第26話 おっさんダンジョンを出る
「え、ダンジョンを出るってそんなどこ行くつもりなんですか?」
「家に帰ろうと思いまして」
「ほう、お師匠の地上のお家ですか」
「そうですよ」
俺がそう言うと、ユイカさんは考え込み始めた。
「お師匠のお家はどんなお家なんですか?」
「えーっと、ほぼ牧場みたいなところです、珍しいモンスターなんかを飼っています、その世話もありますのでそろそろ戻りたくて」
「おおお!!それは気になりますね、ぜひ私も行きたいです!」
「ほ、本当ですか?」
「はい!」
元気にそうユイカさんは返事をした。
良かった断れると思ってたけど意外といけるもんだな。
しかし、おっさんの俺がこんな若い子を連れ回すなんて周りから見たらどう映るのだろうか。
ゆ、誘拐とかと思われないといいな。
「それでは、ボチボチダンジョンを出る準備を始めましょうか」
「はい!」
東方ダンジョンにはこれからも頻繁に来ると思う。
その際にこの新しい拠点は使用するだろうから、留守にしている間に他のモンスターに中を荒らされないように工夫しないといけない。
「ではユイカさん、ダンジョンを出るにあたって、まずは拠点を片付けましょうか」
「え、せっかく使うのに片してしまうんですか?」
「はは、そうですよねさっき作ったばかりなのに片すなんておかしな話ですね、でも片すと言ってもさっきの箱に戻して、モンスターの邪魔にならないところに置くくらいです」
本来、ダンジョン内の私的利用はしては行けない決まりとなっている。
モンスターとのためと言ってはいるが、これはもしも他の誰かがこのダンジョン内にある拠点を見つけ、国のダンジョン管理局などに通報してしまったとき用の措置でもある。
まぁこの東方ダンジョンに訪れる人なんて、まず居ないんだけどね。
「なるほどです、確かにこのお家があることによって、モンスター達の生活スペースを狭めてしまってますもんね、わかりました私もお手伝いします!」
そうして俺達は、今作った拠点を再び箱に戻した。
「もう一個の拠点と同じようにしますか?」
「いえあの拠点はミノムシ風呂敷というアイテムで隠すだけにします、というのも箱に戻す機能が壊れてしまいまして……」
少し前、あっちの拠点はこのダンジョンでは珍しい魔力を餌にしている、魔力アリクイというダンジョンモンスターの襲撃にあってしまい、箱に戻す機能がそこで破壊されてしまっている。
そのため俺は代替措置としてミノムシ風呂敷を使っているのだ。
「そうなんですね、ならこれでもう準備は終わりですか?」
「いえまだです、正確には帰路でやるのですが、帰り途中にこの種を撒きながら行きます」
『ガサ』
そう言って俺は一つの袋を取り出した。
「それは一体なんですか?」
「これは環境草と呼ばれる草の種です、環境草は植えると、そのダンジョンに適した草に成長し、ダンジョン内の環境を良好にしてくれるもので、これを定期的に撒くことでこのダンジョン内の自然を守るのです」
「な、なるほど、お師匠はもうここのダンジョンの管理人みたいな事もしているのですね」
「はは、管理人って」
まぁ生活のためにここへ来てるし、そりゃあ管理くらいもするよね。
自分のためだし。
「じゃあユイカさん、今日はまたあっちの拠点に戻って、明日の朝出発しましょうか」
「はい!」
そうして俺達はケルベロスが待つあっちの拠点へと帰っていった。




