蒸気の先に
スライムが消え蒸気が立ち昇る中、悲鳴が中心部から聞こえる。
何かが倒れた音も聞こえた。
レイブンは空中で街に張っていたドームを解除した。
ディーンと兵士達は悲鳴を頼りに蒸気の先へと走る。
「なんとっ!!」
ディーン達は、地面に倒れている白い生き物に驚愕した。
体長60cm程のドラゴンが横たわる。
真っ白な身体は細かい鱗で覆われており、透き通った鬣は後頭部から肩辺りまで続いていた。
小さいながらも背中には羽もしっかり備わっており、力なく開いた口からは規則的に並んだ鋭い歯も見える。
そばには溶けかけた、さやの服が散乱していた。
「やはりドラゴンでしたね」
満足そうな声が背後からかかる。
「っ!! レイブン殿!」
兵士達は道を開けた。
「……これは……」
ディーンは跪き、近くにあった溶けかけた服で白いドラゴンを包むと赤子を抱くようにそっと抱えた。
「……ふむ。ですが、あまりに小さいですね……」
レイブンはディーンの側に寄ると、服からはみ出ているドラゴンの足をつまんでマジマジと観察している。
「……これはどういう事だ!」
ディーンはレイブンに詰め寄る。
「ご覧の通りですよ、ディーン様。やはりこの者も見立て通りのドラゴンであり、王の資格を持っています」
「しかし、もう四匹のドラゴンは揃っておる!! こ、これでは五匹目のドラゴンが……!」
レイブンはゆっくりと頷き肯定する。
「これは五匹目のドラゴンでしょう」
「……では、あの預言もあると……?」
ディーンは狼狽えているようだ。
「そう考えざるを得ないですね。どうなるか……まぁ、ドラゴニアで見つかっただけでも救いと思った方が良いでしょう」
二人は険しい顔のまま話し込んでいる。
ディーンは少しの間、目を閉じて考え込んだようだったが、すぐに片手をあげて兵士を呼ぶ。
「……ディストンに出していた使いを戻らせよ。炎のドラゴンは此方に呼びもどさなくとも良い。そのままディストンを治めさせると伝えよ」
兵士は「はっ」と返事をすると、城へ駆けて行った。
「賢明なご判断で……」
レイブンが微笑を浮かべ、一礼する。
「……まだ先は分からぬが、やらねばならぬ事が沢山ある。私は戻るぞ」
そう言うと、羽を使って城方面へ飛んで戻って行った。
「……五匹目の……ドラゴンですか……」
一人残されたレイブンは、誰にともなく呟いた。




