娘
「ただいま~!親父!のど渇いた!」
しばらくビットさんと談笑していると店の入り口の方から、元気な女性の声が店内に響き渡った。
「こらリゼ!パパ上と呼べっていつも言ってるだろう。」
「きっしょ。」
女性がビットさんに毒を吐いている。
「娘さんですか?」
ビットさんとリゼと呼ばれた女性に話しかけてみた。
「!?この店にお客さんがいるなんて!」
あたしに気づいた女性がびっくりしている。元気な娘だなぁ。
「とりあえず、これ飲んで落ち着けお転婆。」
そういってビットさんがレモネードをリゼさんに差し出した。
おいしそう、次に来たときはあたしも頼もう。
「さんきゅ~、親父。」
「パパ上!」
「きもいから!」
・・・
「へ~。イルミンの友達なんだね~。あたしはリゼだよ。カムニア上級学校2年生なの。よろしくね!」
「あたし嵐山カエデ。カエデって呼んで。」
「凄い!苗字があるなんて、どこかお金持ちの家の子なの?」
「え?」
「ああ、違う違う。その子はドリフターらしい。お前も困ったことがあったら助けてやってくれ。」
カウンターで食器をカチャカチャやってたビットさんが割って入ってきた。
この世界では、苗字がある人はお金持ちっていう常識があるのかな?
「そうなんだね~。ここの街では、みんな苗字ってないんだよ。あたしもリゼって名前だし、親父はビット。イルミンもイルミナでしょ?」
「そういえばそうかも。」
「苗字のある人って由緒ある家柄の人とか、お金持ちの人とかなんだよ~。だからカエデもそうなのかなって。」
「違う違う。パンピーよパンピー。」
「パンピー?」
リゼちゃんが聞き返してくる。ミスった、今の子にパンピーは通じないのか。というか異世界だからそもそもそんな言葉ないのかしら。
「一般人よ。」
「そっか~、残念。お金持ちならお家に遊びに行かせてもらおうと思ったのに。」
「あ~。あたしの家ではないけど、おっきいお家に連れて行くだけならできるかも。」
「え?ほんと?」
うれしそうな目でリゼちゃんがこっちを見ている。
「あたし今家探し中で、この後1等区画の家も見に行こうと思ってたの。一緒に行く?」
「行く行く!」
「嬢ちゃん一般人なのに1等区画の物件に入れるのか?」
ビットさんが不思議そうな目であたしを見る。そういえば、いっくんが前、ランクをむやみやたらと言ったらダメみたいなことを言っていたような・・・。
「え~っと、知り合いの伝手で、運よく1軒紹介してもらえることになって・・・。」
「家賃払えるのか?」
「まあその辺はうまいことなってまして。まだ住むかどうかもわかりませんから。」
「カエデ!早くいこ~よ!」
リゼちゃんがあたしの腕を引っ張っている。
「じゃああたしはこれで。お勘定お願いします。」
「いいよ、今日はサービス!」
リゼちゃんがウインクしてくる。
「お前が言うなバカタレ!まあいいよ、今日の分はサービスだ。次からよろしく頼むぜ。」
「ごちそうさまでした。」




