番外編 吾妻さんと結婚2
お父さんが私の顔を見た。
「梨絵が選んだんだ。私は娘を信じている」
お父さんが静かに言葉を口にした。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って、お姉ちゃん、お義兄さん……は気が早いか、吾妻さんもまさかガラケー使ってないよね?」
せっかくの場面を、妹が止めた。
はい?
「ううん、スマホ。何台か持ってる」
日本とのつながりの生命線だからね。あと、契約は本人が云々とかめんどくさいので一度にいくつか契約したり……は、吾妻さんのお友達の弁護士さんが色々と動いてくれた。
節税のためとか色々で吾妻さんは会社を作った。その顧問弁護士という立場だ。ユータさんが社員として働いている。例の、つながりを見つけてふさぐ活動だ。吾妻さんから給料と経費としてお金が渡っているため今まで以上に精力的に動いている。
名目は、作品作りのための取材代行。
「んじゃ、こっちにかけ直してもらってよ!」
妹が自分のスマホを取り出した。
「は?」
意味ある?
「吾妻さん、聞こえてますか?初めまして。お姉ちゃん……姉がいつもお世話になっています。スマホでビデオ通話しましょう。私のスマホに変え直してもらえますか?電話になってしまったけれど、せめて顔を見ながら会話をしましょう」
え?
ビデオ通話?
そ……、そんな手が!!!
て、まって、待って、まってぇ!
私、吾妻さんの顔見たことがないのよ。
吾妻さんも私の顔を見たことがないのよ。
ないのよ?
電話で話をするばかりで……。
これからもずっと会うことはないと思ってたのに、え?うそでしょ。
『……ビデオ通話か……やり方がよくわからないが……番号を押してもらえるだろうか?もう一台のスマホで操作してみるよ』
えええ、まって、本当に、待って!
心の準備、心の!
と思っている間に、妹は吾妻さんにビデオ通話の仕方を説明しはじめた。
アプリが入っているか、入ってなきゃおすすめのアプリはどれでと……。
「お姉ちゃんもさ、スマホに変えなよ。そうしたら、離れていても顔見ながらいつだって会話できるようになるんだし」
と、何故か私にむけて妹が主張する。
ついでとばかりに、両親にもスマホをすすめ始める。
「父さんも母さんもスマホをこの機会に持つといいよ。お姉ちゃんもさ、結婚したら子供生まれるだろうし、子供の顔は見ても仕方がないかもしれないけど、孫の顔は見たいでしょ?」
あ……。
そうだね。それもあるね。
年老いた両親……吾妻さんのご両親に孫の顔を頻繁に見せてあげるにはスマホがあった方がいいに決まっている。
『ありがとう。確かに、私の都合で離れた場所に住むことにもなってしまう……。ご両親に顔を見せられる環境づくりを手伝ってもらえるのは助かります。梨絵はいい妹を持っているね』
スピーカーから吾妻さんの声が聞こえてきた。
「え?ど、どういたしまして」
妹がびっくりして変な返事を返すと、電話が音を拾わないように私の耳元で内緒話をする。
「めっちゃいい人じゃん?性格で好きになったんだね。お姉ちゃん面食いは卒業したんだ」
うっ。
ごめんなさい、いろいろと。そう、面食いは卒業で来てません。
ラト……イケメンです。言えないけど。
というか、噂だと、吾妻さんもイケメンじゃないかな。
「あ、かかってきた!」
妹のスマホがなる。
ビデオ通話開始だ。妹の手元のスマホを、覗き込む。
ど、ど、どうしよう。
「初めましてお義兄さん」
画面に映ったのは、白いシャツだ。
「下の方にあるボタンを押すと、自分が相手にどう見えているのか小さい画面が出ます」
『え?あ、ああ』
吾妻さんがボタンを押したのか、シャツしか映っていないことに気が付き、スマホの向きを変えた。
「うっ、わぁー!お姉ちゃん、全然面食い卒業してないっ、かっこいいじゃんっ」
バンバンバンと、私の背中を痛いほど勢いよく妹が叩く。
『はじめ……まして』
吾妻さんが画面の向こうで笑った。
その言葉は、妹に向けてではなく、私に向けてのものだとすぐに分かる。
「はじめまして、梨絵の父です」
「梨絵の母です」
妹は、興味深げにこちらに視線を向けていた両親にスマホの画面を向けてしまった。
……吾妻さん……。
ああいう顔していたんだ……。
というか、私の顔を吾妻さんが見るのも初めてだよね……。
がっかりしてないかな……。
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加護なしハズレ闇侯爵の聖女になりまして~ご飯に釣られて皇帝選定会に出ています~
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アラフォー女子はこんなペースでときどき番外編をアップしていきます……。
忘れてしまった情報が多く……吾妻さんの顔って見たんだっけか?とか調べました。
妹の名前もどこかで出たか記憶になくて。両親の他に祖母もいた気がする……。
そのあたりどこを探せばいいのか分からずなんとなくになっている……あは。
それでは、そのうちまたお会いできることを願って。
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