渡り鳥の姉妹 チチとリリ
二人は手をつなぎ、ゆっくりと“星が住む泉”へ向かって歩きはじめました。
すると、森の入り口で、渡り鳥の姉妹・チチとリリが声をかけてきました。
「ニィ、チィ、おはよう」
リリの声に、二人は足を止めます。
「リリ、チチ、おはよう!」
にこにこと手を振る二人に、チチが首をかしげました。
「こんな早くに、どこへ行くの?」
「星を取りに行くんだ!」
嬉しそうに話すチィに、リリは不思議そうに首をかしげます。
「星? あのお空で光っている、お星さまのこと?」
その問いに、ニィは「あ、そうだ……」と小さくつぶやくと、
「湖にたくさん星がある場所らしいんだけど……リリとチチは知ってる?」
と訊ねました。
するとリリは翼をバサバサと羽ばたかせながら、
「きっと、“星が住む泉”のことね」
と言いました。
「そう! ぼくたち、星が住む泉に行きたいんだ!」
ニィが声を弾ませると、リリは少し心配そうに言います。
「翼のないあなたたちが、どうやってあんな遠くまで行くの?」
その言葉に、ニィはしょんぼりとうつむいてしまいました。
するとチィが、ぱっと顔を輝かせて二人の鳥姉妹に尋ねました。
「ねぇ、ねぇ、リリとチチ。本当に、湖にお星さまがいるの?」
「ぼくね、ぼくね、お星さまをつかむのが夢だったの!
そしたらね、ニィが“つかめるよ~”って教えてくれたんだ!」
にこにこ話すチィを見て、チチとリリは顔を見合わせ、
ピチュピチュと何かを相談し始めました。
「ニィは、チィの願いを叶えてあげたいのね」
やがてチチがそう言うと、羽根を一枚ふわりと抜き、ニィに差し出します。
「この羽根を、この先の森にいるユニコーンに渡して。
きっと背中に乗せてくれるわ」
ニィとチィは思わず顔を見合わせ、ぱあっと笑顔になりました。
「ありがとう、チチ!」
頭を下げるニィに、チチは優しく微笑みます。
「弟の夢を叶えたいという、あなたの優しい気持ちに答えたかったの」
そう言うと、チチとリリは美しい声でピチュピチュと歌を歌い始めました。
「きっと素敵な思い出になるわ」
微笑む二羽に、ニィもにっこり答えます。
「うん! 本当にありがとう!」
ニィは羽根をハンカチに包み、リュックのポケットへ大切にしまいました。
チチとリリは嬉しそうに歌い続け、ニィがリュックを背負うと、
二羽は翼をバサバサとはためかせ、二人の頭上をくるりと飛び回ります。
「素敵な旅を!」
空から歌いかけるその声に、ニィとチィは胸がぽかぽかと温かくなり、
“この旅にはきっと幸せが待っている”と感じました。
二人を見送ってくれるチチとリリに手を振りながら、
「美味しそうな木の実があったら、取ってくるからね!」
そう言うと、ニィとチィは森の奥へと歩き出しました。




