第三話
追放から3ヶ月。
かつて「死の谷」と呼ばれた場所は、見渡す限りの多段式・立体水耕栽培プラントへと変貌していた。
竹や木材で組まれた高層ラックに、整然と並ぶパイプライン。
太陽光の代わりに【光輝石】を並べた無菌室のようなビニールハウスの中では、最高級のトマト、イチゴ、超高魔力米が24時間体制で大量生産されていた。
そこへ、一人の少女がボロボロの鎧を纏って倒れ込んできた。
隣国の騎士団長、エルザだった。
「水……食べものを……。この国は今、大干ばつで……民が餓死しているのだ……」
レオナルドは呆れ顔で、もぎたての「魔導トマト」を彼女の口に押し込んだ。
「ほら、食え。噛むと中身が噴き出すから気をつけろよ」
「んぐっ……!? な、なんだこの甘みと瑞々しさは!? それに、身体の傷と魔力が一瞬で……っ!?」
エルザは目を丸くし、目の前に広がる「空中庭園」のような緑の絶景を見上げて絶句した。
「れ、レオナルド殿……! これは一体……!? この砂漠の真ん中で、どうしてこれほどの食糧が!?」
「ただの水耕栽培ですよ。土がダメなら、水と空気で育てればいい。連作障害もないし、年中無休で収穫できます。……あ、労働環境はホワイトですよ? 基本は自動循環ですから」
エルザは震える手でレオナルドの服を掴んだ。
「買い取らせてくれ! 金ならいくらでも出す! 我が国を……いや、餓死に苦しむ人々を救ってくれ!!」
こうして、レオナルドの「食糧供給ビジネス」が始まった。




