001冒頭
;セリフを皆無にする?
◆プロローグ
|幸一と思われる若者が疾走、落ちる。
吹き荒ぶ氷原交じりの雪原を、一人の若者が走っていた。ぜぇぜぇと、息も絶え絶えに、何度も転倒し頭を強打しながらも、無我夢中・意識朦朧で逃げていた。
しかし、その若者がハッと驚愕したと同時に、地面に消えた。このような場所では気を付けた方が良い。所々、地表の裂け目が、底深く開いている。若者は落ちた。
◆未来へ
|自然の冷凍保存になった幸一を復元する。
そのとき20XX年になっていた。
冷凍状態の幸一は復元された。今は氷原近くの住居に居る。
「お身体は大丈夫でしょうか?」
「ああ、ありがとう」
助けてくれたのはモアという名の人だった。
色々と聞いた。今はずっと未来であることを知った。その割に、この室内の内装は、私のいた時代とそう変わりはないようだった。が、それは人それぞれで世界の見え方が変わるのだと教えられた。
身体がこの世界に慣れたとして、一緒に散歩することもあった。散歩と云っても、世界中を見て回ることが出来るくらいのものだ。その詳しい仕組みは理解できなかった。
◆戦争などの悪質な争いの根絶
戦争は根絶に向かっているらしい。どうやって、と聞いた。が、それを分かるように言語化するのは難しいと云われた。
徹底的に細部にわたって管理する社会になったためか? と聞くと、違うと云う。誰もが好きに生きて良い、と。それどころかルールらしいルールがなく、昔で云えば、世界全部が無法地帯だと云われる。
もしかして、戦争を戦争だと認めていないだけじゃないか、と聞くが、世界の全てを把握することができる存在に触れ、確かに争いらしい争いのないことを知る。
しつこく、なぜだ? と聞くものの、現在の私の知性では理解することができない、とのことだった。また、知性は望めば向上可能だと教えられた。
*
かつて犯罪と呼ばれたものも大半はなくなっている。無法地帯なので「犯罪」と云うのも変だが、かつての名残りはある。
生身の人間、すなわちバージョン1の人間は、幸一のみならず、小数だが世界にまだいるらしい。そのため、そのバージョン1同士の争いが、まだあるという。ちなみにモアはバージョン2の人間だが、外見上の区別はつかない。
バージョン1同士の争いは、その方たちで収拾つかないほどになると、バージョン2の人間など、他の生物に助けを求めたりして、収拾を付けているらしい。なぜか争いを事前に食い止めることをしない様子。それを尋ねると、無益な争いと、有益な争いがある、とのヒントをくれた。
そういえば人を見ると不思議な点がある。どんなに怒りに我を忘れているような方でも、殺傷をしないことだった。はるか昔も、どこかそれに近い状況を彷彿する。賢い人のことだから、意図的にその状態を作り出しているのかもしれない。
◆学校の消失
教育機関が無いも同然だった。その訳は、技術も知識も、直接生命に加えることが可能だかららしい。
◆資源の奪い合い
資源の奪い合いが過去のものとなった。水、食料、鉱石類、その他諸々、資源に困ることはなかった。
どうなっているのか聞くと、地球上のみならず、宇宙のどこまでも広げて、物質を利用可能状態にしていっている、と。それ以上の理解は難しかった。宇宙の物質のほぼ全てをネットワークにしている面もあるらしい。そして、利用する時に、利用する形となる、と。未使用のものはネットワーク上の利用可能状態に戻される、と。
早い話、万能リサイクルシステム、とでも云うものだろうかと想像した。
――ここまで――




