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異界郵便局  作者: 翠雨
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第十九話 仕事始め

桃羽の爆弾発言から数分、俺は悩み続けていた。神様の血が混ざってる?俺は人のはずなんだけど。てか混ざってるってどれくらいの割合なんだ?分からないことが多すぎる。そう思い桃羽に詳しく教えて欲しいと聞いてみるも

「だから神様の血が混ざってるの!僕は他のことは知らない!というかユキのことじゃん。何で僕に聞くの?」

としか返ってこなかった。いや、俺が分からないから聞いてるんだよ。俺のことを知ってて話しが出来る相手も貴重だし、そもそも一番俺のことを知りたいのも分かってないのも俺なんだよ。と思ったがこれを今桃羽に言っても仕方がないと思い俺は言葉を飲み込んだ。

しかし、こうなると織姫さんが考えてくれていた説が揺らぐな。措置の一つであると書いてあった“政府または特定の神様が俺に関する情報に制限をかけている“という説の方が有力になる。いや、決めつけない方が良いか。あくまでこっちの方が少し可能性が高いくらいの認識で留めておくべきだろう。とりあえず今後は自分の出生についてでも調べてみるか。正式な書類の閲覧や調査は難しいだろうから、直接話したり人に聞くことが主になりそうだけど。まあ、分からないままよりは少しでも何か得られる方が良いだろう。そう結論づけて俺は晩ご飯の準備を始めた。



そして次の日、自分の準備を終えて桃羽に声を掛けた。

「桃羽!もう行くぞー」

「あー待って!今行くから」

あの後、特に食べられない物は無いと言われたので俺と同じものを作って出してやると桃羽はとても気に入った様子で食べていた。風呂に入れて、事前に作っておいた桃羽の寝床を見せると嬉しそうにして、一通り確認した後すぐに寝てしまった。よく寝れたのだろう、今の桃羽は昨日以上に元気いっぱいといった様子だった。

「どこ行くの?」

「郵便局だよ。昨日行ったところ」

「あー!あそこか。仕事?」

「そうだよ。あそこは異界郵便局。で俺はあそこで働いてるの」

「どういう仕事するの?」

「基本的には荷物の配達かな。要請があれば神様とか地獄の手伝いさせてもらうこともあるけど」

「なるほど!だからあの時ユキは地獄にいたんだ」

「そうだよ。他に質問は?」

「配達って僕もついて行って良いの?」

「もちろん。手続きはしてあるから桃羽の好きにすれば良いよ」

「やったー!じゃあ僕ついて行く!」

「分かった。とりあえず郵便局行くぞ」

「はーい」


俺たちが出勤するとリアさんが奥の部屋から出てきた。

「あ、来たね。おはよう二人とも」

「おはようございます」

「おはようー」

「桃羽くんは元気だね」

「うん、元気」

「ちゃんと休めたみたいで良かったよ」

「うん、よく寝れた!家にいる間もすごく楽だったよ!」

「それは何より。じゃあ、今のうちに今後のことを少し話しておくね」

「わざわざ話すってことはまた忙しくなる時期ってことですか?」

「その通りです。といっても忙しくなるのは来月。つまり年明けね」

「年明けですか。思ってたより先だな」

「それはそうだよ。年明けまでに出来るだけ配達は終わらせるし、やらなきゃいけない書類もあるからね」

「なるほど。つまりこの後の仕事量は普段より多いんですね」

「そう、だから今のうちに話してるの。まあ一番忙しいのはやっぱり年明けてからなんだけどね」

「てことはお盆の時みたいに何か決まった物を運ぶってかんじですか?」

「ううん、今回は違う。年明けに私たちがするのは仕分け作業なんだ」

「仕分け作業?」

「何ーそれ?」

「絵馬ってあるでしょ?あれの仕分けをするんだよ」

「あーなるほ……あれ、絵馬ってお焚き上げするんじゃ…?」

「そうだよ、あっちではね。ただ、絵馬に願いが書かれて掛けられた時点でこちら側に写しが作られるの。その写しは各神様の名義の元保管されるんだ。今回私たちがするのはその保管をする為の仕分けってこと」

「そんな風になってたんですね。というかその感じだとかなりの量になりそうですね」

「そうなんだよ!ここが一面絵馬で埋まるからね。というか早いと年明け前にはここに絵馬が届き始めるんだけど、年が明けないと仕分けが終わってても送れないから結局作業始めるのが年明けてからになっちゃうんだよね」

「あーなるほど。いろんなことがしっかりと決まってるパターンてことですね」

「そうそう」

「ねえねえ、えまって何?」

「「あ」」

「ごめん桃羽。全員分かってる体で話し進めてたわ」

「私も。ごめんね桃羽くん、置いてきぼりにしちゃったね。えっと絵馬って言うのは、神社やお寺とかで願い事とかを書いて祈願や奉納をする為の木製の板のこと。最近はいろんなデザインのものがあって、絵馬の形とかでどこの神社のものか分かる場合もあったりするんだ」

「へえー!そんなのあるんだ!考えた人はすごいね」

「確かにそうだな」

「これからは分からないことがあったらすぐに聞いてくれて良いからね」

「はーい」

「もちろんユキくんも」

「すみません。ありがとうございます。じゃあ一つ質問良いですか?」

「どうぞ」

「仕分け作業は年明けすぐからですか?」

「いや、四日から。三が日は流石に私たちも休みになってるから」

「あ、そうなんでね」

「うん。噂によると神様たちもその期間は休みみたいな扱いになってるらしいから」

「え!そうなんですか!?じゃあ三が日の間にちゃんと休んでおきます」

「そうして下さい」

「僕も質問!」

「お、何?」

「絵馬の仕分け作業は僕も手伝って良いの?」

「もちろん大丈夫だよ。手伝ってくれるの?」

「うん。僕もやりたい!」

「じゃあお願いしようかな」

「やったー!」

「桃羽が手伝ってくれるなら多少はマシになりますかね?」

「どうだろう?ユキくんがいるっていうのもあって、今年から送る数増やしますって言われてるんだよね」

「うーわ最悪」

「こっちが二人増えても、送ってこられる量がどれくらい増えるのか分からない時点で計算なんて出来ないじゃん」

「確かに。馬鹿みたいな量がきて詰む可能性もあれば、三人でやれば意外と早く片付く可能性もあるってことですもんね」

「そうそう!だから当日が来るまでどっちに転ぶか私もはっきりは分かんないんだよ」

「ちなみにリアさんはどっちの可能性が高いと思ってます」

「私は前者」

「ですよねー」

なんて会話をしていたのが懐かしいものだと思えてしまう日がやってきてしまった。年明け初出勤を明日に控えた今、俺はすごく嫌な予感がしている。気持ちと共にもう少し重くなり始めた気がする体を引っ張りベットに横になる。少しでも絵馬が少なくあってくれることを祈りながら俺は眠りについた。


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