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なった者となっている者

「ルオ、これって靴脱ぐべきかな?」


「さあ…でもドラマとかではそうなんじゃないかな?」


「んじゃ脱ぐか!」


「恵美、準備できた?」


「うん!」


「……本当にいいの?」


「当たり前でしょ?私、ルオとずっと一緒にいるんだから!」


「…わかった、じゃ…飛ぼうか!」


ある6月の晴天の日、立ち入り禁止のビルの屋上からルオと恵美は手を繋ぎながら全力で飛び、重力に身を任せていった。


-これで、もう自由になれる…にしても、すごいや。本当に死ぬ前って遅く感じるんだな……ゆっくり落ちていく。もはや…止まって見える-


ルオは落ちる景色が完全に止まって見えていた。恵美は軽かったからか、恵美と繋いでいた右手はルオよりも高い位置にあった。ふと、上を見上げてみた。

そこには、白くて大きな羽を生やした恵美が空中に留まっていた。ルオは、恵美と手を繋いでいたため恵美に引っ張られて同じく空中で留まっていた。ルオは驚くでも、怖がるでもなく、最初に発した言葉は


「……きれー」


「…え、なんで私……これ、どういうこと…?」


「…もしかして、恵美は僕の天使様だったの?」


「ふふん、綺麗でしょ!いやそうじゃなくて!」





______________________


高校2度目の夏休み、俺は下り路線の電車に乗ってじいちゃんおばあちゃんのいるド田舎に泊まりに行く。前までは母さんと一緒に行ってたけど、中3ぐらいから母さんも父さんも仕事が忙しくなって俺一人で来ていた。




「じいちゃん、ばあちゃん、来たよ。」


一希は持っていた合鍵を使い、扉を開けて家に上がった。けれど、家の中には祖父も祖母もおらず、畑の方へ行った。すると畑で2人は雑草抜きをしていた。


「あ、じいちゃんばあちゃん。」


「おや、かずちゃん。いらっしゃい。冷蔵庫に麦茶あるから飲んで水分取りな。」


「ばあさん、その人誰だい?ヘルパーの鈴木さんか?」


「私たちの孫ですよ。ボケジジイ」


「ワシはボケとらん。それに若々しいじゃろ」


「どこがですか。」


祖父は体は健康そのものだが、認知が進んでいて祖母以外の存在をあまり理解していなく、それに加えて自分を20代だと思い込んでいた。


「あぁ、雑草なら俺やるから2人は休みな?こんな真夏にやんなくていいよ。俺も今月はずっとこっちいるし。」


「おや、いいのかい?じゃあ甘えさせてもらおうかね。じいさん、家の中いきましょ」


「いやじゃ、ワシは病院行きたくない」


「黙って家は入ってください。熱中症になって病院行かないように家の中入れっつってんですよ。」


「いやじゃ!ワシはまだ!」


「入れ」


「はい…」


「はは、相変わらずだね」


「そうだ、かずちゃん。ソラさん今縁側にいると思うから冷凍庫にあるガリガリくんもってってあげて」


「えー…まだアイツいるの…?いい加減追い出しなよあんな不審者」


「ん?」


「いや、なんでもないです。」


一希は冷凍庫からアイスを取り出し、縁側に持っていった。その縁側には、白く、大きな羽根の生えた小柄な男が遠くを見つめてたそがれていた。するとその男は振り向いて一希を見た。


「…あれ、ヘルパーの鈴木さん?今日来る日だっけ?」


「違うわ、ぶん殴るぞ。なんでじいちゃんと同じ事言ってんだ」


「人間はやっぱり暴力的で危険だね。よくないよ、一希。」


「テメェ以外にはやんねえよ。居候羽男」


「失礼だな。これは立派な代価じゃん」




2年前のことだ。一希の祖父と祖母はいつものように畑仕事をしていた。その時、畑に突然怪物のようなモノが現れた。2人は理解できずに固まっていると、後から2人に羽の生えた男が話しかけた。


「ねえ、助けてあげたほうがいい?」


「……え?」


「でも、その変わりにしばらく家に住まわせてくれない?」


男は有無を聞かずに、自分の羽根を数枚操り怪物の首を掻っ切った。怪物から黒い液体が溢れ出て、男はそれを浴びながら再び2人に近づいた。


「よろしく。」


「………あ、ええ……あの、名前は?」


「え?そうだな……適当にソラとかでいいや。」





「だから、僕は恩を返させるためにここにいるの。」


「……本当にどうにもその話信じらんねえ。」


「本当だって。僕が空から来たのも、僕が天使なのも。天使なのはこの美しい羽見れば分かるでしょ?」


「何が美しいだ。デカくて邪魔なだけじゃねえか。それに、飛べるとこ見たことねえし」


「だって、飛ぶの疲れるし」


「というか何でその偉大な天使様はこんなとこに来てんだよ。お空に帰れ」


「お空に帰れってそれ別の意味含めてる?……僕が帰らないのは、色々事情があるんだよ。」


「あ?事情だあ?」


「そ、君の頭でもわかるように言うなら……」


「あ"?」


「最近さ、色々物騒なの知ってるでしょ?」


「もしかして、怪物連続事件の事?」


「そ、あの怪物ね。あれ、堕落した天使が人間達に紛れてやってるんだ」


「……は?」


「あの怪物はもう何十人と人間を殺してる。だから、それを止めるために僕が来たの。あの天使を止めるために」


「なんでお前なんだよ?」


「人間達ってさ、天使のこと神様の部下みたいに思ってる節あるでしょ?」


「あー、まあ確かに」


「だから、それを前提として説明すると、その神様が僕に命令したの。その堕落した天使を見つけて、対処しろって。だからこーして僕が出向いたってわけ。わかる?」


「知るか」


「僕の今の話聞いてた?」


「んじゃさっさとそいつ見つけて帰ってくれよ…じいちゃんとばあちゃんに迷惑だろうが」


「やってるよ」


「やってるようにはとても見えねえぞ」


「気の所為じゃない?」

最後まで読んでいただきありがとうございます。よければブックマークまたはコメントをお願い致します。


個人的にこの物語は人によって読み進めれば心に来る描写があるかもしれません。もし読み進めるのならばご了承お願い致します。

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