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【番外編】バルト山脈にて



「パウルぅ〜お前は白月の舞踏会行けていいなぁ。俺なんか今月も来月も、魔物の尻ばっか追いかける日々だ。頭がどうにかなりそうだぜ」


 そう軽口を叩きながらも、その声色は心底うんざりとした調子で、リオレスががっくりと肩を落とす。まあ彼の境遇には、正直自身としても同情しかない。なんの気休めにもならぬだろうが、申し訳程度に声をかける。


「まあまぁ、リオレス殿……正直なところを言えば、俺は今回の催しにあまり乗り気でない。代われるのなら代わってやりたい程だ」

「……ああ、ロミアス先輩の件か。しっかしパウル殿も奇特な趣味をお持ちだ。よりによってあの人の尻を追いかけようなんざ、到底気がしれない」

「む……なぜそんなことを言うのだリオレス」

「アースドラゴンを単身でぶっ殺す御仁を嫁に迎えようなんざ、俺にはおっかなくて土台無理だって話だ。いくら年上の美人でもなぁ。俺より強すぎるのはちょっと」


 アースドラゴンというと、二年前のアルザス樹海での討伐任務か。俺はグーリン領内への出入りを禁じられているため、その情報は人伝てにしか聞いたことがない。確かリオレスは実際に討伐へ参加していたのだったか。


 ……いや、もはや彼のことは深追いするでもないだろうと、話題を変えるべく口を開く。

 

「そういえば貴殿の好みは年上だったか。ならばグロース家のラケシス殿はいかがか」

「いやぁ〜ラケシス様はなぁ。そりゃ顔は好みだけど、いかんせん身分が違いすぎる。というかあの人もどっちかといえばロミアス寄りの人間だろ。おっかねぇよ」

「難儀だな」

「ま、要するに戦場ではロクな出会いがねぇ訳。ということで頼むぜパウル殿。白月の舞踏会で俺好みの淑やかな年上美人がいたらマークしといてくれ。この件が片付いたら、いよいよ俺も身を固めようと思っている」


淑やかな年上美人。そういった御仁は、すでに良縁を見つけて身を固めているから土台無理な話では。そんな思考がふと頭を過ぎるが、あらゆる方面に角が立ちそうだったので静かにその言葉を飲み込む。


「まあ……善処はしよう」

「パウル殿ぉ〜……いやあ、本当に良い奴だな。アンタにはきっと、ロミアス先輩よりもっと良い相手が見つかる。俺の分まで楽しんできてくれよぉ」


 そう言ってリオレスはへらへらと笑いながら、今日の調査にて割り出した魔物の頭数を書簡に記す作業へと戻る。


 摂政ハラルドからの密命を受け、任務を終えた後も刺客への警戒、また敵方の反応を伺うため、リオレスはこうして不自由を強いられる状況にある。

 

 流石に、この件が終わればシュルツ王子やハラルド殿から何かしらの恩賞や報酬はあるのだろう。

 それでも、一友人として彼の為に何かできることはないか。そう思ってしまう自身がいるのも、また事実ではあった。

 


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