3.高校入学式~ドキドキのお隣?~
―麻琴Side
「ほら、そろそろ入って準備してきな」
話も一息つき、兄たちに促され武道場に入る。
「「「はーい」」」
ここからはクラス別、番号順に並んで待機することになっていて、11番の私は一番前に座る。
「じゃ、また帰りね~」
と結月は隣の自分のクラスの列へ向かった。
武道場はそこまで広くないので、新入生全員が座るとなると狭く、隣の人との距離は、人が横向きになって通らないと行けないくらいなので、思ったより近い。
(ゆづはどこら辺かな…)
そう思い左にある4組の方を向くと、隣に座っていた人同がじタイミングでこちらを向いたので驚き、思いきり顔をそらし下を向いた。
(近っ! びっくりしたー …隣、柊斗だったんだ…)
距離は30センチあるかないかくらいで、急にそんな距離に顔があったからなのか、それが知っている人だったからなのか、驚きすぎて心臓がバクバクしている…
さっきまで皆の話している声が聞こえていたのに、今はうるさい自分の心臓の音しか耳に入らない…
顔と左半身に全身の熱が集中したんじゃないかと思うほど熱く感じる…
(それにしても相変わらず顔いいなー …って、そうじゃなくて、急にこんな距離に顔があったら、相手が誰でもこうなるわ! ……きっと)
まだまだ治まらない心臓の音と顔の熱を隠すように下を向きながら頭を振る。
「はぁー(ゆづ探せなかった… でも、もう一回横見るのも無理!!ってか、顔上げられない…)」
さっきまで意識していなかった左側に全神経が集中した…
―
麻琴に合図してみようと3組の列を見る結月。
(嘘~ 麻琴と柊斗くん隣!? しかも、なに今の!? キャー! これは、ようやく進展するかも?!)
と一部始終を見ていた結月は心の中でキャーキャー叫んでいた。
―柊斗Side
「残念だったな?」
「なにが」
「さっきのだよ!「私も柊斗と違うクラスで寂しい~」って言われると思っただろ~」
中に入ってからも、さっきのことを弄ってくる朝陽。
「…んな訳ないだろ。そんなこと言わないってわかってたし。」
(俺と同じクラスになったことがないことも知らないだろうし、てか意識したこともないんだろうな…)「ハァー…」
「ため息つくなよ~ 話せただけでもよかっただろ! じゃ、また帰りにな~」
(あいつの言うとおり、話せただけでもいいよな― …えっ)
自分の座る場所を見ると、隣には麻琴が座っていた。
(近くないか…)
座ってみると30センチあるかないかの距離で、右半身に全神経が集中しているかのように緊張した。
麻琴は下を向いていたから、隣に座ったことに気づいていないだろうな…と思い、何気なく横を見てみると、麻琴が急に横を向き、お互い顔が向き合う形に…
(今、何が起きた? 目の前に麻琴の顔があったような… 気のせいか?いや、あったよな… でも…あれ?思いっきり顔そらされたような… 今も下向いてるし…)
何が起きたのか理解しようと考えていると、後ろの方から嫌な視線を感じた。
視線を感じる方へ目線を向けると…
さっきの一瞬の出来事を見ていたのか、朝陽と目が合った…
その顔はいつも以上にニヤついていて、俺と目が合ったと分かると『よ・か・っ・た・ね・♡』と口を動かす。
(あいつ、見てたな…)
…
帰り道、麻琴は結月にこのことを聞かれ、柊斗は朝陽に弄られた…




