20話 最適な食材
ダンジョン料理において最も最適な食材とは、腐らないものである。
保存の効く食材は長期的なダンジョン探索において最良の食糧となるのだ。
「手なわけで、これからこの前ユイカさんが仕留めた槍豚を干物にします」
「わ、わかりました!私、干物作り初めてです」
「お、そうですか、これから槍豚の干物には沢山お世話になると思うので頑張って覚えましょうね」
「はい!」
そうして俺とユイカさんは一旦小屋へと戻ってきた。
「さて、ユイカさん最初に手を洗いましょうか」
「はい!」
料理をする上で最も大事な事は衛生面である。
手洗いを最も初歩だがとても重要な工程の一つだと俺は考えているのだ。
「手を洗い終えました!」
そう言ってユイカさんは自分の両の手のひらを見せてきた。
うん綺麗だ、てかユイカさんって今年19か20だよな、その割にはなんだか凄い子供っぽいときあるんだよな。
「さて始めましょうか!」
「はい!」
「それではまず、槍豚をちょうどいい大きさに切っていきます」
「はい!」
そうして俺は、ユイカさんに槍豚を切らせた。
流石は剣術が上手いだけあって包丁さばきもなかなかのものだ。
「どうでしょうか?」
「うん!いい感じです」
そうしてユイカさんはあっという間に槍豚をいい感じのこま切れにした。
ちなみに、槍豚の血抜きと解体は事前に俺が済ませているので、ユイカさんには干物の下処理だけをお願いした。
「じゃあ次は塩漬けにします」
「はい!」
槍豚の塩漬けには2日ほど時間を使う。
その間時間が空くので、空いた時間はユイカさんの修行の時間にしてみるか。
「この瓶に入れてください」
「わかりました!」
槍豚の塩漬け用の瓶を取り出し、そこに槍豚と塩を沢山入れた。
塩はダンジョンにおいて貴重であるが、俺はとっておきの場所を知っているため、そこに行けばわんさか塩が取れる。
今度、ユイカさんにも教えるつもりだ。
塩をはじめ、砂糖や胡椒などはダンジョンに入ると中々入手できる代物ではない。
基本的にそういった調味料は地上から運んだものに依存してしまう。
だが、それでは真の冒険者とは呼べないと俺は思っている。
「いいですか、ユイカさん」
「はい!」
俺が改まった様子で声をかけると、ユイカさんも真剣な眼差しでこちらを見る。
「ユイカさんには立派な冒険者になってもらいたいので、私の持てる全てを教えるつもりです」
「はい!」
「これからもどうぞよろしく」
そう言って俺は深々と頭を下げた。




