お使いの道程
「なんっで…俺がお前の世話しなきゃなんねぇんだよ!」
一希は田舎道の上り坂を自転車で登っていた。後ろにはソラがアイスを舐めながら座っていた。
「がんばれー、すっごく応援してるー」
「棒読みなら黙ってろっ…!」
「しょうがないよね。奈子さん(ばあちゃん)のお願いなんだから。ほら速く坂登ってよ。僕疲れた」
「お前は座ってるだけだろ!!」
一希は祖母に卵と歯磨き粉、それと湿布を買いに行くように頼んでいだ。そして、その会話を聞いていたソラはなんとなく気分で一希についていくことにした。スーパーまで自転車で約30分のところにあった。
「あーようやく登りきったー」
「テメェ重いんだよっ……」
「何を、酷いじゃないか。」
「テメェ飛べばいいじゃねぇかよ……!」
「え、やだ」
「スーパーついたらぶん殴るっ……」
坂を登りきった二人は、平坦な道を沈黙の中走っていた。するとソラは何かに気づき、顔を少し歪ませた。
「へい人間くん。」
「あ”?」
「ストップ」
ソラは畑の中央を見つめていた。一希はそんなソラを見て、なんとなくブレーキを使って止まった。止まることを確認するとソラは自転車から降りて、畑の中央に向かった。
「おい何してんだよ。そこ他所んちの畑だぞ。」
「ヘルパー鈴木さんはそこで大人しくしてて」
「俺はヘルパーじゃねえし鈴木じゃなくて水野だ!!」
一希は怒りつつも、その畑の中央を目を凝らしてよく見た。するとそこには、黒い人影があった。
「おい、敷地の管理者いるっぽいぞ。やっぱ畑入んなよ」
「一希は、あれが人に見えるんだね」
一希はさらによくその人影を観察すると、それは怪物だった。
「……あれ、もしかしてニュースの…?」
「うん。そうだよ。初めて?」
「たりめーだろ…」
「そっか。」
ソラはその怪物の前に立ち、怪物を睨んだ。怪物は動くこともせず、鳴くといった音を出すこともなく、ひたすらに大人しかった。
「…君、もしかして自我が残ってるの?すごいね。君みたいなのは初めて見た。」
すると怪物は、苦しそうなうめき声を出した。
「苦しいね。今楽にする。」
ソラは自分の羽根を操り、頭部分を貫いた。怪物は倒れた。ソラは一希のもとに戻り、再び自転車の後ろに乗った。顔は何一つ変わっていなかった。
「…もういいのか?あれ」
「うん、おわったよ。いいから、速くスーパー。」
「お、おう…」
一希は再び自転車をこいで、スーパーへ向かった
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夕方になり、一希とソラは帰ってきた。
「ばあちゃんー、じいちゃんー。ただいまー」
「おや、ありがとう。買ってきてくれたかい?」
「うん、卵と湿布と…あと歯磨き粉でしょ。めっちゃミント強いやつ」
「よく分かってるじゃないか、ありがとうかずちゃん」
「じいちゃんは?」
「今お隣さんに野菜おすそ分けに行ってるよ」
「迎え行く?」
「大丈夫だよ。いいから、お風呂入ってきちゃいなさいな」
「うん」
「ソラさんも一緒に入ってきたらどう?」
「え、むさ苦しいからごめん」
「こっちが願い下げだわ」




