ミスレトゥでレスト
なんだかこの街にそぐわないレトロな感じのお店。
コーヒーのマークが描いてるからたぶん喫茶店よね?
ここにしよう。
カランカラン。
入口のベルが鳴る。
「いらっしゃいませ。1名様でしょうか?」
「はい。・・・あれ?」
「あれ、カエデ家探しは?」
・・・
「おまたせ。コーヒーです。」
「ありがと。喫茶店で働いてたんだね。」
「うん。今はホームクリエイターがなんでも作ってくれるでしょ?
でも最近は、自分で料理するのが流行ってきててね。この喫茶店ではコーヒーを焙煎して入れてるんだ。」
「そうなんだねー。おいしい。」
あたしからすると自炊が流行るという感覚が全く分からない。
ご飯を作る行為に流行るとか流行らないとかがあることに違和感。
「おい、イル。こないだ発注しておいたコーヒー豆ってどこに置いたっけ?」
店の奥から髭を蓄えた男性が姿を現す。
あら、渋い感じのダンディなおじさま。いっくんとはまた違った魅力。
「ああ、キッチンの上の棚に入れときましたよ。」
「おう、そうだったか。」
「いっくん、この方は?」
「なんだ、イルの彼女か?えらい別嬪さんじゃないか!お前やることはやってるんだな。」
「はい、彼女です。別嬪だなんてそんな。」
ハイパーチャンスタイム!ここぞとばかりにアピールするプリンセスあたし。
「違っ、カエデも何言ってんのさ?俺、洗い物残ってるからキッチンに戻りますね。」
店の裏へと戻っていくいっくん。
結構動揺してたみたい、面白い。ふふふ。
「んでお嬢さん、本当のところはどうなんだい?」
「私こっちの世界でいうドリフターってやつで、こっちの世界に来て何もわからない時にいっくん、イルミナ君に助けていただいたんです。」
「そうかそうか。あいつ、たまに変なものに興味持つときあるからなぁ。」
「変なもの・・・。」
まあ確かに、こっちの世界の人からしたらさ、あたしなんか変なものかもしれないけどさ。
ションボリーヌあたし。
「ああ、すまん。気を悪くさせたなら謝る。イルはあんまり感情を表に出さないタイプなんだが、お嬢さんが相手だとそうでもないみたいだ。あいつも色々あるんだ、できる限りで構わないから気にかけてやってくれ。」
「はい。」
「そういやあんた、ドリフターだって言ったよな。困ったことがあったらいいな、俺も店のやつらも協力するからよ。」
「ありがとうございます、助かります。それで・・・おじ様は?」
「あ・・・すまん、名乗ってなかったな。この店『ミスレトゥ』の店主、ビットだ。よろしくな。」




