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【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


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99/303

99 助けて、ラト!

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 どうしよう。

 助けて!

 ふと、何故かラトの顔が思い浮かぶ。

 今、こんな時に助けて欲しいのはラトなんだろうか?

 ……正直なところ、一番頼りなさそうな人物を思い浮かべてしまったなぁ。

 あ、そうだ!ラトはこんな時のためにもたせてくれたもの、あったよね?

 なんだっけ、呪いのじゃなくて、守護されし者の印?トゥロンの説明だと水戸のご老公様の「印籠」っぽい役割だったよね?

 ラト家が後ろ盾についてる証で、持っている人に危害を加えるつもりならラト家が相手になるって意味合いもあったはず。

 ……ラト家って、どれくらいの地位かな?かなり上の位の貴族には間違いないよね?

 このキモエロモンスターと比べたらどうだろう?

 ラトが王弟との面識や交流もある様子を、薔薇のリエス出発時に垣間見れた。あれが確かであれば、公爵か侯爵か?そういうかなり上の位の可能性がある。

 エロキモモンスターの、こういう金や権力を笠に着て好き勝手やる人間は、経験上、自分より上の立場の者には尻尾を振りまくる。

 もう、一か八かだよ。

 頼むよ、ラト!


「少々、無礼ですね」

 声をツートーンくらい落としてゆっくりと出す。

「何だと?」

 両脇の男が足を止める。まさか、私が逆らうような言葉を発すると思っていなかったのか、ハッとした様子だ。

 その一瞬の隙を突いて!

 アラフォーなめんなぁ!女の独り暮らしも長いとね、護身術の一つや二つ、習っとかないと駄目かなと思うことがあるんだよ!

 自分自身のために二つ、同僚に頼まれて付き添いで二つ、合計四つ「簡単護身術」「暴漢から身を守る方法」「これで夜道も安心講座」「逃げるための0.5秒」を伊達に学んで無い!

 片方の男の股を思いっきり蹴り上げ、腕が抜けた瞬間にもう1人の腕をひねり上げて突き放す。そして、男の3歩前に移動。

 瞬時の行動で、男2人は唖然として、仕事も忘れて動作を止めた。

「何だ、何のつもりだ!」

「あなたこそ、まるで罪人のような扱いをするとは何のおつもりですか?」

 ゆっくり一歩近づく。

「ふんっ。役に立たない小娘1人など、罪人とそう変わらぬだろう?予の目に留まったからと、貴族にでもなったつもりか?」

 ぐあーっ。

 最悪だな!庶民は罪人と変わらないとか!

 気に入らない人間をすぐに首チョンパするタイプだ。げーっ。奴隷扱いとか平気なタイプだ。げーっ。

 って、大丈夫か、私?

 頼むよ、ラト!

 もう後には引けないんだからね!

「貴族に対してはこのような扱いはなさらないと、そう解釈してもよろしいですか?」

 言質取ってやる。って、こいつはさっき言ったことなどすぐ撤回しそうだが……。

「そうだな、少なくとも人として最低限の扱いはさせてもらうぞ。予も鬼ではないからな」

 貴族以外人間じゃない発言しやがった。

 何様?

 こいつ、何様?貴族様?

 それで、男爵とかだったら笑ってやる。

 ピンヒールを背中の贅肉に食い込ませて笑ってやる!

 ……いえ、そんな趣味はありません。ただ、あまりに醜い豚に見えてしまったので、そんな妄想が浮かびました。

 どうか、ラトの貴族としての位が上でありますように!

 ポケットに手を突っ込み、スカートの中の鞄に手を入れ、手探りで呪いのコインじゃなくて、守護されし者の印を取り出す。

 って、二つあるんだ、二つ。

 どっちがどっちだったっけ?

 えーっと、わかんない。いいや、とりあえず渡しちゃえ!

 吾妻さんの方の貴族のランクは、私の予想では男爵。

 なんだろう、ほら、庶民でも豪商とかなら貴族の称号をお金で買えるとか、そういうルールどっかにあったよね?

 あと、何らかの活躍をすれば、1代~3代限りの貴族の称号が与えられるとか、そういうルールもどっかにあったよね?

 ハーレクインとかで読んだ記憶があるんだけど。ええ。小説も漫画もハーレクインロマンスにはまった時期がありましたが、何か?

 そういうのって、一番下の貴族の位でしょ?

 多分、吾妻さんこっちの世界で日本の知識活かして、商売で成功収めたか活躍したかどっちかだと思うんだ。

 それで、貴族の称号を買ったか貰ったか。それが一番、吾妻さんらしいと思うんだけど、違うかな?

 貴族の娘に見初められて、婿養子って線と、子供に恵まれない貴族に才能を見出されて養子って線もまぁあるにはあるけど。

 まぁいい。

 吾妻さんの(推定)男爵コインを渡して鼻で笑われても、次にラトの(推定)公爵コインを出せばいいんだし。

 ラトの公爵コインであれば、吾妻さんのはそのままポケットに戻すだけだし。

「では、こちらをご覧いただけますか?」

 もう、気持は『えーい、控えおろう!私をどなたと心得る!』的なんだけど、あくまで丁寧な言葉に徹する。

 守護されし者の印の一つを、手の平に載せて、豚じゃない、エロキモに見えるように差し出す。

「何だ?」

 まだ距離があるため、エロキモ(名前も名乗らない奴が悪いんであって、この呼び名に悪意はない。いや、少ししかない。一応、豚は人間扱いしてないわけだから、エロキモは人間扱いしてるわけですよ?ごにょり。)は、家臣に顎をしゃくって見せる。

 家臣が、私の手から、印を受け取るとエロキモに手渡した。

「守護されし者の印?ふんっ。お前のような貧相で醜いな娘が、どこの貴族に取り入った?」

 貧相?今それ、関係ある?

 完全に馬鹿にしたような目で、私と守護されし者の印の間に視線を行き来させる。

「どれどれ、どんな馬鹿貴族だ?予はそれなりの家の紋しか覚えておらぬぞ?」

 自分より位が下の貴族のマークは覚えていないってことか。覚えてないんじゃなくて、単に覚えられないんじゃないの?

 印を裏返し、どこの貴族か分かるマークを確認する。


 瞬間、面白いほどエロキモの顔色が変わった。


 やった!この反応なら、何とか助かりそう。ラトもらったコインかな?ありがとう、ラト!

 ラトのぼんぼん行動が、初めて役に立ったよ!

明日より更新ペースが戻ります。

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