21話 お師匠
「こ、こちらこそですよ!」
そう言ってユイカさんも俺へ深々と頭を下げた。
「いえいえ、俺は弟子とかいた事ないの至らぬところがあればすぐに言ってください」
「わ、わかりましたお師匠!」
ユイカさんは咄嗟に俺をそう呼んだ。
お師匠か……良い響きだな。
しかもユイカさんのような美人に呼んでもらえると尚のこと嬉しい。
ダンジョンで長年コソコソ生きていた甲斐があったよ。
「よしそれじゃあ、槍豚の塩漬けが終わるまでの間、修行でもしましょうか」
「はい!」
そうして俺たちは槍豚の下処理が済むまでの間、剣術の修行を行った。
「ユイカさん、10本突きの精度だいぶ良くなりましたね」
「あ、ありがとうございます!神域の使い方がよくわかってきた気がします」
小一時間ほどユイカさんと修行を行ったが、かなり神域の精度が上がっていたように感じた。
「あ、ありがとうございます、お師匠にそう言われると嬉しいです」
ユイカさんは俺が褒めるとニカっと太陽のような笑みを浮かべた。
か、可愛い。
良いんだろうか、冷静に考えてこんな可愛い子とこんなおっさんが生活していてもなにか犯罪とかじゃないよな。
「さ、さぁユイカさん、おそらく塩漬けも終わっていることですし、小屋へ戻りましょうか」
「はい!」
そうして俺たちは小屋へと戻った。
「お、良い感じですね」
小屋へ戻り瓶を確認すると槍豚はいい感じに仕上がっていた。
「おお、感動ですはじめて塩漬けやったので!」
そう言ってユイカさん嬉しそうに飛び跳ねる。
まったく塩豚くらいでそんな大袈裟ですよ、しかし今日は楽しい、普段はこの干し肉作る時なんて全然楽しくなくて、ただの作業だったけど、横に誰かが居てくれるだけでこんなにも違うのか。
「嬉しそうで何よりです、さぁ今度はこのお肉を天日干しにしますよ」
「天日干しですか?ここはダンジョン、日差しはありませんけど……」
「それがあるんですよ、さぁついて来てください面白い場所に案内しますよ」
そう言って俺は、ユイカさんを連れて小屋を出た。
ダンジョン内にはもちろん日光などの太陽光はない。
ただ似たような効果を持つものはある。
女神の神木、太陽の光を放つ葉を生やす不思議なきであり、この東方ダンジョンにもある貴重な木。
これの近くなら干物でもなんでも作れるのだ。
あそこは俺のお気に入りの場所なので、ユイカさんを連れて行くのが楽しみである。




