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神の居ない世界にて  作者: アウラ
1.He interacts with her
27/249

26.

誤字脱字等ございましたらご報告してくださると助かります。

 第1小隊は6人で構成されている。


 1人目は小隊長にして中隊長のエリザベス・エドベル。

 2人目はエリザベスから問題児扱いされている結城陽里。

 3人目が何の偶然かエリザベスからトップ5と判断された五十嵐新。

 4人目は篠原(しのはら)、5人目は日下部(くさかべ)、6人目は和堂(わどう)の男5人女1人の小隊であった。


「ムサイな……」


 ポツリと言った新を般若の顔で睨むエリザベス。


 もしこの後の言葉を呟いていたら殺されていたかもしれない。


(絶対にエリザベス教官も外見は美女だけど中身(こころ)は男だよなぁとか言えん……!!)


 おそらくこのヘリに乗っている誰しもが同意すると思うが言わぬが花である。


 尚、第2小隊には女性がいるがそれとこれとは別なようだ。


「いいか、今までにも教え叩き込んだ事だが各個撃破を最優先にしろ。囲まれそうになったら逃げればいい。それだけの体力を今日みたいな日のために走らせたんだ。体力だけはあるだろう?」


 有無を言わせない顔でエリザベスが第1小隊と第2小隊の隊員の顔を見る。


「それといつも通りツーマンセルでいく。小隊長が組合せを考えろ。狙うのはランクCの魔獣(ホレット)だけでいい。ランクBが大量にいたら話は別だが今回も多数は魔性犬(デヴィドッグ)だろう。ランクBはワタシが引き受けよう」


「「イエスマム!」」


(理論上第4小隊が1番死にやすいが誰が死ぬかわからないのが戦場だしこればっかしは神にでも祈るしかないな)


 もしかしたらもう2度と会えないかもしれない隊員の顔をよく見るエリザベスであった。


「第1小隊はワタシと結城、五十嵐と篠原、日下部と和堂のペアで行く」


「「イエスマム」」


 5人は返事をする。


 続けて第2小隊も組合せが決まる。


「もうそろそろ目的地上空です」


 パイロットの爽司がエリザベスに告げる。


「すぐに着陸しろ」


「イエスマム」


 暗い空の下、1機のヘリは妖しく光る高層ビルを目指して高度を下げていく。


「飛び降りるなよ」


「……」


 エリザベスは腰を軽く上げていた陽里を睨んで釘を刺す。


(第3、第4小隊もそろそろ着く頃だろうな)


 北の空を見てエリザベスは胸に拳を当てて無事である事を祈る。

 そしてヘリはコンクリートジャングルの(ビル)に止まる。


「総員、突撃!!」


 6つの集団、12人の阿羅機士(アルハーダー)が6方向へと飛び去った。


 同時刻に第3、第4小隊も戦闘が開始された。


『周囲2kmの敵数を計測します。……全25体を計測。表示します』


 MCASS(バックアップシステム)によってエリザベス達阿羅機士の視界に表示された敵を示す赤いシルエットと味方を示す青いシルエット。


「赤いな」


 エリザベスは舌打ちをしながら歩き出す。


 25体ともなれば大群である。

 1体1体が強力過ぎるために連携した行動はあまり取らないが逃げた先にも魔獣がいると言うのは絶望的な状況である。


「雷刃」


 陽里は早速直刀の電撃剣を取り出す。


「そう言えば貴様の実戦戦闘を見るのは初めてになるな」


「そうですね」


『前方上空より魔獣接近』


 一際低いビルの屋上から黒い膝丈サイズの物体が飛び降りる。


「またか」


「またですね」


 エリザベスの呆れた雰囲気に陽里が同調する。


魔性犬(デヴィドッグ)――ランクCです』


 魔性犬は陽里達に牙を剥き出しにして涎を垂らしていた。


「一体何体いるんだ。今回で100体くらいいくぞ」


 エリザベスは頭を抱えて陽里の肩に手を置いた。

 それを陽里は戦闘の許可と受け取って武器を構える。


 瞬間、陽里は距離を詰める。


 無挙動で繰り出したこの動きは滑歩と言われるものであるが陽里の場合、背中に搭載された2機のブースターによる爆発的加速で無挙動で行っている。

 音速に達しないこの動きに魔性犬は対応し下から上頭突きを与えるためにしゃがむ。


(真正面から攻撃だなんて魔性犬(君達)ぐらいしかやらないよ)


 ミリメートル単位で浮いていた足を地面に降ろして砕けたアスファルトを魔性犬にかける。


 当然この程度では魔性犬の強固な皮膚を破る事は出来ない。


 そして陽里は再び加速をかけて魔性犬の後ろへと回り込む。


(砂かけならぬアスファルトかけじゃダメージは到底与えられないけど僅かの間だけでも怯ませられる)


 一瞬動きが止まった魔性犬に陽里の動きを追う事は叶わず雷刃にて首を跳ね落とされる。


「1体目、討滅」


 僅か2手――魔性犬の反撃も合わせても3手で、時間にして1秒にも満たない瞬殺。


「流石だな」


 エリザベスは陽里の一連の動きを素直に賞賛する。


「エドベル教官も流石です」


 陽里もエリザベスの背後の状態を見て正直な言葉を発する。


 手を出さずに陽里の動きをじっくりと見ていたかったエリザベスであるが、ビルに隠れて潜んでいた魔性犬の討滅が優先だったため早々に始末したがそれと同時に陽里も討滅したのだった。


「その赤い蔓のようなものって何と言う武装(デバイス)なのですか?」


 陽里は魔性犬を瞬殺したであろう赤い触手のような蔓を指した。


「これか? 血薔(けっしょう)と言う。貴様のその剣も防げる程度に強固で魔性犬の皮膚なら突き破る程度に鋭いぞ」


 エリザベスの阿羅機(アルハード)――ダーインスレイヴのデザインである迷彩柄に似合わず深紅の蔓状のものが宙を漂うのは不気味だった。


「貴様程の実力があってもどうしてランクBと戦わせないかわかるか?」


 エリザベスは陽里に問う。


「それはボクが一兵卒であるから――


「違うな」


 エリザベスは赤いシルエットを目指して再び歩き出す。


「貴様のその攻撃の正確さ・精密で素早い動きには確かに目を見張るものだ。正直ワタシも妬むくらいだ」


 エリザベスは陽里の動きを正確に思い出し、そして陽里へ振り返る。


「だが結城陽里、貴様は致命的なまでに防御を取っ払っている」


「そうですね」


 特に困った様子でも驚いた様子でもなく淡々と頷く。


「それに経験も足りていない。もし何か予期せぬ事で魔性犬に一撃でも貰ったら高い確率で死ぬだろう。そのような阿羅機を使うなとは言わんが一撃二撃喰らうのを覚悟すべき強敵相手では危険過ぎる」


 陽里の阿羅機――ケラウノスはあまりにも耐久度が低過ぎた。


 エリザベスの言う通り一発でも被弾すれば生存確認は五分五分である。


 それはもちろん当たった場所次第では100%死ぬし逆を言えば100%死なない。


 だが必死の一撃になるかどうかは運次第にもなる。


「万が一の時は頼むが。ワタシがいる間は危険な戦闘はするな」


 そう言ってエリザベスは血薔を出現させて目の前の魔性犬と対峙する。

2017/06/03 小隊→中隊 分隊→小隊へ変更

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