第四話
数か月後。
レオナルドを追放した公爵家は、大干ばつの影響で大飢饉に陥っていた。
領民は暴動を起こし、金貨を積んでも穀物が手に入らない。
「くそっ! なぜどこにも食べ物がないのだ!」
義兄が叫ぶ。そこへ、配下の兵士が駆け込んできた。
「た、大変です! 追放されたレオナルド様が、隣国と手を組み【アグリ・エンパイア】なる巨大商会を立ち上げました! 世界中の食糧市場の8割を彼が握っています!」
「な、なんだと……!? あいつのスキルはゴミの『水耕栽培』のはずだぞ!?」
「彼のアグリプラントは、土を使わずに『1日で高級食材を数千トン』出荷できるとのこと! 今や皇帝陛下すら彼に頭を下げて作物を譲ってもらっている状態です! 我が領地への食糧輸出は……『無能には売る作物はない』と全面拒否されました!」
「そんな……! 頼む、レオナルド! 撤回してくれえええ!!」
公爵家が破滅へと向かう中。
【黒砂の谷】改め、緑豊かな超巨大都市【ヒドロポニカ】。
レオナルドは、最高級の自作イチゴを味わいながら、ふかふかのソファに腰掛けていた。
隣には、彼を慕う元騎士団長のエルザや、伝説のドワーフ技師、さらには噂を聞きつけて集まった優秀な仲間たち。
「レオナルド様、本日の出荷計画と、新しい『空中イチゴ園』の建設申請書です」
「はいはい、残業は禁止だからな。定時で上がって、みんなで新種のメロンの試食会をするぞ」
かつて過労死寸前まで働かされた社畜は、ハズレスキルと現代知識で世界を裏から支配し、最高の仲間とともに、異世界生活を謳歌するのであった。




