです」


 冷房の効いたこの会議室でハンカチを出して汗を拭く大柄もとい膨よかな男が信次の次に挨拶をする。


「……赤嶋秋雄(あきお)。俺様が隊長代理だ。明日から任務だ。部隊に部屋が与えられたからそこに来い。俺様より遅ければ殺す。以上だ」


 必要な事だけ言った秋雄は部屋を出る。


「何あれ」


 その様子に不満を漏らしたのは香織だ。


「私も戻ろう」


 続いて信次も部屋を出る。


 三度静けさが訪れる。


「どうしますです?」


 尋ねたのは満太だった。


「ボクも戻る」


 陽里が部屋を後にする。


「木下さんはどうするです?」


 部屋に残された満太が香織に訊く。


「わたしも戻る事にします。心配してくださってありがとうございます」


 深々と頭を下げる香織に対して恐縮したのは満太だった。


「いやいや、オイは何もしてないです」


「それとわたしの事は香織でいいですよ」


「わかったです。オイの事も満太と呼んでくださいです」


「よろしくお願いします。満太さん」


 この日、喜助を含む6人編成の特殊部隊が結成されたがまともに会話したのは僅かに4人2組、陽里と信次、香織と満太のみであった。

ヘッジホッグ部隊 隊員名簿

鹿島喜助(かしま きすけ):中将・名前だけ隊長・顎髭

赤嶋秋雄(あかしま あきお):少尉・副隊長・隊長代理

佐畑信次(さはた しんじ):一等陸曹・長身・黒縁メガネ

丸腹満太(まるはら まんた):一等陸曹・膨よか・汗っかき

木下香織(きのした かおり):一等陸士・紅一点・茶髪ハーフアップ

結城陽里(ゆうき ようり):一等陸士・主人公・中肉中背

以上6名


2017/06/03 微修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ