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27話『離反した友』

 泣き止んだ二人に、俺は現状がどうなっているかを尋ねた。

 ここは時渡りする前――11歳の俺がいた時間を基準にすると4年後の未来らしい。


 結局、クラリスが12歳になる年に、国王リェンツェの魔法によって、王都中の墓地から復活した大量のアンデッドが国を襲った。

 王都に死者が出る度にアンデッドが溢れるようになる状況も変わらない。

 この辺りの状況は前と――1度目の夢の世界と同じだ。


 王国崩壊のタイムリミットは、過去に戻った時間軸を基準にすると残り1年程度。

 その短い期間でこの地獄が完成してしまうと考えるべきか。


 それまでに、何らかの方法でリェンツェの野望を食い止めないといけない!


 そして、俺が過去を変えようと動いたことによる変化もある。

 クラリスにはエリシア以外にも仲間がいるという。

 王都から溢れるモンスターを少しでも外に出さないように動く、所謂自警団的な存在らしい。


 ……残りは形を変えた訃報と、未知の部分だ。


 クラリスのメイドのクローゼさんは、城からクラリスを逃がす際に戦死している。

 一度目の夢の世界では、クローゼさんの死因は黒い剣士――死神に殺されたはずだったが、その未来は変わった。

 そして、クラリスが死神と会ったのはさっきが初めてだという。



「ジークさんが私たちに夢のお告げを知らせてくれて以来、私とクローゼは、お父様の動向を探りました。しかし、結局なす術のないまま、貴方の予知夢の通りローブル王国の崩壊を招いてしまいました……」


 手を振るわせながらクラリスは、無念そうに嘆く。

 実の父親が国を滅ぼすという話を受け入れないと言っていたが、彼女なりにリェンツェに対して動いてくれていたらしい。

 だが、結局父親を止められずにこの惨状を招いてしまった。

 ……何も思わないわけがない。

 思い詰めるクラリスを見ていられなくなり、俺はエリシアに視線を移す。


「……あれから死神はどうなったんだ?」


 このように腰を据えて話ができているのも、死神が追いかけてこないからだ。

 上手く巻いたか、可能性は低いが倒せたと考えるべきだ。

 やはりというべきか、エリシアの答えはどちらかと言うと前者だった。


「結果だけ言うと、死神は標的を変えたみたい。クラリスとジークが逃げた後、城の方に向かって行ったわ」


 クラリス(王女)の命が欲しいのなら、親であるリェンツェ()の命も死神にとっては魅力的なのだろうか。

 敵の敵は味方。そう考えるには少々楽観的かもしれないが、これ以上考えても結論は見えてこない。

 とりあえず、この辺りのことは後ほど、拠点にいる仲間たちと相談するということで落ち着いた。


 そして、俺には未だ気になることがある。


「……ところで、未来の俺とノクトはどうしてるかわかるか?」


 ノクトとは喧嘩別れしている状態が1年続いたままだ。

 その後、俺は4年間という時を超えてやってきた。

 つまり、その間の記憶の空白があり、それまでの過程を全く把握していない。

 俺とノクトの喧嘩の発端は国王――リェンツェに対して抱いているお互いの認識のズレによるもの。

 ノクトはリェンツェを尊敬していたが、流石にこの国の惨状は良しとしないだろう。

 少なくとも、今なら考えを改めているはずだ。

 頑固だけど、頭が良くて、いざという時に頼りになるのが俺の親友だと思っている。


 すると、今まで話してくれていたエリシアは顔を伏せた。


「……落ち着いて聞いてください、ジークさん!」


 代わりに、先の落胆から立ち直ったクラリスが話を取り次いだ。

 エリシアでは言い難い内容らしい。ということは、何らかの良からぬことが起きているのだろう。


 心の準備をし、俺はクラリスの言葉を待つ。


「ああ、覚悟はできたよ……」

「先ず、ジークさんは今から1年前に殺されました」


 何故クラリスのピンチに俺が現れないのか、これで理由がはっきりした。

 国王を敵に回しているのだから、どこかで落命していてもおかしくはない。

 自分の死を告げられるというのは妙な感覚だが、納得はできる。


「誰に殺されたかわかるか?」


 もし俺を殺した人間がはっきりしているのなら、知っておいて損はない。

 その方が過去に戻った際に、事前に対抗策が打てるかもしれない。


 少し間が空いた。そしてクラリスはゆっくりと答える。


「……ノクト・アルゼシア・ターラム」

「え?」


 それは、本当にタチの悪い冗談にしか思えなかった。

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