いじわるざるのケンとルン
ニィたちの話を、いじめっ子の日本猿ケンとルンが、木の上からこっそり聞いていました。
「聞いたか、ルン。
あいつら、星を取りに行くんだってさ」
ケンが馬鹿にしたように鼻で笑います。
「バカだよねぇ。星なんか取れるわけないのに」
ルンも笑いながら、木の枝を渡ってニィとチィの頭上をうろつきました。
「うそつきニィ! う〜そつき、う〜そつき!」
ケンとルンの馬鹿にした声が、森の中に響きわたります。
意地悪な声に、チィは大きな目に涙をいっぱいためて叫びました。
「ニィは嘘つきじゃないもん!
ぜったい、お星さまをつかめるもん!!」
涙を袖でごしごし拭うチィに、ケンとルンは面白がってさらにからかいます。
「チィはバーカだなぁ〜!」
「星なんか取れないよ〜。ニィもバカだな〜!」
二匹はいじわるな声で「バカ」を繰り返しました。
でもニィは言い返しません。
ただチィの手をぎゅっと握り、二匹を無視して歩き出しました。
チィは不思議でした。
(どうしてニィは怒らないんだろう?)
そっと顔を見上げると——
ニィは少しも悔しそうではなく、前だけを見て歩いています。
その横顔を見た瞬間、チィの胸の中の怒りがふっと消えました。
(ニィがあるって言うんだから、きっとある!)
そう心の中でつぶやいた時でした。
「無視するなんて生意気だぞ!」
「生意気だぞー!」
ルンとケンが木の上から木の実を投げつけてきたのです。
バチッ!と当たるたびに痛みが走り、ニィはチィを守るように覆いかぶさりました。
その瞬間——。
「こら! この悪ガキども!
また意地悪しているのかい!」
森の賢者、ふくろうのババ様が羽ばたいてやって来ました。
「ババアだ! ふくろうの、もうろくババアだ!」
ケンが前歯をむき出しにして『キキッ』と威嚇します。
「お前たち! また弱い者いじめをして……恥ずかしくないのかい!」
怒るババ様に、ケンとルンはおしりを叩いて反論します。
「だって! 星を取りに行くって嘘つくニィが悪いんだ!」
「星だって?」
ババ様はそっと目を細めました。
その反応に、ニィは耳をぴくぴく動かして尋ねます。
「ババ様……星の住む泉の場所を知っているの?」
ババ様が口を開こうとした、そのとき——。
「ば〜か! ば〜か!
星の住む泉? そんなもん、ないんだよ!」
ケンがあかんべをして笑いました。
「嘘つきニィ〜! 嘘つきニィ〜!」
二匹が手を叩いて叫ぶと、ババ様はついに怒りの声を上げました。
「うるさい! この馬鹿者どもが!!」
ババ様が大きな羽根をばさりとはためかせると、強い風が生まれ、
ケンとルンは吹き飛ばされるように森の奥へ逃げていきました。




