家探し3
「これ、玄関だけで生活できちゃうんじゃない?」
自身がすっぽり入ってしまえるほどの靴箱を開けて、リゼちゃんが中を覗いている。
「確かに。ここだけで3等区画の物件より広いもん。」
「だよね~。リビングはさぞかし広いんだろうな~!」
そう話しながら二人でボーリング場のレーンの様に長い廊下を歩く。
廊下のところどころに花瓶やら絵画やらが飾られている。
もしあたしがここに住むことになったら、このお手入れ全部あたしがやることになるのかしら・・・。
「御開帳~!」
リゼちゃんがリビングへの扉を開く。
大きな窓から外の光が大量に入ってきて、
電気をつけていないのに外と変わらないほどの明るさが保たれている。
「温かい光だね。」
「カエデ上見て。天窓あるよ、すごくない?」
そう言われて上を見る。
大きな天窓がこれでもかというくらい主張している。
なるほど。確かにこれだけ大きい窓があればこの広い部屋でも明るさを確保できるわよね。
「ホームクリエイターも最新式だよ!ほらほら!」
リゼちゃんがキッチンの方に行って、なにやらホームクリエイターをピコピコと弄っている。
「ちょっとリゼちゃん、あんまり適当に触ったらまずいのでは?」
「大丈夫大丈夫。今、住居見学でしょ?これが終わったら全部リセットされるって。」
「そうなの?」
「・・・たぶん。」
しばらく無言で動かなくなった後、ホームクリエイターのボタンを押しながらリゼちゃんが答える。
「たぶんかーい!」
「えへへ。冗談だって。初期化されるのは本当だよ。だから安心して見てまわって大丈夫だよ。」
・・・
「部屋が全部で8部屋、でお値段の方は~?デデデデデデデデ。」
一通り部屋を見回った後、リゼちゃんが家賃を聞いてくる。
そのドラムロールいる?
「デン!」
「諸々込々でひと月100ポイントよ。」
「高け~!」
膝から崩れ落ちるリゼちゃん。
オーバーリアクションだけど、かわいいなぁ。
「確かに物件は良かったけど、ひと月100ポイントはねぇ。」
「あたしのバイト代じゃ管理費も払えないや。」
リゼちゃんが苦笑いする。
そうよね。ここの大学生相当の人たちがもらう初任給が20ポイントって言ってたもんなあ。
プリンセスあたしになれるチャンスかもと思ったけど、これは流石に高すぎる。
「カエデ、この後予定あるの?」
「ううん、特にないよ。」
「じゃあどっかでお茶していかない?」
「いいよ。ミスレトゥ行く?」
「え~親父いるじゃん。やだ~。」
リゼちゃんが露骨に嫌そうな顔をしている。
まあ自分の父親のやってる喫茶店じゃ落ち着かないわよね。
「じゃあ別の店行こうか。あたしお店わかんないからおすすめのところ連れて行ってよ。
今日は見学付き合ってくれたから、あたしがおごってあげる。」
「え、いいの?やった!高いところ行こ~っと。」
「待て~い!」




