表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/303

76 吾妻さんから、呪われました?

「コレだ」

 ガンツ王は、自分の首をチョンッと切るジェスチャーをする。

 キュベリアサイドは驚きで声も出せない。誰の、首をチョンパするのだ?

 グランラメンバーは悲痛な顔をしている。

「西に攻められたら、応戦せずにすぐさま白旗を揚げる。必要なら、この首を差し出すだけだ」

 ガンツ王の言葉に迷いはなかった。

 その決意に、どうやら国の主要メンバーは同意しているらしい。表情を見るに、両手を挙げて賛成というわけではなさそうだが。

 国が攻め込まれて、滅ぼされるかもしれないという時に、戦いもせずに降参する。その考えに、シャルトは絶句したまま。

「戦争となれば、国民が傷つく。土地が荒れる。何もいいことは一つも無い。この首一つでそれが回避できるのであれば安いものだ」

「戦争をしないために、国を明け渡すのですか?」

「おかしいか?いや、しかし誤解の無いように言っておくぞ。相手が西だとすればそうすると言っているだけだ。相手がキュベリアやまた別の国なら違う対応をさせてもらうさ」

 シャルトは、ガンツ王の言葉を受けて必死に考えをめぐらせている。

「西の大国は、敵わない相手だからですか?」

「それもある。が、それだけではない。アウナスは、攻め滅ぼして領土とした土地の国民も、昔からのアウナス国民も同じように扱っている。攻め滅ぼした国の民だからと、奴隷にしたりは決してしない。領土としたからには、皆が幸せに暮らせるようにと治世を施す。グランラ国民にしてみれば、王の首がすげ代わり、国の名前が変わるだけのことだ」

 なんと、自分がいなくなった先の国民の幸せも考えての選択とは。

 本当に、ガンツ王はすごいな。

 あれ?でも、そんなガンツ王も認めるような治世を行っている西の大国の王様は、なんで戦争するんだろう?

「しかし、予とて人の子。欲もある。できればチュリや子供達と共に生き大往生が望みだ。首を渡さず、国も荒らさぬ方法があれば是非と思う。キュベリアが平和のために同盟をというのであれば、前向きに考えよう」

 ガンツ王が立ち上がったのを合図に、皆立ち上がる。

 おっと、おっと、ワンテンポ遅れを取って、私も慌てて立ち上がる。

 サマルーとガンツ王が歩み寄り、力強く握手を交わす。

 どうやら、これが一つの会談の終了らしい。

 部屋を出るときに、ガンツ王から声がかかる。

「リエス殿、今度は是非恋人と共に訪れるがよい。歓待するぞ」

 その、笑顔が怖いんですけど。

 全力で、遠慮します。

 ……というか、恋人が居ないので共にっていうのは永遠に無理ですけどね!あっ、凹……。

 

 お城にいる間は、キュベリアサイドは黙して語らず。

 迎賓館に戻ったとたんに、日本だと万歳三唱といった盛り上がり。

 自分達の役割である、同盟への足がかりを作ることに成功した喜びが、メンバーからあふれてる。しかも、特に何のマイナス条件もなく、現時点ではキュベリアと対等に話し合いがもたれるようなのだ。

「リエスさん、リエスさんのおかげです!また、引き離された気分ですが、僕も頑張ります!必ず追いついてみせます!」

「リエス、本当にありがとう。紙の製法についての配慮にも感謝してもしきれません。まさか、一座との打ち合わせとはこういうことだったとは……」

「ああ、一刻も早くキュベリアに戻りたいです。そうだ、この吉報を狼煙でも上げますか?」

「狼煙か、早速紙に報告を書いて早馬を飛ばしますか?」

 喜びながらも、今後のことの話合いは忘れない。

 すぐに会議を開くというので、私は退席させてもらった。


 部屋に戻ると、アジージョには出て行ってもらって、1人でくつろぐ。ついでに夕飯までは誰も部屋に入れないでと頼んでおいた。

 ウィッグぽいっ。ドレスもぽいっ。鞄からジャージ取り出して身に付ける。そして、ベッドにダイブ。

「うはー、終わった、終わったぁ~!!!!!」

 大の字。

 ああ、心も体も開放感。

 この、一大プロジェクト終えた感じ、久しぶりだ。

 良かった、私は無事にキュベリアに帰れそうだし、同盟のことも一歩進んだみたいだし。

 まさか、身の保身を図るために一座の皆に紙の作り方を広めてもらったのが、貧しい村救済行為と捉えられるとは。

 それが、ガンツ王に認められるとは。

 なんだか、棚から牡丹餅。上手く行きすぎって気もしないでもない。

 ガンツ王、私の故郷は平和なんだなってうらやましそうだった。

 そうだね。確かに、独身で肩身が狭かったり、派遣社員で将来が不安だったりするけど、明日戦争で死ぬかも、今年不作で飢えるかもってそんな心配はしなくていいものね。

 ああ、日本、懐かしい。日本を出てからまだ半年も経ってないけど、随分昔のことのよう。

 帰りたいなぁ。早く帰りたい。

 鞄から携帯を取り出す。

 昨日は祭から帰ってすぐ寝ちゃったからノーチェックだった。

 携帯を取り出すときに、何かが引っかかってコロンとベッドの上に落ちた。

「何、これ?」

 見覚えの無い、小さな巾着。

 いや、どこかで見たよね?なんだっけ?

 そうだ、トゥロンから渡されたんだった。吾妻さんから荷物のお礼だと遣いのものから渡されたという。

 何が入ってるんだろう?

 口を広げて、逆さまにする。手の平に、一枚のコインのようなものが落ちる。

 穴の開いたお金よりも少し大きなコインのようなコレ……

「あれ?似たようなもの、どこかで見たよね?お金ってわけじゃないこれって……」

 どこで、見たんだっけ?

 お礼というには、お金としても使えない金銭価値が分からない謎のコイン。

 お礼?

「ああー!!ラトからもらった呪いのコインに似てる!」

 どこにやったっけ?

 っていうか、吾妻さん、なんであなたまで呪いのコインを私に渡すの~!

 それとも、これは呪いのコインじゃないのかな?

 涙目になりながら、メールチェック。

 昨日、吾妻さんから届いていたメール

『お礼に渡す巾着の中身は決して無くしたり、人に見られないように。詳細は長くなるので後ほど』

 ……。

 ぎゃーっ!やっぱり呪いのコインなんだー!

 人に見られたら大変なことになるんでしょー!もぅ!なんでラトも吾妻さんもやっかいな物を私に渡すんだよー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] お礼に呪いを渡すような人だと思われてるのが可哀想www
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ