ご挨拶
「ドルフさん、クリスさん」
レイブンは後ろを振り向くと、私の前から退いてくれた。
拓けた視界には、今度はローブを着たままの2人の姿が見える。
さっき入ってきた2人だ。
その後ろにはアシオンも続いている。
リボンの髭の爺ちゃんと、天然パーマみたいな髪の困った眉の男の子。
「ふぉっふぉっ。これはまた小さな王様ですな」
爺ちゃんは、右手を腰の後ろに当て、左手の指で自分の髭をクルクル回しながら此方を笑顔で見つめている。
レイブンと違って、悪意の欠片もない……そう思った。
「わぁ、今度は白いドラゴンさんなんだねぇ~」
困り眉の男の子は、私に屈託のない笑顔で話しかけてきた。
「……」
こんな格好で初対面の人と会う事になるとは思わなかった。
この状況も恥ずかしいし……元々の人見知りも重なって、何て言っていいかも分からない。
とりあえず黙っておく。
「僕ね~、クリストフ。クリストフ=バルトって言います。七賢の一人だよ。宜しくお願いします~」
八の字眉の男の子はゆっくり自己紹介をすると、お辞儀をしてくれた。
なんだか可愛い。
「儂はドルフ=ベネディクトと申しますぞ。七賢で一番の年寄りですじゃ。無駄に年だけとっとりますじゃ。宜しくお願いしますぞ、王様。ふぉっふぉっふぉっ」
自分で言って、自分で笑っている。
……どこの国の年寄りもこんな感じなんだろうか。
年を重ねているだけに手持ちの情報量で自己完結してしまう、そういう生き物なのかもしれないと思った。
ゴッ----!!!
頭蓋骨に重い衝撃が走る!!
頭を手で押さえたかったが縄で括られているため、そのままの状態で痛みに耐える。
「貴方って人は……誰を前にしていると思っているんですか。失礼にも程がありますよ!」
心の底から蔑んだような視線が刺さる。
なるほど、レイブンからの鉄拳だったようだ。
近くにレイブンがいた事を失念していた。
「ふぉっふぉっふぉっ。いやいや、王様の思われる事も最もでしょうぞ。どうか、この老いぼれとも仲良くしてくだされ」
殴られて痛かった頭を、優しくさすってくれる。
っ!!
こ、この人も心が読めるんだ!!
「ごっ、ごめんなさい……」
ドルフに対し頭を下げた。
「……貴方って人は……」
呆れたように溜息がレイブンの口から漏れ出た。
「ティタの国の呪術の家元を前に、本当にいい神経してますよね。ドルフさんが七賢でなかったらと考えると、本当に恐ろしいですよ」
なんだかよく分からないけど、ドルフさんはティタの国の凄い人らしい。
うーん、喧嘩っぱやい人でなくて良かったと心から思う。
これからは誰が偉い人なのかもよく分からないから、誰に対しても敬意を持って接するように心掛けよう。




