↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
235/303

235 チョビンの話

「あの、チョビンさんは世界中の芸を色々ご存知だと耳にしたのですが……」

 もしかして、チョビンは祭などで芸を見て回り情報を集める仕事とかしてるのかな?それで、祭が開催されるという情報が諜報部員とかなんかからもたらされるはずとか?

「よく知ってますね?」

 サニーネさんの手伝いをしているということを疑っては居ないようなので

「グランラへの使節団の道中で、ガンツ王を驚かせるための芸の情報に一番詳しいのはチョビンさんだと誰かが話をしているのを耳にして」

「そうか」

 一番詳しいと言われて嬉しかったのか、チョビンは口の端をちょいとあげた。

「チョビンさんは、箱の中に入った人が消えるというような芸は見たことありますか?」

 同じようなイリュージョンがないか確認できる絶好のチャンスがあってよかった。運がいいわ。

「いや、聞いたことがない。もし、あれば、グランラへ同行してもらっていた」

 よし!チョビンが知らないなら、大丈夫そうだ。

「そうですよねぇ。そんな芸であるわけないですよねぇ」

 へらりと笑って話題を逸らそうとしたところで、料理が運ばれてきた。

「それにしても、二人が知り合いだったなんてびっくりしたよ。リエスの……」

 サニーネさんが言葉を飲み込んだ。

 薔薇のリエスと私を別人だと思っているチョビンを前に、私をリエスと呼べないと思ったようだ。

「リエス?」

 チョビンがリエスの名前に反応した。

「自己紹介がまだでした。えっと、私はリエスさんの弟子としてメイクを学んだリーと申します。その関係で、銀の羽座の皆様にメイクなどを施すお手伝いを時々させていただきました」

「そ、そうなんだよ。リーにはリエス直伝の美容指導をしてもらったりして、ね。で、リー、そちらの少年との関係を聞いてもいいかい?」

 サニーネさんは私が咄嗟に口にした設定に乗ってくれた。

「今、手伝っている一座のメンバーなの。えーっと、彼の名はオージェ」

「そうかい。一座の手伝いか。で、オージェの依頼の衣装の仕立てっていうのは、その一座で使うものなのかい?」

「ええ、そうなんです。祭がもう3日後なんですけど、それまでに間に合いますか?」

 サニーネさんはまかせておくれと胸を叩いた。

「リーさん、祭というのは本当に行われるのか?確かに、何年か前までは年に一度大きな祭が開かれていたそうだが、今は行われていないと聞いている」

 チョビンが再度祭の開催を確認してくる。

「急に開催が決まったんです。国民に開催が知らされたのは、数日前です。準備も整わない状態です。芸を披露する一座の数も足りないような状態で……」

 私の話を聞いて、チョビンは眉を寄せた。

「出られませんか?」

「え?」

「トルニープの祭に、キュベリアの馬車持ち一座が出るというのは可能ですか?」

 はい?

「あの、それって……サニーネさんたちが祭りに協力してくれるということ?馬車持ちは国の管轄なんですよね?勝手に出るとか、できませんよね?」

 首を傾げると、チョビンは声を潜めた。

「今は事情は話せないが、それは問題ない。いや、むしろ、国境を越えてトルニープで公演できるのであれば、祭でなくても構わないんだ。ただ、祭に出られるなら、格好の大義名分になる」

 事情?

 なんだか分からないけど、渡りに船ってことのことなんじゃない?

「ちょっと待っててもらえますか?」

 食事の途中だけど、日にちがない。オージェ君と店の外に出て人目の無い場所で話す。

「オージェくん、トルニープの王都と連絡取れる?」

「ええ、今エボンがいるでしょうから」

 狼煙、便利!


 先にレストランに戻って食事を再開した私の元に、朗報を持ってオージェくんが戻ってきたのは、デザートが運ばれてきたころだった。

「チョビンさん、トルニープの祭りに是非出演してくださいって、許可が下りました。あ、まだ仮の許可ですが、数時間後には正式に許可が下りると思います」

 カーベルさんにキュベリアの馬車持ち一座の出演を打診したら、喜ばれた。カーベルさんが祭のあれこれ頼まれてるから問題ないだろうけど、国外の者を招くということで、一応陛下の許可も取るようだ。

 私の言葉に、チョビンが唖然とする。

「リーさんは、いったい何者ですか?」

「何者って、庶民ですけど?」

 チョビンの言葉に反射的に答えて、口を押さえる。

 そうだ!庶民が隣国の祭りの許可がどうのとか、そんな話するのってどう考えても変だよね?

「ちょっとした縁で、トルニープの元宰相と知り合ったんです。今は、祭の準備を手伝っている関係で話をさせていただけるので……」

 と言う私の言葉に

「はぁ、流石はリエス殿のアシスタントをしていただけのことはあるようで、そうですか」

 と、納得された。

 あ、あれ?リエスってチョビンにとってどんな位置づけ?流石って何?

「それで、事情というのは?」

「……。他言無用で願えますか?」

 チョビンが言いよどむ。

 チラリとオージェ君に視線を送る。

「大丈夫ですよ。彼は口が堅いですし、信用に足りる人間です。とはいえ、チョビンさんが私を信用できないと言えば話は別ですが」

 チョビンからすれば、リーと名乗った私は初対面だしね。私からすれば、グランラ道中で色々とお世話になりましたが。うん、懐かしい。

「実は……、キュベリア国王の婚約者が行方不明なのです」

「えっ?」

 思わず驚きの声を上げる。

 いや、もちろん話の内容はすでに知っているから驚きはしないんだけど、今このタイミングでチョビンの口からその話が出たのに驚いたのだ。

 だって、トルニープの祭に銀の羽座が出演する事情に何で、キュベリア国王の婚約者行方不明が関係するのか、さっぱり分からない。

「リーさんが驚くのも無理はないでしょう。何せ、キュベリア国王が婚約したという話すら、まだ世間には知られていないのですから」

 そうだよね。そもそも、王様の結婚とかって国のイベントとしてはすごく大きなことだよね。誰と結婚するかなんて、そりゃぁ、社交界を揺るがす大スクープだ。あの、社交界の噂の伝達速度から考えれば、婚約すれば、あっというまに社交界に話が広がり、それぞれのお屋敷に勤める者たちを通じ、民衆にも一気に話が広がるだろう。

「どんな理由か分かりませんが、キュベリア王から婚約者の存在を知らされたのは、婚約者が行方不明になった後でした」

「誰も知らない婚約者?……もしかして、誰かに反対されていたので秘密裏に?それとも、命を狙われる危険があったので内緒に?」

 身分違いの恋だったとか?妃候補が悪役令嬢そのもので、婚約者への嫌がらせそのほかを畏れたとか?まさか、人妻とか幼女とか人の道に外れた恋だとか?……。ああ、熟女って線もあるな。この世界じゃぁ25歳で行き遅れだから、私みたいな35歳アラフォーが相手だったら、いっぱい反対されそうだ。っていうか、私はまだ熟女じゃないよね?熟女って50歳くらいからだよね?……。

チョビンの補足を活動報告にて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。