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証言者は、あなたです  作者: やはぎ・エリンギ


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「拓海の逮捕」

17日目 午前8時〜午後2時 

逮捕状が下りたのは、午前8時17分だった。

早瀬は署で一時間だけ仮眠を取り、6時に起きた。顔を洗い、自販機のコーヒーを飲んだ。桑田はデスクで眠っていた。起こさなかった。別の刑事を連れて動くことにした。

拓海は任意同行の後、署の近くのホテルに自分で宿を取っていた。逃げる気がないことの表れだった。インターホンを押すと、すぐに出た。

「令状を持っています。久我山拓海さんを逮捕します」

拓海は早瀬を見た。昨日と同じ目だった。来ると分かっていた目だった。

「分かりました」と言った。

上着を手に取り、鍵を閉め、ドアを引いた。手錠をかける時、拓海は腕を素直に差し出した。抵抗しなかった。逃げなかった。

パトカーに乗った。

車が走り出した。早瀬は助手席から後部座席の拓海を見た。窓の外を見ていた。朝の都市が流れていた。通勤の人波、開店準備の店、走る自転車。普通の朝だった。

「一つだけ聞いていいですか」と早瀬は言った。

拓海は早瀬を見た。

「動画を投稿した後、柏木さんへの攻撃が始まりました。止められたはずです。なぜ止めなかった」

拓海は窓の外に視線を戻した。

しばらく沈黙があった。

「止めようとしました」と拓海は言った。「二度」

早瀬は黙って聞いた。

「柏木さんの名前が特定班に出た時、別の動画を投稿しようとしました。標的が違うというメッセージを出せば、止まると思った。しかし迷っているうちに、情報が広がった。手遅れになった」

「二度目は」

「柏木さんの家族の情報が出た時です。特定スレッドに、間違いだという書き込みをしようとしました。しかし匿名の書き込み一件で、あの流れは止まらないと分かって、やめました。言い訳です。分かっています」

早瀬はそれを聞いた。

止めようとした。しかし止めなかった。その事実は変わらない。しかし止めようとしたという事実も、消えない。

どちらも本当だった。

署に着いた。

取調室に入った。弁護士が来るまでの時間、早瀬は拓海と向き合って座った。

「お母さんの写真、いつから飾っているんですか」と早瀬は聞いた。

拓海は少し驚いた顔をした。

「六年前から」と言った。「死んだ日に、飾りました」

「お母さんは、あなたの計画を知っていましたか」

「知りません」と拓海は言った。「知っていたら、止めていたと思います」

「止めてほしかったですか」

拓海は答えなかった。

長い沈黙があった。

「分かりません」と最後に言った。「止めてほしかったのか、止めてほしくなかったのか、今でも分かりません」

取調室の蛍光灯が白く、静かに光っていた。

弁護士が来るまで、まだ時間があった。


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