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第22話 記者会見

 盗作疑惑についての記者会見は、アンズ先生の公式サイトから配信され、多数の芸能記者やインフルエンサーが詰めかけた中で行われた。


 会見の配信が始まり、アンズ先生が登場!

 アンズ先生がいきなり、

「皆さん! あのレシピは、私が1年前に作成したレシピをメモしたものです!

 なので、もちろん盗作なんかじゃ、ありません!」

と力強く宣言する。

 ざわつきはじめる会場に、アンズ先生の横に座ったララサンシャイン社の山下が事情を説明しはじめた。


「えー、ララサンシャイン社の山下です。

 まず、最初に投稿された、レシピの手書きメモの画像ですが。

 あの画像は、弊社から流出したものだったことがわかりました。

 あの画像は1年前に、アンズ先生から弊社に提供されたレシピを、メモしたものでした。

 ですが、弊社の本では使用されず、レシピの情報はアンズ先生にお返ししました。

 その過程で、メモを撮影した画像が外部に流出したものだったことが、内部調査により判明しました。

 その後、他社の本でそのレシピが使用された、という流れになります。

 流出の詳細は、関係者のプライバシーに関わりますため控えさせていただきますが、弊社の情報管理に問題がありました。

 アンズ先生には謝罪し、すでに和解しておりますが、管理責任者として、この場で改めてお詫びします」

と言って席を立ち、その横にいたララサンシャイン社の社長、取締役とともに、深々とお詫びした。


 会場には、「なーんだー」という少し白けた雰囲気が流れたが、不十分な流出経緯の説明に、それを厳しく追求しようと、気合いを入れ直した記者たちに対して。


 山下がさらに、

「それで、1年前に流出した投稿を、〝アンズ先生が盗作した〟と告発した投稿者のほうですが、こちらも判明しました」

と言うと、ざわめき出す会場。


 そして! アンズ先生が、

「その犯人が、今ここにきています!」

と言うと! どよめく会場!

「犯人? 犯人が出てくるの?」

と会場がなっていると。


 アンズ先生が「こちらに、どうぞー!」と呼び込むと、脇から緊張した表情のOCHAN.先生がうつむきながら登場した。

 誰だこいつ? という雰囲気のなか、OCHAN.先生が深々と頭を下げて、話し出した。


「私は、OCHAN. という名前で、普段は料理研究家をしています。

 私、ありとあらゆる料理レシピを集めてて、データベースに保存して分析するのが趣味なんですが……。

 問題になったレシピを一年前に投稿したアカウントも、料理関係の情報アカウントとして前からフォローしていたんです。

 それで、SNSに投稿されたレシピの画像をスクショして、データベースに保存していたんですが……」

 ここで、初めてチラッとアンズ先生を見る。


「私、アンズ先生の大ファンでして、先生の本もすべて購入しています。

 それで、新刊の『映える! 中華風カンタン節約レシピ』が発売されると、もちろん購入してチェックしたんですが。

 すぐに『あれっ、このレシピはどこかで見たことがある……』てなって。

 データベースで確認して、1年前に投稿されたレシピとそっくりだと気が付いて。

 てっきりアンズ先生が盗作したものだと思い込んで……。

 でも、そのときは、それを告発するつもりは全然なくて!」

と、しっかりアンズ先生の方を向いて、訴えかけた。


「それがどうして、今になって告発する気になったのよ!」

と、OCHAN.先生にぶち切れはじめたアンズ先生!

 落ち着かせるために、山下があわてて二人の間に入る。


「先生、落ち着いてください!

 みなさん実は、OCHAN.先生が初めてのレシピ本を出す話が、ある出版社と進んでいたそうなんです」

「初めてのレシピ本? 何の話だ?」

となる記者たち。


「OCHAN.先生のSNSで『出版社からレシピ本のオファーがありました! 近々報告できそうです!』という投稿があったのが、6カ月前です!

 OCHAN.先生は、コスモス出版のほうで、アンズ先生の事件の加害者が担当で、出版の話が進んでいたんです!

 それが事件の影響で、その話自体がなくなったそうなんです!」

と山下が説明すると。

 わー! と途端に泣き出す、OCHAN先生。

 ざわつきがとまらない、会場。


「ごめんなさい!

 アンズ先生は殺人未遂事件の被害者で、私の本の企画がポシャったのは先生のせいではないことはわかっていました。

 でも、でも! アンズ先生が次の本を出す、って噂を聞きつけて。

 料理研究家としてパッとしない自分と、常に話題を独占して成功しているアンズ先生とが、あまりに違いすぎて。

『アンズ先生だってレシピ盗作してるじゃん!』

と思ったら、どうしても許せなくなって!

 でも、こんなに大きな話題になるなんて、思ってなかったんです!

 私の投稿なんて、いつも数件『いいね』が付けばいいぐらいだったのに!

 まさか、変なニュースサイトに投稿が拾われて、こんなに話題になるなんて……」


「 OCHAN.先生は、投稿されたレシピがアンズ先生が考案したものだと知らずに、〝レシピを盗んだ〟と誤解して投稿したそうです」

と山下が補足すると、その場で土下座するOCAHN.先生。

 あわてて山下たちも改めて「 申し訳ございませんでした!」 と一緒に土下座し出した。

 その姿を収めようと、一斉にフラッシュがたかれて真っ白になると、それを憮然とした表情で見つめているアンズ先生。


 その様子を見ながら、ここまでは、数日前の話し合いどおりになったな……、と思う花森だった。

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