森の仲間達と亀のドン
「ババ様! 助けてくれてありがとう!」
ニィとチィがお礼を言うと、ババ様は首をかしげました。
「おや? 二人だけで、どこへ行くんだい?」
チィはにっこり笑って答えます。
「星を取りに行くんだ!」
その声を聞いたうさぎのぴょんが、草むらからひょっこり顔を出しました。
「星が住む泉のことだね?」
ババ様はぴょんに問いかけます。
「そんな泉があるのかい?」
するとチィも前のめりになって聞きました。
「星が住む泉には、本当にお星さまがいるの?」
ぴょんが鼻をひくひく動かしていると、今度はリスのマナが穴から顔を出し、
「行ってみたらわかるわよ」
と優しく微笑みました。
ババ様は眠そうに大きなあくびをすると言いました。
「そうかい。でも、二人だけで行くのかい? トトかカカはいないのかい?」
心配する声に、ニィは胸を叩いて答えます。
「大丈夫! だってボクはもう小学生だから!」
本当は“まだ子どもだよ”と言いたかったババ様ですが、夜に活動するババ様は眠くてたまりません。
「気をつけて行くんだよ……」
そう言うと、ぱたりと目を閉じてしまいました。
二人がそっと笑い合ったそのとき、ぴょんとマナが驚いたように声を上げます。
「二人だけで行くの? すごいね……!」
ニィは、まるで自分に言い聞かせるように、もう一度胸を叩きました。
「大丈夫! ボク、小学生だから!」
けれど、森に来るまでの道で、ニィは思ったより疲れていました。
「ねぇ、星の住む泉は、もうすぐ着くの?」
ニィが尋ねると、マナとぴょんは顔を見合わせて答えます。
「まだまだ、ずーっと先だよ」
その言葉にニィは一瞬不安になりましたが、ぎゅっと自分の手を握るチィの手を見て、ありったけの元気をかき集めました。
ふとチィの顔を見ると、疲れた表情です。
「ちょっと休もう」
ニィは大きな石を椅子代わりにしてチィを座らせ、自分も隣に腰を下ろしました。
そして朝に一生懸命作ったサンドイッチをリュックから取り出し、チィに手渡したその時です。
「おいしそうなものを食べているねぇ」
足元から声がしました。
驚いて下を見ると——
ふたりが座っていたのは 石ではなく、亀のドンの背中 だったのです。
「ご、ごめんなさい!」
ニィは急いで背中から降り、自分のサンドイッチを半分にしてドンへ差し出しました。
するとチィも、
「休ませてくれて、ありがとう!」
とサンドイッチを半分にして渡しました。
ドンは嬉しそうに目を細めて言いました。
「二人はどこへ行くんだい?」
「星を取りに行くんだ!」
チィが胸を張って答えると、ドンは少し考えてからニィに言います。
「ニィ、お前もオレの背中に乗りな。
ペガサスなら、星の住む泉までひとっ飛びさ。
おいしいサンドイッチのお礼に、連れて行ってあげるよ」
「え……! 本当に?」
ニィが目を丸くすると、ドンは優しく笑いました。
「最高においしかったよ。サンドイッチのお礼さ」
自分の作ったサンドイッチを褒められ、ニィは少し恥ずかしくなりました。
そんなニィを見上げて、チィは得意げに叫びます。
「ニィのサンドイッチは、世界でいちばんおいしいんだよ!」
ドンは二人に微笑み、ゆっくりと背中に乗せると、森の奥へ向けて進みはじめました。




